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第12話『寝取られ男の戦慄』

 とりあえず金髪妹ヴィクトリアには一旦ご帰宅頂いて、俺は沙汰を待つという状態で帰り道を歩いていたころ。


「ん?」

 道になんかいるな。

あれ……クソビッチか?


「あ……ジョン」

 どうしたんだこいつ。

凄い傷だらけだけど……狼にでも襲われた?いや、でもそれにしてはどうも表情が嬉しげというか。


「エリーゼ、その傷どうしたの?」

「あ……ちょっと、高いところから落ちちゃって」 

 高いところから落ちたぁ?

そんな運動神経低かったっけ、こいつ。

しかし今日はやけに怪我したやつに出会うな。なんか厄にでも取り憑かれたのかね。


 家帰ったら軟膏継ぎ足さなきゃなぁ……。

そう思ってとりあえず塗り塗りしていく。まぁいくらクソビッチでも怪我してたら治さないと流石に駄目だろうし、無心で傷口に塗っていく。


「んっ、あっ」

 変な声を出すな。

俺が変人に見られるだろうが。


「染みるの?」

「んっ!?あ、ふふ、うん。でも大丈夫」

 なんだこいつ、やけににやけてんな。

彼氏でもできたのか?ならこっちとしてはいちいち目に入れなくてよくて好都合なんだが。


 



 3分位で塗り終わる。

軟膏はもうすっかりなくなっていた。


「はい、塗り終わったよ」

「あ……」

 物欲しげな顔をするな。

確かに軟膏のひんやりした感じは気持ちいいけど、そこまでではないだろ。


「あの、ジョン。このあと……」

「じゃあ俺は家に帰るよ。お大事にね」

 一瞬なにか言われた気がしたが、気にせず家路へと着く。

あんまり長居したらだめな感じがするからだ。








「なんで」

 構って、くれた。

でも、目は変わってなかった。


 怪我くらいじゃ、ジョンは見向きもしてくれない。

あの女と、何が違うの?私だってそこまで見劣りしない見た目なのに。

認めたくない。

あんなぽっと出の女にジョンを奪われるなんて、認めたくない。


 ジョンは、いつも剣の鍛錬や勉強をしている。

王都の学園に入るためだって、他の人は言ってた。

なら、私も目指せばいい。

実力のある女だと思ってもらえれば、ジョンは私に振り向いてくれるはずだ。


「ふふ、ふふふ」

 せいぜい、あの女がジョンと一緒にいられるのは学園に入るまで。

私は、学園に入ったあともその後もその後もずっとずっとずっーと、ジョンについていけばいい。


「ジョン、楽しみにしててね。絶対、振り向いてもらえるようになるから」 

 ジョンの指先の体温が残る……軟膏が薄く塗られた傷口をなぞる。

でも、今日はこうして触ってもらえてよかった。

これからはもっと……ジョンの体温を感じられるようにならなきゃ。

ここまで読んで少しでも面白いと思っていただけたら、ぜひ評価とブックマークのほど、よろしくお願いします!

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