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18/50

バレンタイン企画!!

 バレンタインデー。

 それは男のロマンスであると共に、ロマンスを粉微塵に打ち砕かれる日でもある。


 モテとは縁遠かった学生時代、色めき立つ教室を見て毎年のように鬱になったものだ。女子達が友チョコを交換する傍らで、俺は数少ない同志達とホモチョコを交換して互いの痛みを分かち合っていた。あの時ほど男子校に転校したいと願ったことはない。


 しかーし!!!!

 しかしである。


 今は自粛期間の真っ最中。素顔を晒して会話することでさえ憚られるような状況では、手作りのチョコなんて配りようもないはず。


 つまり今年、全国の至る所でモテる奴らが軒並みチョコを貰えないという事態が発生している事になるのではなかろうか。


 こっそり受け取った卑怯な輩は受け取ったチョコにウイルスが入っているかも知れないという恐怖と不安に苛まれるがいい。


 ざまぁみやがれぇええええ!!!!


「ハッハッハ! 愉快愉快よのう!」


【なんかいきなり高笑い始めた】

【ついに頭逝ったか】

【いや元からやで】


 外野が何か言っているが気にしない。

 今日は最強になれる理由があるのだから。


「皆さんおはこんばんわ〜! ということでバレンタイン企画、始まりました〜〜♪」


【お、全員エプロン!?】

【ありえんバブみ】

【このメンツでコラボとは初耳】

【こいつら揃うと何か壮観ww】

【ほぼ問題児で草】


 エプロンは今日に合わせて吉田さんに機能を特注した。一人一人の個性に合わせて違う色を着ている所も注目すべきポイントだ。


「今年はなんと、バレンタインなのに一つもチョコを貰えない可哀想なみんなのために、私達がチョコレートを作っちゃうよ〜!! というわけで、ハーレム軍団カモ〜ン♡♡」


「あぁ? 誰がお前のハーレムだ」


《そ、そんなん聞いてないんだけど!》


《いつから私達まで入りましたの!?》


《あはは、テンション高いねぇ〜〜》


 あ、あれ……?

 ちょっと皆さん!?


【同意なくて草】

【ハ ー レ ム 0 人】

【ハーレム系主人公って大変だったんだな】

【俺こいつじゃなくて良かった……】

【メンタルが持たん】

【鋼の心臓】


「ちょ、ちょっと! 約束と違うじゃん!」


「いや、何か途端にバカらしくなってきて」


「おいコラ!?」


《私も皆がやらないから恥ずかしくて……》


《私達は入るなんて聞いてませんわ!?》


《まあまあ。いいじゃないの?》


【マリモたん癒し】

【俺たちの天使】

【メンバー唯一の良心】

【むしろ周りが殺伐としすぎww】

【優しい子は◎】

【おっぱいエッッッ……!】

【↑同意しつつ56す】


 地味にマリモ先輩の人気がすごい。

 思えばこの人、唯一の純粋系なんだよな。

 そりゃあ人気も出るわ。

 あと、おっぱいでかいし。


「……それに引き換え」


《な、何よ? 何でこっち見るの?》


 ホノカ、Aカップ。


《こ、今度は私ですの?》


 カノン先輩、AAカップ。


「……何だよ?」


「ルルミちゃん、AよりのBカップ……」


「ほぅ?」


 あっ……あかん!

 声に出ていた!!!!


《うわ……そう言う目で見てたんだ》


《最低ですわ……》


「そう言うお前は何カップだ? えぇ?」


「つねっちゃらめぇええええ!!!!!」


 先っちょ取れちゃうぅううう!!!!!


「AAAですぅ……!!!」


【これは尊……くない。】

【正気に戻ったニキ】

【正常で良かった】

【エッッッ……!】

【↑おっと手遅れが一人いるようだ】


《もう、早く始めるわよ!》


 おっと、そうだった。

 いかんいかん。

 ホノカに諭されるとは。


「ルールは簡単!! 私とルルミ、先輩達、ホノカの3チームに分かれてチョコレートのお菓子を作るよ! その中でどのチームの作った物が一番美味しそうかを投票でリスナー達に決めて貰って、勝った組は負けた組に何か一つ罰ゲームを要求できるよ!」


《げぇ〜!? 何か聞き覚えのある形式! しかも何で私だけ一人なの!?》


【ホノカさんチーム気の毒】

【独居老人】

【姉妹は分かるけど先輩組は?】

【どっちかの家にいるのか】


《あー、実は私たち同居してるんだよね》

《学生時代からルームシェアですの》


【………………!?】

【なん……だと?】

【キマシタワーーー! 】

【あら^〜】

【尊すぎて言葉にできない】

【何それエッッッ!】

【↑これは全面的に正しい】

【↑今回だけは同意】


 それを聞いたときは俺も驚いた。

 綺麗に3チームに別れたのはラッキーだ。


「それじゃあ始めるよ〜! 準備はいい? レディ〜……ゴーーーーーー!!!!!」


 掛け声と同時にスタートを切る。

 まずは作戦会議からだ!


「ルルミどうする?」

「まずは役割分担っしょ」

「なるほど。で、どう分けるの?」

「私がやるから。お前は器具の準備しろ」

「……えっ?」


【実質の戦力外通告で草】

【速攻やんww】

【いつもの力関係】


《私たちはどうしましょう!》

《え〜とじゃあ、カノンちゃんは計量カップで量を計ってくれるかな〜?》

《お安い御用ですわ!!》


【こっちはこっちで……】

【何故へっぽこと有能に分かれる】

【完璧にお母さんと娘のそれ】


《ねぇ私は!? 私の作戦は!?》


【ホノカさんは歌でも歌ってて下さい。】

【BGM要員】

【歌うなら例のリボンをかける歌で】

【さ◯りww】

【昭和世代バレる】


「光るパジャマの上にエプロンって……」

「いいの! 好きなんだから!」

「はぁ。バカってやっぱセンスないよね」

「ちょ、それどういう意味!?」

「いや全体的に。そろそろあのダサパン履くのもやめたら?」


【ダサパン!?】

【情報提供感謝】

【紳士湧くなww】

【いつもどっから湧いてくるんだ?】


 俺のパンツは苺柄だが王道の苺パンツですらなく、苺とパンダが合体した"苺パンダ"なる謎の生物のイラストがプリントされている。おそらく単に"パンダ"と"パンツ"をかけただけだと思われる。もちろんし◯むらで買った。


「実際見るたびに笑ってる」

「なっ……苺パンダをバカにするな!!」


【検索したら出てきた】

【どんなの?】

【なんか苺を抱きしめたパンダ】

【だっっさww】

【かわいいかよ】

【それ履いてると思うと捗る】

【何が?】

【↑答え言ってるやん】

【↑通報しました。】

【また犠牲が……】


《マリモ、暇だから尻取りしません?》

《いいよ。カノンちゃんからどうぞ〜》


【暇なのはお前だけやw】

【お母さん働き物だなぁ】

【マリモママ好き……】


《しりとり!》

《林檎♪》

《ゴリラ!》

《らっぱ♪》

《パンツ!》

《つ〜め♪》

《めだか!》

《か、か……カノンちゃん! あっ……》


【おいおい】

【わざとか?】


《も、もぅ……何言ってるんですの?》

《ごめんごめん。もう一回!》

《まったく、行きますわよ……しりとり!》

《リース♪》

《スミレ!》

《れんげ♪》

《下駄!》

《た〜い♪》

《イ〜カ!》

《か、か……カノンちゃん! あっ……》


【カノンちゃんトラップ】

【そんなんなる?】


《マリモはバカですの?》

《だ、だってぇ〜! 「か」はカノンちゃんだもん〜!!》


【可愛すぎる。】

【可愛すぎて悶え死にそう】

【俺、無事尊死。】

【成クレ定期】


「る、る……ルルミちゃん♪ あっ……♡」

「うっさい。早くこれ洗え」

「スミマセン」


【くっ……こいつらときたら】

【早く姉妹百合が見たいんだけど】

【いつなんの? まだ?】

【おそらく永遠にならない】

【あぁあああ!!!(絶望)】


《折角だから何か罰ゲームを!》


【待ってました!】

【皆いけぇえええ!!!】

【かかれぇえええ!!】

【LET'S GOOOOO!!!!!】

【お嬢様でここまで親しみやすいの初かも】


 良かった。本来の目的であるカノン先輩のイメチェンにもどうやら成功したようだ。


<< 命令 : 画面に向かって恥ずかしいセリフを言いながら両手でハートマークを作る >>


【長いww】

【詳細で草】

【有能ニキ】

【分かりやすくて助かる】


《ではマリモ! 3、2、1………ハイッ♪》


《え〜っ!? …………萌え萌えきゅん♡》


【ぁぁあああああああっ!!!】

【ワッショオオオオイ!!!】

【どすこぉおおおおい!?】

【みんな落ち着けww】

【心が、叫びたがってるんだ。】

【首傾げるの神】

【反則でしょ……】

【心臓発作起きかけたわ】

【多分それ動脈硬化。】


「すごいなぁ、先輩たち」

「あれは真似できない。したくもない」


 ガシャーン!!

 ドカァアン!!!!!

 バッコォオオンンンン!!!


《きゃああああ!!! 何か爆発した!?》


【ホノカは何をやってんの?】

【彼女は料理をしています。】

【英文和訳で草】

【海外ニキww】


 三分割された画面には各チームの様子が映し出されている。さあ勝つのはどの組だ!?

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[一言] 可愛いが溢れてる
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