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異世界調査だ!

右も左もわからない異世界で何が助かったかって、一室貰えた事と侍女ちゃんの存在よ。


生き残る為にこの世界の事を色々聞く事が出来るし、まして同性の子なら話しやすい。


18歳ピチピチの侍女ちゃんは、子爵のご息女なんだって。

貴族子女だ〜お嬢様だ〜モノホンだ〜


姿勢が良い!カワイイし顔小っさい。足音も無く歩く〜。これって貴族だからなのか、侍女だからなのかわからないけど、医者がまだ来ないので、諸々とこの世界の調査開始でもしてましょうかね。



*** ***



まずはここが城の敷地だって聞いて(城だったんだ〜)びびったが、王子がいるなら城だよね。

そんな一画に私が居て良いのか疑問だけど、行く場所がないので、ここに置いてもらわねばならない。


ならばまずは序列的なもの?(逆らってはいけない人種の確認)から侍女ちゃんから聞いてみよう!生き残るのだと決めたのだから情報収集は大事!




城には王家を筆頭として、上位貴族、下位貴族がいて、市民も物品の搬入やらで出入りしているし、城の下働きをしている者も居る。


貴族の子女は騎士だったり侍従・侍女とかになり、城内の護衛だったり官吏(高位貴族)の事務だったり、身の回りの世話をする仕事に付いているそうだ。


王族には伯爵以上の高位の貴族の子女が同じく騎士とか官吏・女官としてつくそうです。

因みに平民は下女・下男となり、つまり下働きの掃除とか洗濯とか庭仕事的な汚れ仕事に従事しているとの事。

因みにあの機械物好きそうなイケメン兄さんの宰相様は勿論高位貴族だ。


その他にも何人かの高位貴族が大臣をしていて、城には昼間は常駐して夕刻には城下町の自宅へ帰るとのこと。

他の貴族は領地か城下町の屋敷に居るそうだ。


その全ての頂点にいるのがあのアホパツキン王子とか(正確にはその父が王様だけど)ふっとこの国が大丈夫なのか不安になったのは口にしないしないほうがいいよね。




侍女のアンナちゃんは、小顔で綺麗な茶髪の女の子。表情があまり変わらないクールビューティさんだった。

彼女は下位貴族で上位貴族の元で働いているのだそうだ。


彼女の入れてくれたお茶は美味しいし、私を蔑んだ目でみない事も嬉しかった。

宰相様のご配慮ということか、そういう気質の人を側に置いているって感じかな?



*** ***



やっと来てくれた医師(宰相様が手配してくれた)の診断後、絶対安静でベッドから起き上がれないとなってしまった。


さっきは窓迄駆け寄り外を見るとか、本棚の本に駆け寄ったりと無謀な事をして、痛たたたとベッドに倒れ込んでアンナちゃんにこっ酷く怒られてしまった。


意識を戻した当初は本当に痛かったのだけど、徐々に痛みが消えてアンナちゃんが持ってきてくれたご飯を普通にベッドで食べ、薬を飲んだらもう、ベッドでの寝返りも平気だし、息をする度に痛みの走った内臓も痛みはもう引いていた。


此方の薬は良く効くわ〜。

即効性があるとか?流石魔法の世界だわね。

魔法と言えば杖出してくるかと思ったら普通の薬だしてきたし、効き目は凄かったから薬草とが魔法で作られたりしてるのか?

ある意味、進んではいるのかな?


そうそう、診察時に服をめくったらデカイ靴跡が腹に残されてて、肩にも痣になっている打撲痕、首には剣で付けられた切り傷もあった。浅かったらしくて直ぐに血は止まったみたいだけど刃物傷よ刃物傷!


あのバカ男マジで人の首を切ってやがったの!


「なっなんと、年端も行かぬ女の子にこの様なっ」

「え?あ〜ですよね」


(‥‥年端も行かぬと言われた事にはちょっとねぇ、いったい幾つと思われているのやら)

お医者様が傷の酷さに思わず言葉を失ったから、この世界に於いてもこれは酷い事に値すると理解しましたよ。


お医者さんは帰り際に、飴?を一つくれたのでこの世界での良い人認定しました。

子供と思われたのは許しますよ、飴くれたし。何より傷の件で怒ってくれたからね。


しかしあの男は許すまじ!

かなり酷い事をしてくれたのは確かで、この気持ちを落ち着かせるにはやる事やらないと済まないと思う。



*** ***



今はもう痛みも引いてしまったのに、安静にと言われベッドに入ったままでお貴族のお嬢様にお世話をしてもらっております。


やる事が無いのでお茶を持ってきてくれたアンナちゃんにはまた話し相手になってもらい、この世界の基本情報を更に摂取するという時間に充てることにしました。


不意にゴーンと低音で、やけに響く鐘の音が響き渡りうわっとびっくりして、これは何と聞くと


「時の鐘ですよ、今は六の刻です」


鐘の音の数で時間はわかるのは私の世界と同じね。

時計はあるが置かれている場所は城の奥の方の塔に設置されていて、人が時間を知るのは時計塔の鐘の音で判断するらしい。街もこの鐘を時計替わりにして生活しているとの事なので、まだ全世帯に時計が普及してはいないわけね。


ふと自分の腕を見ると同じく6時を指しており、スマホの時計も同じだった。

時間軸的なものは地球と同期しているのか ?

わからない力(文字を見た時の様に)が勝手に修正をしているのか?


まぁここの時間に合わせていた方がわかりやすい、気にしていたらモヤッとが続くだけだ。


踏ん切りをつけろここは異世界だ!




外は見るからに夕方だろう、夕焼けがやけに真っ赤で綺麗だ(オレンジより赤が強いのは太陽がでかいから?二つあるから?地球とは酸素とかオゾンの濃度が違うから?)


まだ午後6時なら寝るには早いな‥


「こちらの平均的な就寝時間は?」

「そうですね、子供ならば八の刻成人は十の刻でしょうか。殿方は‥王都の様な都会は遊ぶ店がかなりあるので、夜中まで‥田舎は朝が早いので就寝は早いですね。城は三交代で常に人が起きておりますので、就寝と言うのは各自で異なります」


おっと、男は遊ぶ場所がかなりあるのね。いやらしい系や酒場などはどの世界でも男だけっていうのは定番か?


「侍女さん達も夜中起きているの?」

「当番になった者が夜勤となります。夜通しの会議だったり、夜勤の騎士団の方への給仕くらいですけど。王族に仕える女官は不寝番を兼ねて三名、侍女は各部署二名ずつが交代で夜勤当番になっております」


あら案外侍女もブラック?良いところのお嬢さんなのに夜勤ありとは大変だ。


「貴族の順番ってよくわからないのだけど、教えて」


「はい。現在貴族は王家を頂点に王の親族・親戚の公爵三家、臣下筆頭の侯爵六家、その他の侯爵家が十五家、次に伯爵二十家、以下子爵二十家、男爵三十家ございます」


あとは準男爵とか騎士伯とかもいるそうだがその辺りは平民とか貴族の長男以外の息子が国に功績を残した人に与えられる一代限りの名誉職らしい。


アンナちゃんは子爵令嬢だが領地は畑しかなく政治的な思惑など考える余地が無い(領地経営だけで手一杯)のと、先の戦争でアンナちゃんの領地からの食料支援で進軍を支えた事もあって、宰相には“目をかけてもらっている”らしい。

政敵にならないって意味合いでか?

穀倉地帯を抱える貴族だからか?両方かな。


でもアンナちゃんを私に付けてくれたことは、流石宰相と言った所だ。

バカ騎士の様なお貴族様様でワタクシ偉いんです貴族なんです!みたいな子が来たら、私はきっと逃げ出している。


味方なのかそうで無いのかわからない宰相様は、単に私が異世界人だから何か役立つだろうって事と、外界に出したらアカンって事で私を保護したのだと思う。


表面上はアバウトなお気楽人に見えるので助かった。

だが見ているところは見ているのだろう。

私が要求しなくとも医者も呼んでくれたし、私のことを馬鹿にしない侍女をよこしてくれたのだから、阿呆では無い訳ね。


あんな王子と大柄の騎士風のバカ男に、おっさん貴族どもなんかが幅を利かせているとしたら、この国この世界大丈夫か?とも思ったが、マトモな人が支えていると思えば納得かな。


「所でご存知かな?第‥二王子の側近?だっけっか、薄い派手めな青の服着てて剣を持っている人。ん〜大柄で目つきがキツくて直情型な」

「剣を持つ青空色の服は近衞騎士様ですね。第二王子付き騎士で大柄で目つきの鋭いのは、リザルド・サージェ様でしょうか?

サージェ侯爵家の‥ご長男であったと思います」

「リザルト・サージェ侯爵子息‥アンナちゃんありがとう。もう少し聞いて良い?」

「はい、勿論」


そんな異世界初日は宵の空となり闇にポッカリとデカイ月が浮かぶ静かな夜へと誘われていったが、私の心中は熱く燃えていた。




逃がさねえぞバカ騎士リザルト!



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