どいつもコイツも
「ゼミが同じ‥後輩だよ?」
カーテンの陰で二人がコソコソそんな話しているからさ〜と何やら周囲を気にしながら声を潜める友人が更に
「聞き間違いかと思ったんだけど、そんな事を言う相手がヤバそうだから知らせとくわ」
とその相手の女の名を告げられて驚愕した。
そしてこの告げ口をしてくれた子も過去あの女に彼氏を取られた経験値から私を探して知らせてくれたらしい。
まさかねぇとは思いつつ嫌なものがよぎったので、私は打ち上げをブッチして彼氏の家に行こうと決めたのよ。
しかし遅かりし!
彼女の予感は大アタリ!
アッサリと私を無かったことにしてボンキュのクイーンとズコンバコンしたバカな男を私は知ってる。
男って基本バカなんだね、と私はインプットした。
私を捨てた男は、その一回こっきりであの女にもあっさり捨てられていたけどね。
*** ***
皆が羨望する女を手に入れたいが為に、何度となくピンチを救ってあげた《彼女である私》をあっさりと《後輩》に降格させた男が、バカどもと同じ顔してクイーンににじり寄っていたんだよね。ウットリ顔っていうの?全身で男オーラ発してさぁ、キショイったらないわ〜。
最初の頃は私にも見せていてくれた顔。
いつからか、何かして欲しい時だけになってしまって、
でも根底には愛があると思っていた、信じていたかった表情。
ゼミが同じ後輩なだけの関係でお前の家のカギ開けて勝手に部屋に入るか?
と聞きたかったけど、そっちが関係無いと言うなら関係無いわけよね。
結構な機械音を出しても没頭して続けているその行為をスマホで録画した後は、もういいとワザと気付かせるために名を呼んだ。
ギギギと擬音が聞こえそうなゆっくりとした首の捻り方に思わず笑いそうになったが、目があった瞬間に
「いや、ちがうんだ」
と誤魔化そうと慌てて女から身体を離し、
此方を向く裸のあいつに、キーホルダーから引き抜いた合鍵と、夕御飯にと買ったテイクアウトのチーズ倍増カツカレー(買った時はまだ信じたかったから好物テイクアウトして来た)を奴めがけて投げた。
私を驚愕の顔で見た奴の唇に鍵がブチ当たったのは見えた。
次いでカレーのパックの蓋を捨て、投げつけた熱々ご飯とルーが奴の腹に当たり‥奴のヤツの上でマリアージュして悲鳴が上がったが誰が謝るか!
熱っい熱いとのたうちまわりチーズが奴のヤツに絡んで熱いのが持続したのだろう、ひーと叫んで部屋の中をティッシュ探して走り回る。その様が無様で可笑しかったわね。
ゴムしていれば直の火傷は無かったのにね。
病気の危険も顧みず初めての人と生でいたす根性は認めてあげる。
複数人と関係を持つ女に生とか、チャレンジャーで冒険者で勇者だとね。
そんな人と二度と肌の触れ合いをしたくないと思う私は真っ当だと思う(ちょっとケッペキ入ってるかもだけど)
さらにふと目に入った奴が大切にしていたフィギア(オークションで3万とかしたレアな物と自慢していた物そんな金があるなら私への借金返せ)2体を棚から分捕り(あぁ私の手がデカかったら三体はいけたのに)やめろ〜と微かに聞こえたが、奴のヤツに絡んだカレーとチーズは中々に良い仕事をしてくれたらしく追っては来なかった。
風呂場で水浴びないと痛いよね〜マッパだから外にも出てこれないし。風呂への道は私が塞いでいて、退かしていく事はできない小心者だもんね。
部屋を出て眼下の川にフィギァ(3万×2)を投げ捨ててやった。ソフトボール40メートル投げられる私には朝飯前だ。
しかし対岸の護岸壁に当たりバラバラになったそれらを見ても、当然気持ちは晴れなかった。(クイーンは馬鹿男から即身体を離し素早く毛布で自身を巻きカレー難を逃れていたのは悔しかったな、妙に修羅場に慣れていたと思われる)
ん?誰?
私の性格もそれなりだとか思った人
《アシタハナノアタマニフキデモノデキロ》