第六話 アスト
【第六話】 アスト
……ポッチャン
雫が垂れる音で目が覚めた。
とっても床冷たい。布団薄すぎ。そしてちょっと臭い。
ただいま僕は牢屋で生活…いやニート生活をしている。
ゲームができないのと、おいしい母さんの飯が食べれないという
だけでこんなにも泣きたくなったのは初めてだ。
どうして…牢屋にいるんだろうか。
それは3日前のこと。
その男はアストというらしい。
「騒がしいぞお前ら」
「すいません。ちょっと怪しい奴の対応をしていて」
だれが怪しいだ。俺もそう思うけど。
そう自虐モードになっていた俺をアストは見て、近づいてきた。
「貴様何者だ」
「どうもツナと申します。勇者です。」
「そいつはもう死んだはずだ」
「いえ。訳があって生きてました」
「その訳とは?」
「3か月引きこもってゲームしていたんです」
「ほう?なるほどゲームをしていたのか」
お?こいつ案外分かってくれるタイプか!
「はい。それで……」
「仕事放棄ということか」
ギグッ
「あ、そうとも言いますよね。まぁ忙しかったですけど」
「事情は分かった。なら手紙を出してもらうか」
「え?」
「え?じゃないよ。あんたの国の王様から手紙もらってるはずだろ?」
「い、いえ。もらってないですよ?」
「おかしいぞ。王様から手紙は勇者がもっているって手紙がきたぞ」
「う、嘘だろ?」
おや?怪しくなってない?この状況!!
てか手紙ってなんだよ!!カノからは一言も……。
あ。確か3日前飯食べてる時、俺ちゃんと話聞いてなかったわ。
「ちょっとまってね~。たぶん鞄に底にある…ある…」
「あったか?」
「ないっす」
「貴様このあとどうなるか分かっているか?」
「えぇっと事情聴取とか保護者に来てもらうとかですかね?」
そして今の状況になっていた。
いや……やりすぎだろ。
でも、まぁ3日過ごしてみたけど。牢屋もなかなか住みやすい。
朝昼晩3食あってずっとぐーたらできる。
ご飯はほとんどじゃがいも。おいしくもないしまずくもない。
強いて言うならバターでこんがり焼いてほしかった。
そして暖房とかいろいろ完備してくれると嬉しいな。
もっと俺をだらしなくしてくれ~~。
「よぅ!元気してるか。ニセ勇者さんよ」
この声確か……
「なんだ?俺様のこと忘れたのか?」
「ア…」
「そう俺様はア……」
「アンドーナッツ伯爵?」
「……」
ん?なんか様子がおかしい。
周りにいた兵士達は何かを察したのか逃げるように牢屋を出て行った。
「おい。クソ勇者…今何言った?」
「え?名前を言っただけだけど?」
「誰がアンドーナッツだ!!!ボケェ!!!!」
「アンドーナッツじゃないのか!!」
「当たり前だろ!!!誰が名前にお菓子の名前を付けるんだ!!!!」
「知ったことか!!!!それよりアンドーナッツを食べたいんだよ!!!」
「腹減らしてんじゃねぇよ!!!さっき昼飯出したばっかだろうが!!!!!」
「そんなもん腹の足しにもなりゃしねぇよ!!!!」
「飯に文句言ってんじゃねぇよ!!!」
言い合いをしてお互い息を切らしていたのか。会話が途切れる。
「ったく。俺様が誰だか分かっての言い分じゃねぇみてぇだな」
「はぁ?てかお前何者なんだ?」
「名前を覚えてないならもう一度言ってやろう」
……てかお前自己紹介してねぇじゃん
「俺はアスト。ルデルフ・ファグナ・アスト。
この国の王ルデルフ・ファグナ・ディフォゴラの三男。
王選候補第1位のアストだ。覚えておけ。」
「ほうほう。王様の息子の三男で次の王様になるお方だったか」
「そうだ。何か言いたいことはないか?」
「そうだな。二つ言いたいことがある」
「お?なんだ。言ってみろ」
「アルゼファ王国との貿易強化のための話がしたい。
お前でいい。話をしようぜ」
「……」
「なんだ?不満か?」
「そ……」
「そ?」
「それが物を頼む人間の発言か!!!!」
「ならじゃがいもでも食べながら話しようぜ」
「それはお前の昼飯だ!!!そんなまずいじゃがいも食えるか!!!!」
「そうだよな。俺もまずいと思っていた。」
「ならこの俺様に食わせるな」
「バターとかないか?少しはおいしく食べれるはずだが」
「食うかボケェ!!!!」
アストはツッコミで疲れたのか、また息を切らしていた。
「どうしたんだい?そんなに疲れることしたか?」
「誰のせいだと思っている」
少し間が空いた。
「で。交渉はできないのか?」
「できると思っているのか。ルデルフ王国は不景気で何もできんぞ」
「だから一緒に考えてどうにかしようって」
「お前たちには関係ない。…もういい。お前は釈放する。
さっさとこの国から出ていけ」
なんかムカつく。まるであいつを見てるようだ。
「すまないがそれはできん。話を聞いてくれるまで俺は……」
「ここから出ないのか?いいぜ死ぬまでここに居な」
俺は何も考えずにアストの左胸についていた紋章を取って
足で踏みつけた。壊れるまで何度も
「おいてめぇ!!何をしやがる!!!それは王族のみ付けることができる紋章だぞ!!」
「そうですか。ならもっと踏んで壊してあげますよ」
「き、貴様!!これは王族の侮辱に当たるぞ。場合によっては死刑だ!!」
「死刑ですか。いいですね。それ。賭ける価値がある」
「はぁ?何を言っている?」
「勝負しようぜ。お前の俺で。俺が勝てば交渉の話を聞いて貿易強化」
「俺様が勝ったらどうするんだ」
「なら紋章踏んだこと土下座でもして謝ってやる。そしてお前が俺を殺す」
「ふん。お前は得して俺様は損ではないか。人を殺せば周りからどんな目で見られるか」
「大丈夫なはずだぞ。今俺はこの国で化け物って言われてんだろ。兵士から聞いたぜ」
「ったく。あいつら」
「脱走しただの、兵士を殺しだの嘘の理由なんて簡単に作れるだろ」
「なぜそこまでして貿易をしようとする。お前は勇者じゃない。
アルゼファ王国で勇者にだったとしてもこの国で証明できない今お前に
付いていく者信じてくれる者はいない。なぜそこまでする?」
「簡単だよ。めんどくせぇ。でもしないといけねぇってだけだ」
「理由になってない。お前は良くても俺様は」
「めんどくせぇ。お前めんどくせぇ。お前と話してると効率が悪いんだよ」
「はぁ?誰がめんどくせぇだ!!」
「さっさと戦って解決させようぜ。効率よく行こうぜ。
俺は時間と相手に厳しいクソニートのバカ勇者だ」
【キャラクター紹介】
須賀広ツナ(すがひろ ツナ)
15歳でニート野郎。
好きな物 (母さんのご飯・楽しいこと・ツナ缶)
嫌いな物 (めんどくさいこと)