第二話 くじの落とし穴
【第二話】くじの落とし穴
俺を含め周りは凍り付いたように静かになった。
「あ、あの~。勇者って…え?なんかのドッキリですか?」
「いやあんた勇者」
「病気やけがを治療する人?」
「それ医者」
「学問の研究してる人?」
「それ学者」
「じゃー俺の職業は?」
「勇者」
あまりにも状況を掴めてない俺はくじを配ってるおじさんに
質問した。
「君の名を聞いてもいいかい?」
くじを配ってるおじさんが聞いてきた。
「須賀広ツナですけど」
「ツナくんかい。明日詳しい話をするので王宮まできてくれたまえ」
「わ、わかりました」
そう約束するとくじおじさんはまた仕事に戻っていった。
「ツナでも社交的な発言できんだな」
「カノよりはできるに決まってる」
いいタイミングでカノが話しかけてきた。
だがすぐに話が切れて沈黙になった
話しかけてきたくせに沈黙するなよカノ
「お前が勇者ってすげぇな」
「なんだよ。同情するなよ」
「いやーだって面倒くさがりなお前が勇者ってなんか
面白いな~って」
「そういうおまえだって王宮魔法騎士だろ。
バカなお前が頭使う仕事できるのか?」
お互いに煽りまた沈黙…
「カノは不安か?」
「当たり前だ。くじを引いたら職に就けるとかありえないだろ。
騙されてるんじゃねぇのかって内心不安だ」
「だよな…」
「でもやるしかねぇ。めぐってきたチャンスだ。もうこんなチャンス
二度とないかもしれない…だから俺は…」
「あーそういうかっこつけた発言いらん」
「おいおいかっこつけさせろよ!せっかく雰囲気作ったのに」
「山湯野カノとは君のことかい?」
カノで遊んでいたら後ろから誰かに声を掛けられた。
「はい俺ですけど」
その男は犬と猫の半顔のお面をかぶったあやしい男だった
「私は王宮魔法騎士団長アヴァード・ニノニクスという者だ。
君を迎えにきた」
王宮魔法騎士の団長さんか。すまん。知らん。
「わかりました。じゃあなツナ!落ち着いたらまた話そうな」
「おう。がんばれよカノ」
俺はカノに聞こえない声でエールを送った。
カノと別れ、俺も家に帰ろう。今日は大好物のツナ缶が待っている!!
帰る途中シャッター通りでなにやら人が集まっていた。
またくじ引きでもしてるのかな?
「ちょっとそこの少年。君もくじを引いてみないか」
くじの主催者?ぽい男性が誘ってきた。
「いえ結構です。もうくじ引いたので」
「少年。公園でしたくじとは違いますよ」
「ん?なにが違うんだ?」
「このくじは将来を見通すくじです」
男は微笑みながら説明した。
俺はなぜか寒気がして警戒した。
「見通す?それ占いの間違いじゃないか?」
「いえ。見通すんです。くじが。あなた達の未来を…」
「胡散臭いっすね」
「引いたら分かる。君は公園でくじを引いたんだね。
ならもっとおもしろいことがわかるだろう」
「それは…引いた方がいいってことっすか?」
「それは自由さ。でも10年後の君がくじにかかれた職で満足してるのか。
失敗、責務、過労、ストレスで今の君ではないかもしれない」
「なんすか脅しっすか」
「いえ。ただ君が引きたいと思ってもらうための交渉ですよ。
で、引いてくれます?」
「なんか負けた気がしてムカつくっすね。負けたくないんで
引いてやるよ」
正直怖い。公園でくじを引き、いきなり勇者をしろだの言われたら
普通なら受け入れることはできない。
怖い。でも見てみたい。自分の未来を…俺は勇者として立派になっているのか
「とても度胸のある少年ですね。さぁどうぞ引いてください」
「…あぁ」
公園で引いたように勢いよく決めたくじを掲げた。
「これにする」
「はい~。拝見しますね~。ふーむ。なるほど」
「ど、どうなってるんだ俺の…未来は」
男はまた微笑みくじに書いてある答えをいう。
「あなたは…魔王になってます」
…ん?んっっっっんっ!?!?!?!?!?
「魔王?え?勇者じゃないの?」
「勇者?もしかしてあなたくじで勇者を引いたんですか?」
「まぁいちを…」
「でしたらあなたは勇者から転職して魔王になったってことですね。未来は」
い、いや。理解できねぇぇぇぇぇえ!!!
「まぁあなたの未来はあくまでくじのみた未来。確定ではなく予測。
あなたの行動で変えることはできるでしょう」
「いや別に信じてないから!それに俺は勇者になってもニート生活はするから!
未来通りにはいかない!」
なんか知らんけど張り合っとこう。
「まぁそういう文句には興味ないので勝手にどうぞ。それとこのくじは
あなたに差し上げます。記念になると嬉しいです」
「記念ね…なんか不服な記念だわ。まぁもらっておくよ」
「またのご利用おまちしてますね。ツナさん」
「あぁまた会えたらな」
とりあえず帰ろ。母さんに職について報告もしないと。
「まさかあの少年が…面白いことになりそうですね。」
その男はまた微笑んだ。
家に帰宅すると母さんは掃除をしていた。
「ただいま~」
「あらおかえり~。遅かったわね」
「あぁ。ちょっとくじを引いてて」
「くじ?何かイベントでもあったの?」
「なんか国が職を与えるくじを配ってて…いちを職に就けることになったよ」
ちょっと恥ずかしくて母さんの顔が見れないがちゃんと報告した。
「…ぁあ」
母さんの様子がおかしい。どうした?
「すごいじゃない!!ツナちゃん!!ついに職に就けたのね!!どんな仕事なの??」
「あぁそれは…」
ちょっと待てよ。いきなり勇者っていったら母さんはどんな
反応をする?もしかして怒るかな?
「勇者になったんだ。俺」
「…ぁあ」
また母さんの様子がおかしい。いやなんとなくどんなリアクションを
するか分かってきた。また発狂するはず
「病気やけがを治療する人?」
「それ医者」
「学問の研究してる人?」
「それ学者」
「ならツナちゃんの仕事は?」
「勇者」
「…ぇぇええええ!?!??!?!?」
なんだろ。誰かの反応に似てる。
「そんな驚くなよ」
「驚くわよ。今日はツナちゃんのためにたくさんご飯作るね!!」
「いやまだするとは決めてないからね。明日詳しい話をしてから」
「ツナちゃんの大好物のツナ缶たくさん使うわね」
「よし勇者頑張るぞーー!!」
そして須賀広家の晩餐が幕を閉じた。
母さんの作る料理は本当においしい。
つい大好物のツナ缶のために勇者になる宣言しちゃった。
まだ決めてなかったのに…まぁいっか。
今日はなぜか濃い一日だったな。
明日からもっと濃い一日になりそうだ。
そう将来のことを想像し、呆れながら眠りについた。
「…ぉぅさま」
ん?なんだ誰かが呼んでいる?
「…おうさま」
なんだ?俺は王様になる夢でも見てるのか?
「魔王様!起きてください!!」
ん?なんか聞き覚えのある声だ。
「起きましたか魔王ツナ様」
【あとがき】
「くじを引いたら勇者と魔王になれますか?」2話投稿でーーす!!
小説家になろうサイトの使い方もちょっとずつ覚えてきてもうすぐ慣れそうっす。
最近鳥取県の鳥取砂丘と蒜山&大山に行ってきました。
新しいアイデアが沸いたので他の作品も作っていきたいですね