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お腹いっぱい、女が欲しい

「大戦果じゃねえか新入りッ!」

「へへ、筋がいいな」


 先輩たちに褒められてとても嬉しい。

 俺は先輩たちと一緒に薄暗い洞窟の中で今日の戦果を見て小躍りしていた。

 果物や干し肉、固そうなパンに少し痩せた野菜の数々。

 夢のようなご馳走じゃないか。


「それだけじゃねえぞ」


 そして先輩が得意気に出したのは、なんと少し年季の入ったワインだった。

 帰り道で少し重そうにしていたが、まさかこんなものを持ってきていたとは。


「今日は宴だな!」

「おう、景気よく行こうぜ!」


 一生ついていきます先輩!

 俺らは戦利品の飯とワインを飲み食いしながら、今日の出来事について話し合った。


「ん? 新入りの袋そんなんだっけ?」


 あっ、これはあの家で見つけたんです。

 貰ったのがちょっと穴開いてたみたいで、こっちのが少し小さいんですが良さそうだったんで持ってきました。


「そんな申し訳なさそうにしなくていいぞ。良かったじゃねえか、良い袋が手に入って」

「そうそう、あんなボロ袋要らねえしな。見たところソイツは絹製か? 贅沢な品だなぁ」


 先輩たちは興味深げにその袋を手に取って見る。

 随分と手触りが気に入っているみたいだ。

 どうしようか、せっかく袋を貸してもらったのに勝手に交換しちゃって申し訳ないしな。

 良かったら先輩たちにその袋は使ってもらおう。


「要らねえよ、自分で手に入れたんだから自分で使いな」

「そうそう、袋なんて物が入ればなんでもいいしな」


 本当に優しい先輩たちだ。

 先輩たちの話によると、どうやらゴブリンは飯と女以外の欲は特に無いらしい。

 袋なんて物が入ればいいし、住むところなら雨風を凌げればどこでもいい。

 着るものに至っては最悪無くてもいいらしい。


「つーかよ、この袋、まだなんか入ってねえか?」


 そう言って女性の下着を被ってる方の兄貴は袋を逆さにして振ると、中から何やら黒い箱が出てきた。

 なんじゃこりゃ。


「危ないもんじゃねえだろ、開けてみ」


 そう言ってその箱を手渡された俺は、言われるままに箱を開けてみる。

 すると中には小さいが綺麗な宝石のついた指輪が出てきた。


「あー、指輪か」

「まぁいいじゃねえか、綺麗だしよ」


 この指輪をどうしようか。

 確かに先輩たちの言う通り、俺の心境も微妙だ。

 人間的には価値があるんだろうが、今の俺はゴブリンだ。

 この指輪は人間の盗賊なら売りさばいて金にするんだろうが、ゴブリン的には本当に綺麗な石と変わらない価値しかない。


「とりあえずそこのタルに入れておけばいいんじゃねえか?」

「そうだな、俺らもそうしてるし」


 先輩たちに言われた小さめのタルを覗くと、なるほど中にはこれまでにも先輩たちが収集したのであろう宝石やネックレス、耳飾りなどが、少量ではあるものの入っていた。

 どうしてこんなものがここに置いてあるんだろう。


「あー。飯と勘違いして持ってきちまったのもあるが」

「女を襲った時に手に入れたのもあるな」


 なるほど、飯を食い終わって腹が満たされたからか、女と聞いて食欲以外のもう一つの欲が湧き上がってきた。

 どうやって女を襲うんです?


「へへ、良いゴブリンだ。それはお楽しみだな」

「飯は当分あるし、お前の為にも明日は女を手に入れにいくぞ」


 うぉおお、楽しみでしょうがない。

 ゴブリン最高!!!

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