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ゴブリンの川辺生活

 空腹から解放されたら少し冷静になれた。

 あんな毒っぽいキノコ食うとかありえないだろ、最終手段通り越して自決じゃねえか。

 でもはぐれゴブリンの致命的な弱みも分かった。

 ゴブリンの強みは群れることと、恐らくほぼ無制限に生き返れることだ。

 その片方の強みを失っている時点で、後者の強みしかなくなり、更に裏を返せば無限に死に続けるしか無くなる可能性まである。

 しかも物的な財産というのはゴブリンにとって無価値に等しい。

 兄貴達と行動した時に、人里から指輪を手に入れたのだが、死んでしまえば恐らく余程土地勘が良くない限りは再び取り戻すのは厳しいし、そもそも必要なものが食べ物と女くらいしかないからそれ以外に興味も湧かない。

 群れゴブリンの一員だったら、多少洒落っ気が出るのかもしれないのだが、出てもパンティー兄貴のように頭にパンツ被るくらいしかないのが本当にゴブリンという種族の情けなさを感じる。


 なんだろうなぁ、それこそ武術とか身に付けたら多少は良くなるのかね。

 でもなぁ、あぁいうのって死んだらオシマイっていう感覚があるからこそ本気で取り組めるのであって、ゴブリンのように死んでも生き返れるからいいやというスタンスだと失礼な気もする。

 なんかいい方法はないかね、結論としてはその日暮らしを楽しむっていうのが一番ストレスなくてゴブリンらしいと思うのだが。


 そんなことを考えながら歩いていたら、本当に川が見つかった。

 水辺に生える草をかき分けて川に入り、流れる水に軽く触れてみるが、程よく冷たくて、手で掬うと透き通るように綺麗だった。

 まぁ、透き通ったところで汚いゴブリンの手のひらしか見えないのだが。

 結構下流の方みたいだし、ひょっとしてこのまま下って行ったら海の方まで繋がっていたりするのだろうか。

 そこまで急な流れでもないので、軽く膝丈くらいまで浸かって水浴びをすることにした。

 岩山を下ってきただけあって、自分でも信じられないくらいに汚い。

 軽くコスるだけで埃や垢が落ちていく。

 そして頭を洗うついでに水中を見てみると、元気に泳ぐ魚もいる。

 この辺りであれば森からも離れているし、魚を求めてヤバい捕食者が寄ってくることも殆どないだろう。

 体が冷えるのはまずいから、体を洗った後は乾かすついでに陸上に上がり、火を起こす準備をする。


 ここで問題が起こった。

 火起こしってどうやるんだ?

 俺はサバイバル能力なんて全然詳しくないし、キャンプはしたことあっても、ライターという文明の利器を使って火を起こしたから、よく見る枝と木をすり合わせて火起こしなんてしたことがない。

 でも火はマストだよなぁ、別に生で齧りついてもいいんだけどさ、出来れば焼き魚の方がいいよなぁ。

 体もあっためたいし、やったことはないけどチャレンジしてみるか。

 一旦森の方に戻って、川から少し離れたところに落ちている乾いた木材を収集する。

 ゴブリンの身体は小さくて、一回じゃ全部の素材を持ちきれないから、ある程度溜まったらその都度川に戻って素材を置き、再び木材を集めに行く。こういう時に袋が欲しくなるなぁ。

 木材は火起こし用の真っ直ぐな枝と、擦る木材、そして燃料用の木材が必要になると思う。

 1時間くらいかけて頑張って集めた結果、それなりに集まった。

 さて、火がついてくれるといいんだけどなぁ。

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