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超危険、森林サバイバル

 森に着いた。

 良かった、死なずに辿り着けて。

 足を滑らせて、そのまま滑った先に尖った岩があってぶつかって死んだり、岩山に適応してる最強生物みたいなのにいきなり襲われて死んだり、なんなら空中からドラゴンが舞い降りて死ぬみたいな可能性まであるから本当に生きているだけで幸運だと思う。

 隕石が落ちてくる確立にまで怯えないといけないわけで、生きているという事実に感謝しながら死なないように食べ物を探す。

 一回目に村から盗んだ時点で、この世界の食べ物が凡そ地球と大差ないことは把握している。

 林檎などの果物や干し肉まであるのだ、ゴブリンにだって手に入れられるような食材だってあるだろう。

 そもそもはぐれゴブリンという生活スタイルがあるわけだし、本来欲を出さずに生きればそれなりに長生き出来るはずだと思うのだ。

 何回も生き返れると言っても、流石にそんな生まれて速攻死ぬようじゃ、生物として設計ミスとしか思えない。


 ん? 生物として設計ミスでふと気付いたが。

 なんで俺性欲あるんだ?

 ゴブリンは知っての通り死んでも復活するから、仮に繁殖行為を行った場合、死んでも復活+繁殖による個体数の増加で無限に増え続けるのではないだろうか。

 まぁいいや。別に数が増えたところでゴブリンはゴブリン、雑魚は雑魚。

 そんなことより今は俺が死なないことが一番大切だ。


 森の中を歩いていくが、太陽を覆い隠す木々が連なるばかりで、一向に食べられそうなものは見当たらない。

 色鮮やかなキノコなどが生えてはいるのだが、流石にヤバそうだし、食べるとしても最終手段にしたい。

 んー、でも甘い匂いはするんだよな。食べ物は近い気がする。

 微かだが鼻をくすぐるこの臭い、きっと滅茶苦茶美味いと思う。


 おー、あったあった。

 これだわ、でもこれなんだ?

 俺の前に、木の幹に巻き付き、枝から垂れ下がる謎の巨大な果実がある。

 見た目は派手な赤色に、スイカのような縦シマのライン。

 香りはマンゴーのように強い甘い匂いが辺り一面に広がっている。

 こんな森の中で、こんな美味しそうな果物があれば、とっくに誰かに食われてそうなものだが。

 それともたまたま誰も見つけられなかったのだろうか?


 まぁどちらにせよ都合がいい、今の俺は腹が減っている。

 慣れない岩山の道を抜けて森の中をウロウロしたせいで喉もカラカラだ。

 果物にありつけるのなら最高、果汁が俺の乾いた体を癒してくれるだろう。


 さぁ、収穫して食べよう。

 そう一歩踏み込んだ時、どうやら足元の木の根っこのようなものに躓いたようで、俺は前向きに思いっきりすっころんだ。


「バクンッ!」


 いってぇ。

 あたたた、膝擦りむいたかね。

 ん? なんか頭の上に水滴が落ちたな、雨でも降ってきたか?

 そう思って尻もちをついたままの姿勢で見上げると、そこには太陽


 のように大きく真っ赤な口を開いて涎を垂らす、食人果実の姿があったとさ。


 そこからの俺の動きは、この世界に来てから一番いい動きをしたと思う。

 まずその場で真横に転がりながら、俺を食らおうと襲い掛かる食人果実を避ける。

 そしてそのままクラウチングスタートのように、もたつきながらも立ち上がって走りつつ距離を取る。

 幸い遠距離の攻撃は無かったようで、それ以上襲われることは無かった。


 危なかった、無警戒が過ぎた。

 俺は馬鹿か、この世界のヤバさを、2回死んだ程度で学んだつもりもいた。

 危険なのは人間だけじゃない、同族のゴブリンは信用していいだろうが、それ以外の全ての生物は敵だと思わなければ。

 植物だって例外じゃない、地球と生態系を一緒にしちゃいけない。

 似て非なるものなのだ、長生きしたいんだったら常に警戒を怠るな。

 逃げたと思っても油断するな、前を向け、敵がいるかもしれないだろう。


 前を向いた、敵がいた。

 蛇だ。

 サイズがね、おかしいんですよね。

 アオダイショウが実際に俺が見た中で一番大きいサイズだったんだけど、コイツは群を抜いてるね。

 あぁ、テレビで見たことあるな。アナコンダだっけ?

 地球で一番でけえ蛇って紹介されてたはずなんだけど、たぶんコイツはそれよりデカいと思う。

 いや単純に俺の身長が1mくらいだからさ、前世より縮んでて余計に大きく見えるのかもしれんけど。

 とぐろを巻いて寝てるっぽいんだけどさ、それでも俺の2倍は背丈あるんだよ。

 もし体が伸びたら、どれくらいの長さなんだろうなぁ。

 現実逃避してる場合じゃねえや、早くここから離れなきゃ。


 でもさっき食人植物を回避したのに運を使い切っちゃったのかね。

 枝、踏んじゃってさ。

 結構デカい音が響いたんだよね。

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