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第3話 初めての野営

三話目です。

「まずは、ありがとうと言うべきかしら。私はベルナ・フィルナ。ベイルーシャのフィルナ伯爵の娘ですわ。あとマントありがとう!!!!!」


お礼は俺の顔に紅葉を作る前に言って欲しかった。あとマントは強奪されたのだが、この際だから水に流そうと思う。

ゴブリンの襲撃から俺は、ベルナをほとんど裸で抱きかかえながらひたすら走り亜魔の森を脱出していた。今いるのは亜魔の森から東のベイルーシャの大草原と呼ばれる草原地帯の街道。

ベルナを降ろした瞬間にビンタを食らった処だった。



「俺はキョウヤ。えっとベルナ様って呼んだ方がよろしいのでしょうか?」


貴族の娘って事はあんまりな態度を取るわけにはいかない。下手したら(ベルナ)の一声で犯罪者にされるかもしれないし。


「構いません。命を助けてもらったのはこちらも理解しています」


「お連れの方に関しましては、その・・・残念でした・・・」


「あなたなら、アウグストも助けられたと思ってしまうのはワガママなんでしょうね。別段責める気はありません。顔をあげてくださいまし」


「すみません」


そんな言葉しか出てこないのが歯がゆい。

でも俺は別に万能じゃないし今回できる最善の流れに乗った結果だと思っている。知らない老騎士と女の子と自分の命だったら自分の命を取るし、たまたま今回ベルナを助けられただけで、二人とも見殺しにしたかもしれないと思うとやはり俺は主人公には向かないみたいだ。

少なくとも、ヒーローみたいな能力はない。今回もメルカが・・・


「そうだ。メルカ!!」


『およびですかマスター?』


普通に足元から声がする。メルカがボディに剣と鞄をのせていた。

革製の鞄と剣はどちらも俺の者ではなかった。


『先ほどの戦闘でマスターが投擲した剣と、馬から落ちた鞄を回収しました。こちらはどうされますか?』


「それ!私のですわ!!あぁよかった!この剣があればベイルーシャに入れます!!」


ベルナはメルカから剣を取ろうとして

ひょいっ

メルカがよける。また取ろうとして、メルカがよける。


「返しなさい!それは私のです!」


『否定。取得物に関してはベイルーシャの法律に当ててもシガラムの法律に当てても取得者の物になるはずです。個体名ベルナ。こちらをお求めでしたらマスターに相当の対価を』


あれ、メルカさんがしっかりしてる。

勝手に声がYAMAKOの声だったからYAMAKOのダメなイメージがあったけど、メルカの性格は以外としっかりものなのかもしれない。


「キョウヤ!なんなんですの!!このスライム!!」


「落ち着いて、ベルナの荷物を掠め取る気はないから。剣と鞄はちゃんと返すよ」


「分かってるならっ」


「でもただで返したらそれこそ俺は損をする。だから保障をしてくれないか?」


せっかくメルカが正論を言って頑張ってくれたしね。少しくらいは返してもらおう


「へ?保障ですの?」


「まずはベイルーシャまで一緒に行こう。護衛を俺とメルカでするからさ。その分の依頼代とベイルーシャ国内での身の安全を保障してほしいんだ。」


「依頼代は?」


「俺は人さらいにあって遠い国から来たんだ。こっちの物価が分からないし、送り届けるまでにいろいろ調べて見合った額を請求したい。あんまり無茶な額は言わないから安心して」


「まぁ、いいでしょう。言っておきますけど。鎧壊された分は天引きしますからね!?全く、ミスリルの鎧を分解するなんて!分解魔法使いの中でもかなり高位な術者なのはわかったけど一歩間違ったら私まで分解されていたじゃない!!」


別に壊してないです。収納しただけです。とは言えない雰囲気に曖昧に苦笑いをする。

立て看板を見るとベイルーシャまで約徒歩で3日らしい、なんとも奇妙な事に巻き込まれたけど




何もない草原の中の道路を歩いていく、今度は魔物を中心にメルカに魔物を探査してもらいながら進んでいるので魔物と遭遇することはなかった。二回ヘビが出てきたことがあったけど剣を借りて俺が倒した。

しばらく歩くと大きな木が一本だけ生えているところで今日は野営にした。


スマホの事がばれると面倒だろうし、ベルナには黙っていよう。

ベルナに聞くと、この世界にはブラウニーバックって名前の容量が多めに入る鞄みたいなのがあるらしい


ストレージをこっそり確認すると薪やマッチの他に古びた鞄が入ってた。

メルカに預けていたふりをしながら鞄を取りだす。鞄の中にスマホをいれればブラウニーバックもどきの完成である。


火を起こしてメルカに見張りを頼みながらこの際だからストレージの中を確認する。

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                      ストレージ

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・飲料用水袋 ×14

・初級回復薬 ×5

・初級解毒薬 ×5

・干し肉   ×20

・黒パン   ×20

・キョウヤの私服 ×1

・ミスリルの全身鎧 ×1

・薪     ×2

・火種    ×2

・妖精郷のマント ×1

・鍋 ×2

・フライパン 

・調理用ナイフ

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食料と水、調理器具は一通りあるけど、肉もパンも硬いし肝心の食材が無いからなぁ。

なんかあったかい食べ物を食べたい。

鞄経由で鍋を取りだすと水にパンと干し肉を浸し火にかける。完成したのはスープ風のよくわからないものだった。とりあえず口に含んでみる。

うぅ、しょっぱい、おいしくない。

水袋から水を飲むと、妖精郷のマントを取り出して包まった。


「ずいぶんいいものをお持ちなのね。妖精郷のマントなんて高級品貴族でもそうそう持っていませんわ」


寝ていたと思っていたベルナがこっちを向いて話しかけてくる。たき火の灯りに照らされて金色の髪が一層きれいに見えた。用心してカバンから出したんだが、そっか、このマント高級品なのか。

あ、高級品を持ってるのが怪しいのか!?


「そうなのか?あーなんか鞄に入れてあったんだ。爺さんからもらったんだけど。爺さんは冒険者でさ」


慌てて取り繕った結果、完全に嘘である。俺の爺さんは元保険の営業マンです


「妖精郷のマントは寒さ厚さを完全に防ぐそうですわ。ある程度の魔法も跳ね返しますし、ミスリル以上の素材じゃないと傷つかないそうです。あと命の危険があったときに一度だけ身代わりになってくれると聞いていますわ」


おお、高性能。まぁメルカがいるから防御力過多ともいえるけど、用心に用心を越したことはないだろうしね。でも暑さ寒さを完全に防げるなら安心して眠れる。


俺はメルカに守りを任せて意識を手放したのだった。

次は四話目。ヒロイン候補をだす予定です。

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