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妖精カフェ  作者: 星村直樹
息吹の蓑衣
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トラングラー魔法学園 花薗寮

 今日の午後は、私とあゆ。ウィンディとヒイラギも、トラングラー魔法学園に行く。私達は、午後、学校を休むことにした。午後の半分をさぼることになっちゃったけど、これは急ぎなのだ。当たり前なのだが、クリスタ先生の機嫌が直らない。以前みんなで話し合っていた『かき氷』を学園の寮でふるまうつもり。ここに、クリスタ先生にも来てもらう。早くクリスタ先生に、機嫌を治してもらって、サラとアクアも、衣制作ができるようにしなくてはいけない。今だと、紅蓮洞に行く許可さえもらえないだろう。


 トラングラー魔法学園の生徒は、殆ど寮生だ。アクアやサラみたいに通いの人の方が珍しい。ここは、お嬢様学校で、女生徒しかいない。サラは、モテモテ。アクアは、お姉さまと言われている。


 マスターに頼んで、昔ながらの、かき氷機を持って来てもらった。私が、シロップ。ウィンディとヒイラギが器。氷は、アクアが、ずいぶん気合を入れて練習して、透明なのを作れるようになった。

 実は、あゆのお母さん、美代さんに頼んで作ってもらったフルーチェを持って来ている。これで、クリスタ先生の機嫌が直ればいいんだけど。


「皆さん、千里さんとあゆさんです」


「ごきげんよう」×大勢


 みんな私服なので、きょろきょろしてしまった。


「マスターが、かき氷機を持って来てくれたよ。異世界のおやつをみんなで食べよう」

 サラが、両手をあげてオーバーアクション。これが後輩に受ける。


 みんな、わーとかきゃーとか言っている。

 そこに、クリスタ先生がやって来た。


「皆さん、はしたないですよ。おやつの前に、千里さんのゴールドヘクロディアを見せていただきなさい」


 クリスタ先生が来たので、みんなスカートを少し上げて、「ごきげんよう」と、思い思いに挨拶をしている。そして、私に押し寄せてきた。

 クリスタ先生は、マスターにお礼を言い、少し立ち話をしている。多分、紅アゲハの話だ。


 きゃ!みんな来た

「ごめん、準備しといて」

 私は、寮生たちに捕まった。


 トラングラー魔法学園は、3年制。多分、1年生から順番に私を見に来た。こういうの、学校の伝統なのだろう、しっかりしている。そして、3年生。3年の中には、たまにカフェで見かける子がいる。多分みんな、学園長に、禁止はされていないけれど、カフェに行くなとプレッシャーを掛けられていると思う。でも、3年生にもなると、自分の裁量でカフェに来てくれる。私の目を間近で見るというのは、変わらないけど、声を掛けてくれた。


「かき氷なんて、妖精カフェのメニューにあったっけ」

「今回は、スペシャルメニューがあるのでしょう。その話も、聞きましたよ。楽しみです」


「かき氷は、私の世界のお菓子よ。みんな急いで食べないでね。頭が、キー――ンってするから」


「そうなの?」

「楽しみ」


 私と卒業時期がずれているから、みんな、まだ、学生だけど。同い年。カフェで、もうちょっとおしゃべりするようにして、友達になろう。


「二人とも、カフェで、いっつも蜂蜜ばかりでしょう。今度、ヒイラギか、ウィンディに聞いて、新しいメニューにも挑戦して」


「それって、ちょっとした冒険ね」

「でも、面白そう」


「今日の方がよっぽど冒険よ」


「わかったわ」

「今度カフェで」


「待って、二人とも。お名前は?」


「ルーよ。ルー・ルート」

「私は、アオイ・グランド。私が、土で、ルーは、風のエレメンタルよ」

「またね」

「またカフェで」


 ルーにアオイか、彼女たちは、後3カ月で卒業。サラもアクアもそうなのだけれど、二人は、飛び級する気満々だと話していた。



「千里さん、ようこそ、花薗寮にいらっしゃいました。一度、学生たちに、千里さんのゴールドヘクロディアを間直で見させてあげたいと思っていたのです」


「クリスタ先生、こんにちわ。これで、トラングラー魔法学園の生徒は全部でしょうか。思ったより生徒さんが少ないんですね」


「良家のお嬢さんばかりですから、少数精鋭と言えます。今度は、先生方にも会ってください」


「お願いします。それで、サラとアクアのことなんですが」


 ゲッ、顔色が変わった。


「さっき、お宅のマスターにも、言われましたが、それはそれです。ですが、わたくしを納得させる事案があるとか。それは、本人たちに話させるべきでしょう。それでいいですか?」


「ありがとうございます」

 マスターでも説得できない状態だ。ここは、平身低頭しかない。


「サラとアクアの関係者に、当人の問題だと宣言できました。わたくしも、おやつをいただこうかしら」


「氷のお菓子ですから、ゆっくり食べてください。じゃないと、頭がキー―ンとします」


「面白そうですね。そんなお菓子は、初めてよ」


 あっ、気さくな感じになった。今日は接待だけで、後は、当人に頑張ってもらおうと思った。



 みんな、思い思いに、食べだした。中には、キーーーンをやってしまった子もいたが、みんな「美味しいね」と言ってくれた。サラたちは、自分も、キーーーンをやってしまったくせに、後輩に、「ゆっくり食べないとダメじゃない」と、先輩面してた。二人にとっては、これが一番の目的だったりして。


 あゆが、次の作戦に移ろうと言ってきた。


「クリスタ先生に、フルーチェ出す?」


「さっきクリスタ先生に、本人の直談判じゃないと話を聞いてあげません。って感じのことを言われたのね。だから、クリスタ先生を優先するのは、やらないほうがいいと思う。普通にみんなに出そ」


「じゃあ、私がやるね」


 あゆが、みんなに大きな声で、スペシャルメニューの話をした。


「皆さん、今日は、もうひと品、スペシャルメニューがあります。フルーチェです。これにトッピングのジャムを4種類用意しました。フルーチェだけでも美味しいですが、ジャムも試してみてください」


 この掛け声と共に、ウィンディと、ヒイラギが準備していたフルーチェコーナーに寮生が殺到した。サラとアクアは、ジャム係。慌てて持ち場に着いた。



「皆さん、お代わりがあります。ゆっくり、ゆっくりで大丈夫よ」

 ウィンディが、落ち着けと寮生をなだめる。

「たっぷり用意したから、2杯まで、絶対大丈夫」

 ヒイラギもそう。


 寮生が一巡したころで、クリスタ先生が、フルーチェを貰いにやって来た。そして、ジャムコーナーへ。クリスタ先生は、お勧めのジャムをサラとアクアに聞いていた。二人は、ウィンディが東京で最初に選んだりんごジャムをお勧めした。そして、ジャム大盛り。クリスタ先生が、苦笑いして二人に、「紅アゲハのことを詳しく話しにいらっしゃい」と、話してくれた。二人は、遠めに見ても良く分かるぐらい、ペコペコ頭を下げていた。


 おやつ作戦成功。私とあゆ、ウィンディとヒイラギが目を合わせて、やったねと喜んだ。

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