アンナとマスターが王子探しに参戦
妖精カフェに帰ると、大変なことになっていた。東京の店には、常連のモーリスさんが、ぽつんといるだけ。私が帰って来たので、めちゃめちゃ安心した顔をした。
「オー、千里、帰って来たね。支払いをさせてくれ」
「アンナさんは、どうしたんですか」
「それが、ヒロシと喧嘩しちゃってね。店に帰ってこないんだ。今、お代を置いて帰ろうとしたところだよ」
「ケーキセットで、650円です。ありがとうございました」
「くわばら、くわばらね」
ウィンディたちは先に精霊界に帰った。店を放っとけないので、東京に側にいるとウィンディが、「東京側の店を閉めてちょうだい」と、やって来た。
「どうだった、アンナさん」
「店長が、自分で、タマゴを探しに行くって言ったのよ。アンナが怒っちゃって」
ウィンディも昨晩、ターシャとナーシャから、アンナとマスターのなれそめを聞いていたので、事情を知っている。知らいないサラとアクアには、ヒイラギが対応中。3人は、機織りの作業場にいる。
「大変!!」
「でも、アンナが折れたみたい。マスターって、アイテムのトレジャーハンターだったでしょう。独自の情報網を持っているんですって。でも、みんなんは、マスターが、死んだって思っているのね。だから自分が行くしかないんだって」
「マスターって、トレジャーハンターだったの! 初めて聞いた」
「だから、アイテム屋をやっているのよ。アンナも情報屋の友達が、一人いるんだけど、まだ、駆け出しなのよ」
「京爺は何て言っているの?」
「それが、京爺が仲裁したから大変なのよ『アンナもついて行けばいいじゃろ』って、煽ったのよ」
「あーーー。駄目な展開だ。じゃあ」
「しばらく妖精カフェは、閉店ね」
「でも、明日、あゆが来るよ」
「それは京爺が、次元門の所で、引っ張ればいいのよ」
「でも、食事とかどうするの?ターシャさん達も忙しいよ。龍王城に行ってるし」
「お昼ぐらいは、サーシャに頼めるわ。後は、千里がコンビニ行くとか」
「京爺の分もだよね。お金は、まだあるよ。でも、ずっとコンビニ?」
ウィンディが「そうよね」と、悩みだした。
「う~ん、う~ん。分かった、私が店を開ける。アイテム屋は、無理だけど、カフェなら大丈夫よ。そうすれば、品物も入ってくるのね。少しぐらいなら、食材も融通してもらえると思う。千里が作るのよ」
「無理、無理、無理」
「この間言ってたじゃない。パスタとかなら大丈夫だって。あのルーの食材は、精霊界のよ」
「そっか、何食か頑張ってみる。ユミルさん、応援に来てくれないか聞いてみて。シップウが迎えに行けばすぐでしょ」
「サラに聞いてみる」
なんだか、インスタントカレーとか、インスタントスパゲティとか、インスタントラーメンになりそうな予感。精霊界側のカフェの厨房は、とても簡素だ。東京側の台所の方だと何でもできる。自分が食事を作るしかない。
そう言えばユミルさん、「肉が、入っていない食事なんて食事じゃない」って言ってた。どっかで奮発しないとやばいかもしれない。向こうの厨房は、サーシャさんの家が、火の国料理主体だから、そこの厨房を借りればいいか。それで、何食かユミルさんに任せてと・・・・全部かませてと。
それは無理かーーー
「ちょっと千里」
「私、反省のポーズをしてた」
「すっごく。大丈夫?」
「なんとかなるわーー」
「やけで言ってないよね」
「やっぱりユミルさんに頼んでみて。ウィンディも大変なのに、ごめんなさい」
つい、ウィンディを拝んでしまった。
「大丈夫よ」
ポンポンと、鼻の頭をたたかれた。頼りになる先輩がいて良かった。同い年だけど。
覚悟を決めて、マスターとアンナに会いに精霊界側に行った。東京の店を閉めているうちに、もう、ウィンディが、さっきの話をした見たい。アンナが駆け寄ってきた。
「千里もごめんね。やっぱり、博史さんが探しに行くしかないみたい。心配だわ」
「サーシャさんとターシャさんに聞きました。まだ、新婚旅行に行っていないんですよね。二人で行ったらいいんです。あゆのこともあるし、私が食事を作ります(強気)」
「ユミルさんが3日ぐらい来てくれるそうだよ」
「本当ですか!」
意地を張っていたのが、ばればれのリアクション。
「千里君は、ガラスの糸を完成させないといけないんだから。そんなに気を張らなくてもいいんだよ」
「ボンカレーが台所にあるわよ」
「本当ですか!」
ばればれ確定。
・・・・・・・まずい
「一度ぐらいは、お肉たっぷりのカレーを作ろうと思います」
「ユミルが喜ぶと思うよ」
「早くガラスの糸を試しましょう」
「サラ、アクア!」
「遅いから、迎えに来たんだよ」
「そうですわ。今日作っちゃいましょう」
気合の入った二人がやって来た。
「京爺は?」
「ここじゃ。今日は、無礼講なんじゃと」
もう、酔っぱらっていた。
「明日から、お酒を控えてもらうのよ」と、アンナに耳打ちされた。
「なるほど。それで、いつ出発するんですか」
「あゆちゃんの受け入れをしたらすぐだよ。まず、アメリカに向かわなくっちゃいけないんだ」
「連絡は携帯にするわね」
「夜は、アパートに帰っていてくれ。ぽくかアンナが、必ず1回は連絡を入れるよ」
「他の時間は、メールする」
「了解です」
つまり、明日のお昼は、私だ。もう、待ったなし。私もガラスの糸を紡ぐのに気合が入ってきた。
「行きましょうよ」
「さっさと紡ぐからね」
サラとアクアの気合が入っているのは、ウィンディとヒイラギを手伝うため。私は、サラとアクアの後について作業場に向かった。




