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妖精カフェ  作者: 星村直樹
アルバイトはカフェで
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腐海を作った犯人発見

 ちょうどその頃、腐海の対岸では、あの、生命の緑石を買ったイギリス紳士二人が、浄化魔法を必死になって唱えていた。これは、パトーナム詠唱をもとにした水の魔法で、腐った水や沼地の池には有効だが、腐海には、全く効果がなかった。


「・・・我が力を与えん、パトーナム。駄目だ。トニー、もう、やめよう」

「諦めるなリチャード。これだと、留年じゃあすまないぞ」

「だけど、君まで巻き込んでしまう」

「もう、巻き込まれているだろ。おれの為にも、諦めるなよ相棒」


 その時、対岸が光った。


「おい、何だあの光は。腐海が、緑の光に覆われて行く」

 トニーが、腐海の対岸を指さした。対岸から、まばゆい光が点り、そこから、緑の光が広がっていく。それも、途中から、加速した。


 立ち尽くす二人に、「ひゅーーー」と、風の音が聞こえた。

 実際は、

「見つけた。あんたたち、よくも私の後輩を 泣かせてくれちゃったわね」

と、ウィンディが、大声で怒っていた。

 でも、二人には、ウィンディが見えない。


 二人が、風の音がする腐海の上空を見上げると、鬼のような顔をしたマスターが腕組みして、浮かんでいる。下から、緑の光が当たるから、余計怖い。


「私は、妖精カフェの大海博史だ。君たち、金を払ったら、魔法雑貨が買えるなんて、今日から、そんな考えは捨てるんだな。勝手にアイテムを持って行くから、うちの子が泣いてしまっただろ」


「あ、あの・・」

「・・・・」


 ひゅーひゅー 「はいはい、ごめんなさい」

 ウィンディが、ひゅっと飛んで、リチャードの懐から、生命の緑石を奪い取って、マスターに渡した。慌てるリチャード。


「これは、返してもらう。トニーはどっちだ」


「自分です」


「この小切手は、受け取れない」

 ひゅー「マスター、エンブレム」

「そうか、君たちはバスク魔法学校の生徒か。なるほど、アンナの残した謎の一つを解いたんだね。だが、礼儀がなっていない。ウィンディ」


 ウィンディが、小切手をトニーのもとに持って行く。二人には、まるで、小切手が、生きているように見える。


「このことは、学校に報告する。覚悟しなさい。ただ、謎を解いたことに免じて、このアイテムは売らないで取っておいてやろう。これの使い方が分かったら買いに来なさい。その時試してやろう。ダメだったら、諦めるんだな」

 ひゅー

「そうだね。あと、うちの千里君に、謝ってもらいたいものだ。実際は、二度と店の敷居をまたがせたくないというが本音だけどね。腐海は、こちらで処理する。君たちは国に帰りなさい」


 マスターとウィンディは、冷ややかな目で二人を見て、千里がいる向こう河岸に帰った。


 トニーとリチャードは、マスターに謝ることも、声をかけることもできず、暗い顔をしてその場を去った。




 樹海の帰りは、ヒイラギと二人で、車の中で眠ってしまった。起こされたらアパートの前だった。マスターに言われるままに。アパートに帰ってすぐ寝た。本当は、ヒイラギの両親にお礼を言わないといけなかったけど、眠くて、意識が朦朧としていたと思う。


 次の日、靴に付いた腐海の臭いが、やばいと思って、早く起きてしまった。でも、ウィンディか京爺が、帰りの車の中で、浄化してくれていて臭くはなく。アンナに借りたオーバーを着て出勤した。オーバーのそでを通した時の質感と言うか着心地の良さ。とにかく、何かピンと来た。良い服ってこれよ。デザインだけじゃない。袖を通した時の着心地が大事だって思った。


 今日は、ウィンディについて、接客を研修する。本当は、ここまでを2日で研修するはずだった。雑貨店の手伝いは、妖精のハンカチ作りが済んでからになる。一人前になるのはまだ先だ。通勤で歩きながらメールをチェックした。あゆからだ。


「妖精の絹糸で作ったショールがあるそうです。売り物ではありません。門外不出なので、今度見に来てください」


 やった。これで、妖精の絹糸作りに実感が持てる。私は元気よく、妖精カフェの玄関で私を待っていたウィンディとアンナに「おはようございます」と、声をかけた。

最後まで読んでいただいて、感謝いたします。今回完結させましたが、何か良いストーリーが浮かびましたら、また、書きたい思います。ありがとうございました。

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