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桜井香奈の禁断の恋

兄貴への恋

作者: 鷹羽飛鳥

 夏の恋企画「恋に身を焦がす夏」が盛り上がってるのが羨ましくて、無謀にも参戦です。

 ハッピーエンドとは言えないので、それが嫌な方はブラウザバックしてください。

 R15は保険です。


※ タイトル変更しました。

 朝食の最中、昨日1日でやたらと日焼けしてきた兄貴に、母さんが言った。

 「あんた、そんなに日焼けして。日焼け止め、塗らなかったの?」


 「いや~、塗ったには塗ったんだけどさ、汗やら海水やらでさっさと落ちちまったんだよ」


 「あんまり安いの使わない方がいいわよ」


 「ん、まあ、この夏はもう海には行かないから」


 兄貴は、妙に朝食をそそくさと食べている。

 母さんが台所に立った隙に、兄貴に耳打ちする。

 

 「なに、兄貴、今日もデート? お盛んねぇ。昨日はどこでご休憩したの?」


 「ぶふっ!」


 兄貴がコーヒーを吹いた。汚いな。

 幸い、吹いたコーヒーはほとんどがカップに帰ったから、兄貴の顔と胸元が汚れたくらいですんだ。


 「おまっ、何言って…」

 「いいから、さっさと片付けて着替えなよ」


 部屋に着替えに戻った兄貴を追って、そおっとドアを開ける。

 真っ黒に日焼けした兄貴の背中が見えた。


 「あ~にき、もう皮剥けてるねぇ。なんか角度が変だけど」


 振り返った兄貴は、じと目であたしを見て、呆れた声で言ってきた。


 「お前なぁ、頼むから母さんの前でああいうこと言わないでくれよ」


 「いやぁ、なんだか自分だけいい思いをしてきて、多大な功績のあったあたしには見返りがなかったみたいだからさぁ」


 軽く横目で睨んでやると、兄貴は、指で頬を掻いた。


 「忘れてないって。

  ちゃんと後でケーキ食べ放題に連れてくから」


 「よろしい。では、今日も好きなだけ励んできたまえ。

  ちなみに、真理先輩は処女だった?」


 「知らん。どっちでも構わねぇし、気にしなかった」


 「そ? 男って、そういうの気にするもんだと思ってた」


 「する奴はするだろうけどな。俺は、真理と付き合えただけで満足だから、過去は気にしない」


 …それって、処女じゃなかったけど気付かないふりしてるってこと? まあ、真理先輩、高校時代からもててたもんね。


 「そか、偉い偉い。んじゃ、今日も盛ってきてくれたまえ」


 「それだけでデートしてるわけじゃねえぞ」


 ひとしきりじゃれた後、兄貴はデートに出掛けていった。


 2つ上の兄貴は家から通える大学に通っていて、ついこの前、同じ大学に通う齋藤真理先輩と付き合い始めた。

 真理先輩は、あたしの高校の部活の先輩で、兄貴が告るに当たり、あたしが果たした役割は大きい。

 成功報酬として、あたしは兄貴にホテルのケーキバイキングに連れて行ってもらうことになっている。


 昨日、兄貴は父さんの車を借りて先輩と海にデートに出掛け、とうとう一歩前進してしまったらしい。

 さっき見た背中には、先輩の爪の跡と思しきものがあった。

 どうせ今日もデートのついでに盛るのだろう。

 まったく、猿じゃあるまいし、いくら夏休みだからって、毎日盛らなくてもよさそうなものだ。

 ま、幸せそうだからいいか。





 自分の部屋に入って鍵を掛けたあたしは、やっと素直になれる。

 好きな人が幸せならいいなんて、偽善もいいところだ。よくわかった。

 正直、兄貴が真理先輩と付き合えば、諦められると思ってた。

 付き合う橋渡しなんかするんじゃなかった。時間を戻してあの時の自分を殴りたい。



 あたしが兄貴への想いを自覚したのは、中学生の頃だったと思う。

 それまでは、単に兄を大好きな妹でしかなかった。

 兄貴に恋をしていると自覚してしまったら、あたしはもう兄貴と普通に接することはできなかった。

 腕にしがみつく、背中に抱きつくといった、それまで普通にできたことが、もうできない。やったら、きっと歯止めが利かなくなる。

 「お兄ちゃん」と呼んでいたのを「兄貴」に変えて、距離を置くようになった。思春期だからと、誰もが納得してくれた。

 これで、あたしの気持ちがバレる心配はないはず。


 あたしのファーストキスは、リビングでうたた寝していた兄貴にこっそりあげた。

 たぶん、兄貴にとっても初めてだったと思う。

 あたしと兄貴は、正真正銘血の繋がった兄妹だ。あたしだって、この恋が決して実らないものだってわかってる。

 でも、駄目だ。あたしは兄貴が好き。諦めるなんて、できない。

 処女だって、いつでもあげる。

 兄貴。


 でも、知られるわけにはいかない。

 さすがに、知られたら兄貴は引くだろう。

 知られてはいけない。

 あたしは、小生意気な妹、それでいい。

 もしかしたら、いつか酔って正体をなくした兄貴と間違いでも起こす(・・・・・・・・)日が来るかもしれない。

 運が良ければ、子供だって。


 その日まで、あたしはこの地獄の炎に身を焦がそう。

 それでも燃え尽きないこの想いを抱いて。

 この作品は、「恋に身を焦がす」=そうか、インモラルね! という発想から突然降りてきたものです。

 狂おしいほどの恋情に身を焦がす少女、というものを書いてしまいました。

 鷹羽は、決して近親相姦もインモラルな恋愛も奨励しておりません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 近親相姦ネタってお話ではよくありますが、実際そうなる割合ってどれくらいあるんでしょうね。 自分や自分のまわりって家族だから幻滅してるというのが多すぎてわからないですが、いたとしたら背徳…
[良い点] 香奈が禁忌だという自覚を持ち、且つ覚悟のある想いを貫いているところ。 少女の一途さはそれだけで尊い。 [気になる点] 香奈が自室に戻ってから何もしていないところ。 ここまで気持ち昂らせたら…
[良い点] 「背中を押して」と併せて拝読致しました。 リアルで兄がいる香月ですが、そこまで惚れ込むような兄ではないので、兄は兄でしかありません。 それはともかく、恋に堕ちてしまったんですね…。 しかも…
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