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最後に念のためにアイテムを買うことにする。

MPが切れて回復が出来なくなったときや、危ない状態異常がないとも限らない。


検索バーがあるので、“回復”と入れて検索する。



====================


HP回復薬:300P

MP回復薬:300P

SP回復薬:300P

解毒薬:500P

……………

………


====================



かなり種類があるようだが、上の方によく使いそうな物が並んでいるので、順に購入しアイテムボックスに収納していく。


アイテムボックスは拡張して1.5tまで入るようにした。

愛用のバイクと自転車も持っていくつもりで、壊れても修復魔法で元通りに出来るのならば小回りが効き、移動速度が早いバイクは必須なので拡張したのだ。


準備は出来た。

しばらくは家を拠点に、レベリングしつつポイント回収を行う。

この辺は市街地から離れているが、別にお店がないという訳じゃないのだ。


さて、行くか。

玄関を開ける。


目の前に男の亡者がいた。


「ガァアアア」


「なっ!?」


警戒していなかった為に、反応が遅れたが咄嗟に右腕を上げて防御する。

男の亡者が腕に噛みつき、肉を無理矢理噛みちぎる。


「ぐぅううううううう!!」


あまりの痛さに悶絶しながらも何とか体勢を整えたが、次の亡者の行動を見て動きを止める。


ーームシャムシャ、ゴクンッ


食べたのだ。

俺の肉を美味しそうに咀嚼して。


このとき、恐怖が痛みを上回った。


「う、うぁあああああああああ!!」


無意識にリンドエースを手に取り振るった。

型も何も無く、力任せに何度も叩き付けた。


気が付いたときには、亡者は灰になっていた。


玄関を閉めて、鍵をかけるとそのまま座り込む。


怖かった。

自分の肉を目の前で食べられる恐怖は、想像を絶したものだった。

死んでいった人たちは、この恐怖を味わって絶望しながら絶命したのだろう。


油断、慢心を無意識にしていた。

強い武器を持って、何とかなると根拠も無いのにそう思っていた。


実際はどうだ。

強いのは武器だけであり、俺自身は弱いままだった。

勘違いをした結果が、先ほどの恐怖を味わうことになった。


だが、生き残れた。

恐怖を知れた。

知ったからには対処できる。


もう、2度と油断はしない。


「いっつぅ!?」


そう決めて立ち上がろうとすると右腕に激痛が走った。

そういえば、亡者にやられたままだったのを忘れていた。

アイテムボックスから回復薬を取り出して飲むと、瞬く間に傷がなくなった。


今度こそ立ち上がり、玄関のドアノブに手をかける。

警戒して廊下の安全を確認し外に出て階段を降りていく。

表に出れば亡者たちが襲ってくる。


「ガァウゥ」


俺はリンドエースを振るい、真っ二つに両断する。

深追いはしないで1度引いて、再び振るう。


1体ずつ確実に。


戦って気が付いたことがある。

なぜか女性の亡者がいないことに。

女性の亡者を倒すことに躊躇いがあるので、助かることだが不安もある。


考えてもわからないことなので、一旦脇にに置いておく。


まずは、マンションの周辺を探索して安全を確保する。

生存者がいたら、そのときに対応を考えよう。







自宅に帰り付き、アナログ時計を見ると17時になろうとしている。


さて、亡者たちとの戦闘でわかったことをまとめるとする。


まず、5mぐらいまで近付かないと襲ってこない。

何というか、人がボーッと歩いて視界に入って初めて気が付いたって感じだった。

真後ろにピッタリと張り付いてみたが、それでも襲われなかったことからおツムは弱いようだ。

しかし、大きな音を立てると聞こえたと思われる亡者は、街灯に集まる虫のように集まってきたので、バイクに乗る時は注意が必要だろう。


次に、亡者の弱点であるが、頭部を破壊されれば倒せるようだ。

心臓を刺したり、首を斬ったりしたが頭部を破壊しない限り襲ってきた。

ただ、再生はしないので、四肢を斬ったりすれば行動を制限させられるのは動物と一緒だった。

なお、頭部……というより素材となる部分を取り出すか、それごと破壊すると残りは灰となって消えるようである。


他には、女の亡者が1人も見当たらないこと。

どういう理由なのかわからないが、本当に女の亡者がいない。

ちなみに、探索した範囲内では生存者はいなかった。


亡者たちのことでわかったのはこれぐらいだ。


次に、今日の成果だ。


レベリングをしつつ探索したのだが、何と新しいコンビニを発見したのだ。

ここからは離れていたし、何より発見した方向は、普段行かないところだったので見落としていただけなんだがな。

幸運なことに、ATMやレジからは現金を回収できたので、ポイントに交換して約30,000Pも手に入れた。


後は、飲食料品の確保をしたぐらいで特に何も無い。


ステータス画面を開くと、レベルが12となり、僧侶の熟練度が9/20となっていることから相当な数の亡者を倒したのだろう。

そのお陰で、返り血を浴びて血塗れで気持ち悪い。


生活魔法(初級)に“クリーン”という魔法があるのだが、これは物にしか効果がなかった。

つまり、顔や服の中に入って付いた血は落とせない。


電気はまだ生きているようだし、シャワーは使えるだろうか。

……うん、問題ないな。


では、浴びるとしよう。

装備はアイテムボックスに収納し、風の短剣だけ手の届く範囲に置いておく。

無いとは思うが、いざと言うときのためにだ。


シャワーを浴びていて、思い出したが相棒からの連絡はどうなっただろうか。

後で確認だな。


さて、スッキリしたので普段着に着替えつつスマホを確認すると、返事が着ていた。


相棒『生きてるよ。とりあえず、家に篭城してるけど食料がいつまでもつかわからない』


この返事から予測出来ることは、まだ亡者を倒していないのだろう。

俺の場合は偶然だったのだが。


俺『外にいる死人…亡者と言うらしいのだが、それを倒せば、色々と便利な能力が手に入る。一応、今日でわかったことを教えるから何とかしてくれ』


色々と一通り書き入れて送信する。

さて、そろそろご飯にしたいが、その前に雨戸を閉めて、玄関に軽くバリケードを作って防犯する。

雨戸を閉める目的は、夜に電気をつけたら目立つので、隠す為にするのだ。


さて、これで安心してご飯を食べれる。

と言ってもコンビニ弁当だが。


食べながら、ショップを開く。

だいぶレベルが上がったので何か購入出来る技能がないか探したが、殆ど変わらなかった。


今日は何とかなったが、明日はどうなるかわからないからな。


そろそろ防具も欲しい。

どんなに強い武器でも効かなければ意味がない。

そのとき、生き延びられるような物と言ったら防具なのだが、ショップを見る限り武器チケットのような物はない。


何故だろうか。

無いものは仕方ないので諦める。


気になる物があるのでアイテム欄を見るが、数が多すぎだ。

数億種類はあるんじゃないか?


ゲームでは、獲得経験値や能力が増加するアイテムがあるが売っているだろうか。

検索バーに“上昇”や“増加”と入れて検索する。



====================


経験値増加飴(小):300P

経験値増加飴(中):800P

経験値増加飴(大):1,500P

職業熟練度増加飴(小):300P

職業熟練度増加飴(中):800P

……………

………


====================



あったよ……

説明を見てみる。



====================


獲得経験値増加飴(小):300P

1時間の間、獲得できる経験値を少し増加させる不思議な飴。

※購入制限有り:1ヶ月に10個まで


====================



最初から探しておけばよかった。

一時的に能力値を上昇させる薬もあったので、そちらも合わせて全て購入した。


朝から使っておけば、と思わなくもないが過ぎてしまったことは仕方ない。

明日から頑張ろう。




ーー世界が異界化して1日目が終わった。

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