憂鬱な春(しのぶ)
五作目は、しのぶ先生が書いて下さりました。しのぶ先生、ありがとうございました!
桜と人との対比、春に関する物思いや願いが、七五調文語定型詩による独特な雰囲気の下書かれています。
どこかで聞いたことのある言葉も、この詩ならではのイメージに繋がるものとなっています。
花の命は短くて
春を越さずに散るものの
人の命の長くあり
悲惨なことに勝るもの
この世に春は来たるとも
我が世の春は遠くなり
重ねた時が増すほどに
忌むべきことも増し来たり
桜は散るも美しく
さらにわずらうこともなし
せめては我もあやかって
静かに散らん願わくは
花の下にて春死なん
その如月の望月に
人のそう告げ立ち去りし
その足跡ぞ偲ばるる
光のどけき春の日に
花が散るのも無情なり
人の心の常ならず
人をだますも非情なり
お読みいただき、ありがとうございました!
『願わくは花の下にて春死なん その如月の望月』は西行法師の辞世の句からの引用ですかね。
『光のどけき春の日に』は紀友則の歌からでしょうか。
どちらもこの詩を引き立たせるものとなっているような気がします。
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