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神頼み

今日のお話でございます。

「 ・・・ ご主人様 レウィは助かりますよね 」


フェオが懇願するような目で見上げてくる


レウィの容体は一旦安定したようで、今は眠っている。


この世界には当然ながら動物病院などと言う存在は無い。


人間の病気や怪我も、多くは治癒魔法や回復薬等に頼っており、ようするに魔法だ。


例えば馬車を引く馬が怪我をした場合、御者や関係者は治療薬や回復薬を使用することが多い。

魔法及び魔法により生成された薬品類の効果は高い。


ところが、その魔法や魔法薬が効かないのだ。

先天性魔素排出不全には・・・


当然といえば当然のことながら、先天性魔素排出不全は病気でもなければ怪我でもない

一種の特異体質もしくは先天的な障害である。

体に取り込まれた魔素の排出が出来ずに中毒症状を呈してしまうので、魔法による治療や魔法薬の使用は症状を進行させるだけなのだ。


取り乱すフェオを落ち着かせて、魔法薬を慌てて用意したユーンを止めてから説明を行った。

ミーネの説明もあって理解は進み、最低限の魔力での確定診断の結果はほぼ間違いなく先天性魔素排出不全であることが判明した。


「 今は落ち着いているけれど、何とかしないと・・・ 」


正直なところ魔素の影響下にある限りどうにもできないのだ、この世界のありとあらゆるものに量の多少は有れ魔素は含まれてしまっている。

生き物である以上飲み食いから逃れるすべは死ぬことしかありえない。

幼いレウィにとって飲まない食べないは死につながるが、その飲食物には魔素が含まれ毒となる。


「 なぁ リックぅ 神様にお願いして治してもらおうよ 」


泣きそうな顔でマーサが訴える。

魔法でどうすることも出来ないこの状況下で後は神頼みしかない、一般的には性質の悪い冗談にしか聞こえないことだが・・・

トォーニ様というこの世界の神様を知っている身からすれば願いたくなる気持ちも分かる。


「 ご主人様・・・ フェオからもお願いします。 どうかレウィを助けてあげてください どうかぁ・・・ 」


泣き崩れてしまうフェオの姿を見て、僕は躊躇する気持ちを振り捨てた。


「 トォーニ様!! お願いします 御顕現ください 」







「 りっ君 来たよぉ 」


目の前には阿佐ヶ谷のおじさんこと トォーニ様のお姿が在った。

今は神に縋るしかない、人の身でありながら不遜な願いであることは理解したうえで

ただ目の前の神に縋るしかない。






「 うーーん 」


神様である存在が腕組みをしながら唸っている。

どうやら我々の願いはそれほど大それたものだったらしい。



「 トォーニ様 どうかお願いします この子を御救いください 」


「 お願いしますニャ ポル様のお手伝いもいっぱいします。我侭も言いませんから お願いしますニャン 」


「 神様ぁ 何とかしてあげてくれよぉ どうかこの通り 」


「 勝手な願いなのは理解しております どうぞ御慈悲をもちましてこの幼き命を御救いください 」




お嫁さん達はみんなそれぞれにトォーニ様にレウィのことをお願いしている。

小さな命を何とか救えるように・・・



「 みんなの願いや思いは受け取ったけれど まずは謝らないといけない 」


「 神様・・・それって 」


みんなの顔が悲痛にゆがむ


「 生きとし生けるものの運命を大きく捻じ曲げる行為は管理神には許されていないの この子から先天性魔素排出不全を取り除くことはそれに該当してしまう ごめんね 」


トォーニ様の顔も歪んでいる、正に神に縋ってきた者に不可能だと告げなければいけない神たる身の苦渋が表情にある。


「 そんな・・・ じゃあ じゃあ レウィは・・・ 」


泣きじゃくるフェオ

するとフェオの泣き声に目を覚ましたレウィが心配そうに体を精一杯伸ばしてフェオの顔をなめている。

大好きなママが嘆き悲しんでいるから、弱った体力でも自分にできる事を幼い子が必死出している。







「 この子を救う方法が全くないわけではないんだよ 犬族の子よ 」


トォーニ様がしばしの沈黙ののちに口を開いた。


「 え 」


「 運命を大きく捻じ曲げなくてもこの子が生きながらえる方法は一つだけ 」


トォーニ様は優しくフェオに語りかける。


「 私にできる事なら何でもします 」


フェオの横でユーンもマーサもノエルさんもセオも、そして僕も大きく頷いてトォーニ様を見つめていた。












「 とりあえずは体力を回復させることか 」


現状では何をするのにもレウィの体力が低下し過ぎている、そこでトォーニ様が手伝ってくれたのは。


「 これをあげればいいのニャ? 」


ユーンが高位収納魔道具から取り出したのは、山羊のミルク。

体力を取り戻すために必要なのは、エネルギーや栄養を摂取すること。だけどこの世界の食物には魔素が含まれている、そこでトォーニ様がレウィの今の主食である山羊ミルクから魔素を取り除いてくれたのだ。


「 うん、他の物は一切ダメだよ わかったねフェオも 」


「 はい、レウィのためです 心を鬼にします 」


犬もそうだけど人間が食べてるものを欲しがる、まだレウィは赤ちゃんだけど乳歯も生えてきているので本来なら乳だけでなく噛み砕いた肉類も食べる頃なのかもしれないが

魔素をこれ以上体に取り込ませないため魔素を取り除いたミルクだけが当面の食べ物だ。


もちろんいつまでもこんな食生活を続けるわけではない。

失った体力を取り戻してからが本番だ。


クリアすべき問題はあるけれど


それにまさか他の懸念まで片づける方法だとは夢にも思わなかった。

神様が凄いのか、そういう運命だったのか・・・


こればかりは正に神のみぞ知るってところか。



お読みいただきまして、感謝申し上げます。

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