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冬の日

本日のお話です

ロローでの情報収集で分かったことが幾つかある。


先ずはクレイファ共和国内もノエルさんの捜索願が出ていること、賞金稼ぎが動いていること。

それに、これはロローの捜索願に付け加えられていたのだけれど、ノエルさんは魔法で拉致されて女装させられている可能性があることが追加情報として流れている。そもそも女性であることは伏せたまま、魔法により拉致され自由を奪われたうえで女装しているから注意してねと言うことか。ある程度足取りを掴まれたのか、それともダッジさん達が捕えられ自白させられた可能性も否定はできない・・・。


後は、国境越えが厄介そうなこと。


ロローからの一般的な越境方法である渡船はやはりリスクが高そうだ、やはり中洲の町レイギには網がはられている可能性が高いようだ。

これらの情報はもちろん聞いて回った訳ではない、そんなことをすれば目立ってしまう上に、明らかに自分たちが怪しいですよと宣伝して回るようなものだ。

なので、電子魔法で盗み聞きしたもの。〈集音〉 これは壁越しや、離れた所で小声で話している対象の音声を拾い上げる魔法。

さらに、光学迷彩を使用して関係先に侵入して書類や資料を〈撮影〉して吟味する、昔のスパイ映画じみたことまでして収集した情報だから確度は高い。


さして広くは無い中洲だけに万が一見つかったり怪しまれた時に逃げるのも困難な上に、渡船ごと確保された場合さらに厄介だ。


「 うーーん そうなると北方大森林地帯経由かぁ 」


海路は時期的に不可、漁船のチャーターは伝手も無い上に足が付きやすい。そうなれば川沿いに北上するのが無難だろう。


「 お悩みですか 主様 」


思わず口に出してしまっていたようで、セオがそばに現れて声を掛けながらトレーに乗せた飲み物を差し出してくれる。


「 ありがとうセオ。   国境越えについてね少々 」


受け取った飲み物は、温かい紅茶。 セオの好みでジャムが入ったものだ。


「 私で良ければ何でもおっしゃってくださいませ、少しはお役にたてるやもしれません 」


「 少しなんて物ではないよ、セオが居てくれて本当に助かっている 」


冷静さと豊富な知識、そして頭の回転も速い。どれだけ助かっている事か。


「 もったいないお言葉ですわ 」






その後セオともよく話し合ったけれど、結果として結論は大きく変更は無し。

やはり北方大森林地帯をの外縁を通りクレイファ共和国への入るのが一番無難だろうとの意見だった。


問題は移動手段だなぁ。馬車にそりを付けて、ゴーレム馬の足元に工夫すれば行きでも移動は出来るかな。

実験してみるかぁ



「 リック様ぁ 寒いとこへ行くのですかニャ 」


どうやらセオとの会話を聞いていたようで、ユーンがそばに寄ってきた。


「 まぁ雪も多そうだし、多分寒いよ 」


ユーンは猫獣人だからやっぱり寒いのは嫌いだよね申し訳ないなぁ。


「 雪って、あの冷たいのニャ 」


「 そうだよ この前降って来たでしょ 」


この辺りも寒くなる土地だが、雪が大量に降ることは少ないようで、まだ綺麗な雪だるまを作れるほどの積雪には出会っていない。


「 ひらひら天から落ちてきたのニャ あれがいっぱいあるのですかニャ 」


「 うん、もっと北の方へ行くから多分真っ白だよ 」


「 へぇーーーー 見てみたいのですニャ 」


「 綺麗だし、冷たいけど楽しいよ 」


「 うぅ 寒そうだけど少し楽しみですニャーーー 」


みんなに防寒用の服を追加して買わないとね、あとスノーシューズみたいなものとか帽子に耳当ても必要か。

ポルちゃん呼び出して買い物だな。


特にユーンは寒くない様にして上げないといけないね。





夕飯後にポルちゃんに来てもらって、各種防寒用品を大量購入です。


馬車の中や野営用ハウス内は魔法で温度調整が出来るけれど、屋外が寒いから使い捨てカイロでも作ろうと思う。


土魔法で鉄粉って分離できるか試す価値はあるな。

あとは、海沿いだから塩水の入手なんて簡単だし、濃縮も出来るはず。


まぁ試してみればいいさ、上手くいったら売ってもいいかもね。















そしてまだ夜が明けきる前にフェオの声が部屋に響いた。


「 ご主人様!! レウィがレウィが 」


泣きながら僕の元へ駆け寄ってきたフェオの腕の中にはぐったりとしたレウィの姿。

しかも口元が赤い


「 落ち着くんだ、フェオ 何があったの 」


とにかくフェオを落ち着かせて状況を聞き出さないといけない





「 レウィが咳き込んだとおもったら、吐いたんです。 しかもなんか血が混じってます レウィが・・・ レウィが 」


子犬が吐き戻してしまうことはたまに発生することだ、だけれど血が混じっているのは危険だ。


「 どこで吐いた 」


慌てふためいているフェオを起きてきたユーンに任せると、レウィの寝床を確認する。


『 ご主人様・・・ 恐らく中毒症状かと思われます 』


ミーネが告げてきた、そうレウィが魔素を排出できないことに伴う症状。


『 先天的魔素排出不全か 』


『 まだ違う病気の可能性もありますが・・・ 』



フェオの泣きじゃくる声


そして弱々しいレウィの鳴き声が部屋に響いていた。




お読みいただきありがとうございます。

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