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国境の町ロロー

本日のお話になります、どうぞよろしくお願いします。

最後の野営を終えて、今はロローヘ向かう馬車の中。


午後には町の見える辺りには到着予定だ




「 ノエルさん ロローに到着したら宿をとるのでゆっくり休みましょう 」


「 すみません・・・ 御迷惑をおかけします 」


ノエルさんが朝食を残したので色々聞いてみると、2、3日前から体調が思わしくなかったらしい。

どうやら我慢していたようで、出発を遅らせようとしたのだけれどロローまではどうしても行きたいと言われてしまった。

ノエルさん自身が足手まといになりたくないという想いと、別れたダッジさん達の情報も得たいという欲求があるようだ。

当然のことながら心配だよね。


ロローまで行けばクレイファ共和国との国境の町と言うこともあり情報も入手しやすいはず、だから多少の体調不良は押してでもロローに辿り着きたいのだろう。


セオの見立てでは、慣れない旅の疲れが出ているので宿屋でゆっくり休めば回復するようだし、先を急ぐことにした。


とりあえずノエルさんは、後ろの座席を倒して横になってもらっている。

大きな馬車だから出来る技だ、やはり大は小を兼ねる。


クッションの聞いた寝具と枕をポルちゃんに頼んで用意したし、この馬車はそもそも揺れないので快適だけれどもやはり落ち着いた場所でゆっくり休むのが一番。

ロローに付いたら高級な宿を取ってゆっくりしてもらう予定。



眠っていると言えば、もう一人(匹)


言わずと知れたフェオの懐でスヤスヤと眠っているレウィだ。


さっき目を覚ましているときに意思疎通を図ったら、フェオを母親と認識してしまっているようで盛んにママ、ママと訴えていた。

まだ赤ん坊なのでママとミルク、眠いくらいしか理解できていないようだけれどとりあえずは元気そうで何より。


見た目はほぼ子犬だけれど、恐らくは草原狼だと思われる。

しかし冬に出産や子育てをするのだろうか? そこが疑問だ、まぁ狼の生態に詳しいわけではないので分からないのだけれど。


それにしてもレウィは白い、真っ白だ。 どうも狼のイメージは茶色や灰色な気がする、実際に草原狼は濃い茶色の個体がほとんどだったし・・・

子供は白い物なのだろうか、それともレウィがやはりアルビノ(白化個体)なのだろうか。

瞳の色も薄い気がするし


「 フェオ姉様はすっかりお母さんですニャ 」


「 あい、微笑ましいですわ 」


良く眠っているレウィを懐にしまってニコニコしながらその寝顔を眺めているフェオ。

その姿は種族を超えて、すっかり親子のようだ。


「 いいなぁ 羨ましいよぉ   なぁリックぅ あたいも早く赤ちゃんが欲しいよぉ 」


「 定住先を見つけて 早く落ち着こうね 」


羨ましそうにフェオを見つめながら、僕にすり寄ってきたマーサの頭を撫でながら僕の口から出た言葉に、マーサはしっかりと腕に抱き着いて答えてくれた。


現実として獣人に対する差別が少ない場所で定住を考えている。残念ながら全く差別の無いところは無いだろうけれど、少なくとも国家的に差別をしていない国で暮らし易いところ。

今の目的地であるクレイファ共和国も有力な選択肢の一つだ、政情も安定しているらしいし紛争も抱えていない。

あとは安定的な仕事だけれど、幸いにして資産はそれなりに増えているしポルちゃんの手を借りれば商売は確実に出来るので商人を目指すべきかな。


理想的には異世界に来たので冒険者とかねぇ考えたけれど・・・

何と言ってもこの世界には魔物もいないし、そもそも冒険者なんて職業が存在しない。

良いところ探検家とか傭兵だ。


まぁ世の中そう甘くはないし、気が付けばお嫁さんが4人も出来たしね。

色々頑張らないと。









無事に日の高い時間帯でロローの町に到着して、それなりにお高い宿に部屋が取れました。


とりあえずは3泊分を前払いでお願いして、ノエルさんは早々にベッドでお休みしていただきます。

もちろん部屋には魔道具で結界を張ったうえで、念のためセオに側についていてもらってます。


そしてもう一人の保護対象であるレウィはというと、知らない室内で落ち着かないようなのでフェオが簡易保育器の側に居ることでこちらも安心したようで眠りに落ちました。

まぁこの時期はミルク飲んで眠って、起きて出しての繰り返しだよね。

頑張れフェオママ!!




「 さて、残った僕らは情報収集と買い物だ 」


6人で泊まれる大きな部屋なので、ノエルさんが休んでいる主寝室とフェオがレウィと過ごしている小さめの寝室が別々にあるし、他にもリビングとキッチンそれにお風呂が二つにトイレも二つ。

流石は一泊金貨一枚取るだけのことはあるよね。 ちなみに食事は別料金です。


リビングのソファーに腰かけながら、向かいに座っているマーサとユーンに声を掛けた。


「 えー 別行動ぉ あたいリックと一緒が良いよぉ 」


「 マーサ姉様 ずるいですニャ 私もリック様と一緒が良いですニャン 」


甘えんぼうな二人だしそう言ってくるのは想定済みなのだけれど、どちらかが僕と行動してしまうと残った1人が単独行動になってしまう。

2人とも獣人の常識を覆す魔法の行使が可能だし精霊加護や神様の祝福も得ているので危険は限りなく少ないのだけれど・・・

やっぱり大事なお嫁さんを単独行動させたくは無いというのが本音。

かといって3人で行動は別の問題があるのだ。


はっきり言ってうちのお嫁さん達は美人もしくは可愛い!!

そんな可愛い子を僕が両手に花状態で歩いていると嫌でも目立つ上に、情報収集に向かった先でも余計なトラブルに巻き込まれたりして目的が達成できないことが懸念されるのだ。


酒場や繁華街で絡まれることも多いしね。


「 ごめんよ マーサとユーンは二人でお買い物に行ってきてね 」


「「 ええーーーーーーー 」 ニャ 」


2人を納得させて、散々甘やかして送り出したら夕方近くになってしまいました。



お読みいただきまして誠にありがとうございます。

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