赤ちゃん?
こんばんは 本日もよろしくお願いいたします。
「 さて、野営の準備だ ユーン、お願いね 」
ロローへの旅は順調に進み、予定より早めに到着できそうな感じだ。
この野営地からロローまでは馬車で半日程度の所まで来ている。
「 はーい まず馬車をしまいますニャ 」
ゴーレム馬から馬車を外してあるので、別々に収納してゆくユーン。
しかし相変わらず目の前で繰り広げられる光景は驚いてしまう、ユーンがゴーレム馬の背中に軽く触れるだけで、目の前から消え去ってしまうのだ。
そして次には土魔法で整地された地面の上でユーンが手をかざすと、野営用の家が突然現れる。
質量保存則とか一切無視だからね。
まぁ魔法の世界なので慣れてきたけれど。
「 お家の準備も出来ましたニャン 」
目の前には、土精霊のデニエの力を借りて創りあげた家、平屋だけれどキッチンにリビング、寝室に客間とそのまま住めるレベルの家。
もちろんバストイレも完備で、風呂は大きめで大人3人が軽く入れる浴槽を設置済です。
水や熱源はそれぞれ魔石から取り出しが可能で、魔力を流せばすぐに使える状態。
しかしこれも、ユーンの高位収納魔道具があるからできる技だよね。
贅沢な野営だよ~。
これってもしかして、異世界に来る前にテレビとかで見たグランピングってやつ?
ちょっと違うか?
「 偉いね ユーン 」
「 えへへぇぇぇ 褒められましたニャ 」
思わずユーンを褒めて撫でまくり、うん可愛い奥さんだ。
「 ユーンは良いなぁ、あたいももっとリックに褒められたいよぉ なぁフェオ ・・・ 」
ユーンが褒められているのをみたマーサが少し拗ねながら、いつものようにフェオに同意を求める。
当然のようにフェオから同意が返ってくるはずが
「 フェオ? 」
気が付くとフェオが居ない、僕の問いかけにも答えが無い。
「 おかしいですわね、先ほどまで居たのですが 」
セオも居なくなったことに気が付かなかったようだ。
『 フェオさんなら、さっき何かを感じて森の奥へ行きましたよ 』
『 え、そうなの? 』
ミーネは気が付いていてくれたようだ。
『 おそらく、何か聞こえたようです。耳が動いていましたので 』
犬同様に犬族も耳が良いようで、人族の3倍は鋭い聴覚を持っているようだし、音源方向の感知能力も優れているらしい。
何かを聞きつけて確認しに行ったのかな?
「 フェオーーー 」 「 フェオ姉様~ どこですかニャ 」
みんなが声を上げて呼んでいるが、反応が無い。
何かあったのか?
「 主様 〈MAP〉に反応があります 」
セオが冷静に魔法を駆使して探知してくれていた。
「 ありがとう セオ 」
本当ならば僕が真っ先にしなければいけないことだよね・・・
うーん もっとしっかりしないと
「 こっちに 向かってきているな 」
輝点はどうやらこちらに移動中のよう、フェオなのか?
「 あ、 フェオ姉様ニャ ~ 」
夜目が利く猫族のユーンがフェオの姿を確認したようで、走って行った。
どうやら一安心だけど、夜に勝手な行動はいけないねフェオはお説教だ。
「 ごめんなさい・・・ 」
僕の顔を見るなり、フェオの耳が下がっている。
獣人族の耳や尻尾は本当に正直だよね、喜怒哀楽が良く分る。
どうやら今のフェオは反省モードだ、尻尾も足の間に入り込んでいるし・・・
それに・・・ お腹も? お腹?
「 えーと フェオさん 夜に行方不明になったのは・・・ 」
「 ひゃ ひゃい ・・・ あの あの そのですね そう、そうなのですフェオはお腹が空いてですね・・・ 」
明らかに不自然に膨れたお腹・・・
急に妊娠するわけもないし、お腹が空いて何かを食べてきた?
「 フェオさん そのお腹は・・・ 」
「 い、いえ、 違うのです これは・・・ そのあの 赤ちゃんがですね 」
「 リックぅーーーー !! どういうことだよぉぉぉぉ あたいが一番に産むんだよぉ なんでフェオが先なんだよぉ 」
えーと、マーサさん混乱に拍車を掛けるのは止めてもらえますでしょうか・・・
なんか本気で抗議してきているし
「 落ち着いてください姉様 急にお腹が大きくなるわけがないですよ。 今日のお昼食べた後だって大きくなかったではないですか 」
「 そうですニャン それにフェオ姉様が順番を間違えるはずはないのですニャ 」
「 うん、わかったよぉ 騒いでごめんよ リック フェオ 」
とりあえずマーサは落ち着いてくれた、ありがとうセオ、そしてユーン。
あとはフェオだな
「 はうぅ 」
気が付くとフェオのお腹がすっきりしている・・・
そして両手が不自然に後ろにあるなぁ
「 フェオ 何を隠しているのかな 」
「 はぅ・・・ 何もないですワン ご主人様に隠すようなものなんてないですワン 」
明らかに動揺しているよね、いつもは語尾にワンなんて付けないし。
「 あーーーー フェオ姉様 何この子ぉぉぉぉ ニャーーーー 」
いつの間にかフェオの後ろに回っていたユーンが何かを見つけたようで一気にテンションが上がっている。
この子? 子供ってことか?
「 え、あぁ ひゅうぇぇぇぇぇ 」
奇妙な声を上げてフェオが混乱を起こしてしまった。
「 で、拾ってきたと・・・ 」
「 はい・・・ なのです 」
落ち着いたところでフェオから事情聴取したところ、次のような事実が判明です。
野営の準備中に小さな鳴き声を聞きつけたフェオが声のする方へ確認にいってみたら、小さな仔が震えながら鳴いていた。
周囲に親の姿はなく、電子魔法で〈MAP〉も確認したが見当たらない。
思わず抱き上げてみたら顔を舐められてしまい、あまりの可愛らしさに保護しなければと考えて今に至る・・・
「 狼か この仔? 」
「 小さすぎて判りかねますが、狼とは少々違う気がしますね 色も真っ白ですし 」
セオも微妙に首をかしげている。
そうなのだ、フェオが拾ってきた小さな生き物、どう見ても子犬です。
狼の子供とは少々違う気はするのだ、しかも色が真っ白。
まぁ草原狼のアルビノで親が育児放棄した可能性もあるけれど
いずれにしても親もしくは親代わりが居なければ死んでしまう個体であることには間違いがない。
フェオが見つけて拾ってきてしまった以上、責任が発生するから何とかしてあげないと。
「 ご主人様ぁ・・・ 」
フェオが半泣きで僕と今は僕の手の中の子を交互に見つめてくる。
「 ポルちゃん 」
僕は今一番必要な人を呼び出すことにした。
「 呼んだかい 主殿ぉぉぉ 買い物か 買い物だろぉ 早く買ってくれよぉ 」
鼻息も荒く現れたポルちゃんに
「 ねぇポルちゃん この世界でヤギのミルクって手に入る? 」
「 山羊かい あぁ普通に買えるぜ どれくらい買うかい 1t位かいそれとも1㎥かい 」
「 えーとポルちゃん、ほぼ同量だよねそれ しかもそんなにいらないし 」
「 ユーン バイトしておくれ 」
「 ハイですニャ 」
結局ポルちゃんに山羊のミルクを2壺ほど頼んで、ユーンが高位収納にしまってから持ってきてもらうことになりました。
「 フェオ 」
「 は、はい 」
まだ理解できていないフェオに説明することにしようかな
「 この子はまだお母さんのミルクが必要な子だ、でもお母さんがいないからユーンが買ってきてくれる山羊のミルクを飲ませてあげること。 ミルクは高位収納内にあれば劣化しないから必要な分だけ出してもらってね 」
「 ・・・ は はい !! しっかり面倒見ます 」
「 あとね この子は女の子で 痛いところは無いって。 兎に角今はお腹がペコペコらしい、だけどど一気に飲ませるとお腹がびっくりするから、様子を見ながら少しづつ飲ませてあげてね もしミルクが冷たかったら肌の温度くらいまで温めてね 」
「 は、はい ・・・ でもなんでわかるのですか? 」
フェオが不思議そうな顔をしている
「 生命神様の祝福ですね 」
セオは分かったようだけど、そう生命神様の祝福の効果でこの子と簡単な意思疎通が図れた。 まだ赤ちゃんなのとお腹が空きすぎていることもあって大したことは分からないけれど、怪我はなさそうなので一安心です。
お読みいただきまことにありがとうございます。




