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漢と書いてナイスガイと読ませる

こんばんは 今日もよろしくお願いいたします。

「 おら 顔を見せろ!! あと通行税は一人銀貨2枚だ 」


列の前の方からでっかい声が聞こえる、どうやら勝手に関所を作って面体の確認と通行税を取っているようだ。


行商人らしい先頭の人が文句を言っているようだが、凄い勢いで怒鳴られて腰を抜かしている。


「 あーーーー 衛兵を呼ぶだぁっとぉ   おお 勝手に呼べ呼べ 来たところで何も変わらないだろうけどな 」


エライ強気だ、昨日聞いた話にあったようにこの街の領主に話が通っているのだろう、だとすると厄介だけれども、あんな力技だけなら〈光学迷彩〉はばれないと思う。あとは中位以上の魔法師とかいなければ大丈夫だけれど。


『 ご主人様 居ますよそこそこの魔法師が 』


『 まぢで! 』


ミーネが助言してくれる、いやー助かるなぁ。


『 はい、建物の陰に隠れていますが魔法で監視していますね 』


『 むぅぅ・・・ バレるかな 』


『 少なくとも何らかの魔法が掛かっていることは見抜かれると考えた方が・・・ 』


『 怪しいだけで十分か・・・ 』


何らかの理由が無ければ外見を偽装する魔法を掛け続ける必要は無いわけで、連中にしてみれば怪しいなら拘束するという方向に走るのは火を見るより明らかだ。


電子魔法のおかげで近寄ることも無く情報を収集しているので向こうの連中には気付かれていないのが幸い。

電子魔法の〈望遠〉と〈集音〉で遠くも良く見えるし狙った音も拾えるのだ。


うーんしかし面倒だなぁ

おそらく他の門でも同じような事をしているのだろうからなぁ。




「 よーお セオちゃん達じゃねぇか 」


人だかりを見つめていたら後ろから声が掛かった。


「 先日はお世話になりました 」


セオが振り返って挨拶しているのは、スキンヘッドとモヒカン、他にも何人かの賞金稼ぎの面々だ。


「 どうしたぁ 兄ちゃん 」


「 いえ、何か面倒な連中が勝手に関所を作っているようなので野次馬です 」


そう言いながら僕は門の方を指さした。


「 あぁ 関所だぁ どういうことだ 」


モヒカンが食いついてきたので、簡単に状況を説明してみた。


「 なんだぁそりゃ 町を出るのに銀貨2枚も必要だぁ 何考えていやがるふざけやがって 」


「 例の奴らか!! もう勘弁ならねぇな 」


スキンヘッドも相当お怒りだ、しかもよく見たら賞金稼ぎ連中も荷物を背負っている。

どうやら集団でお出かけのようだ。


「 さすがにこれは見逃せねぇなぁ   おい 行くぜみんな 」


どうやらスキンヘッドはリーダー格のようで、モヒカンや金髪、さらに荒っぽさそうな連中が10数名程後に続いてゆく。


「 まぁ俺らに任せておきなって なぁ 見ててくれよ ユーンちゃん 」


「 すぐに追っ払ってやるよ 少し待ってな マーサちゅわーーん 」


すっかり賞金稼ぎの間では有名人のうちの奥さん達。







「 おう!! てめぇら一体何考えてやがんだ!! 」


「 なんだ 貴様ら!! 」






     ・

     ・

     ・


「 ふん!! 覚えておけよ 」


傭兵どもはお約束の捨て台詞でお引上げになりました。


「 今度勝手な真似しやがったら叩き潰すぞ 」



 



「 ありがとぉ 賞金稼ぎぃ!! 」


「 さすがぁぁぁ 男だねぇ 」


「 いよ!! 王国一!! 」



一悶着あった後に、人数と迫力で勝る賞金稼ぎと取り囲む野次馬の圧力に押されて臨時の関所は閉鎖に追い込まれてしまった。

流石は度胸と腕っぷしの賞金稼ぎさん達だ、ありがたやありがたや。


そんなわけで面倒な連中は追っ払っていただけたので、野次馬は減り始めて門から出るために待たされていた人々の列は動き始めました。



「 やれやれ、少し空いてから出ようか 」


「 あい、主様 慌てることもありませんし 」


少し離れた場所から人々の動きを見つつ、セオと話していると。


『 ご主人様 魔法師の監視はまだ続いています 』


『 え、 まだいるの? 』


『 はい、少し離れたところから目立たないように監視しています 』


ミーネが居てくれて良かった。


「 セオ。  今ミーネが念話で教えてくれたのだけれど、監視している魔法師がいるらしい 」


「 あい、聞いておりました。 いかがいたしましょう 処分しますか 」


「 だめだよ しばらく眠ってもらうくらいにしておいて 」


セオの言う処分って 危険だよね。 処分 = 死 くらいの勢いだし。

きちんと釘を刺しておかないと。


「 あい、仰せのままにいたしますわ 」


どうやら判ってくれたようで一安心。



『 ミーネさん 建物の影のこの男と、あっちの商人っぽい服装の・・・ ええ 』


ミーネと少しだけ打合せをしているかと思ったら。


「 では、寝かせてきます 」


僕の耳元で囁くように告げると、セオの姿が掻き消えた。






少し待っただけで、セオが涼しい顔で戻ってきました。

うちの奥さんの仕事に疑いをはさむ余地など0.1㎜もありません。


でもまだ門の辺りが人ごみなのでしばらく待機中。


近くの露店でクッキーのような焼き菓子とお茶を買ってから、近くの積石に腰を掛けてみんなで雑談です。


「 マーサ姉様ぁ フェオはご主人様のお役に立てているでしょうか 」


「 大丈夫だよフェオ、あんたは可愛いしいっぱい撫でてもらってるし そのぉ 夜だってさぁ 可愛がってもらってるだろ 」


「 えへへぇ ご主人様に撫でて貰ったり甘えるの好きです 」


「 リックは甘えられるのが大好きだから、平気だよ 」




これはマーサ&フェオ



「 ユーンも電子魔法が上達したですわ 」


「 褒められたニャ!! ありがとセオ姉様 」


「 いい子ね、ユーンは。 もっともっと主様のお役にたてるように精進しましょうね 」


「 頑張ったら褒めてもらえるかニャ 」


「 あい、きっと今まで以上に愛していただけるわ 」


「 ふわぁぁぁぁぁっぁ とろけそうニャン 」



そしてセオ&ユーン



ノエルさんは〈光学迷彩〉で外見偽装している関係上僕にくっついている必要があるために、すぐそばに座って手を繋いでます。


最初の頃よりは奥さん達も我慢してくれているので、見ないようにしながら気を紛らわしてくれています。

そしてノエルさんは、相変わらず照れ照れで真っ赤になってギュッと手を握ってる。

護衛対象だけれども・・・ 可愛いし、好意を持たれているのも分かるので、正直嬉しいです。




気が付くと門の近辺はすっかり正常に戻っていました。


さて、仕切り直してこの街を出発しましょう。



お読みいただき、本当にありがとうございます。

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