状況の確認
こんばんは 本日のお話になります。
「 ただいま~ 」
大混乱の現場を何とか抜け出して宿へ帰還成功。
まぁ賞金稼ぎ仲間の店の2階はまだまだ大騒ぎしているだろうけどね。
「 お帰りなさい ご主人様 遅かったのです フェオとっても心配しました 」
「 お帰りなさいませ リック様 」
フェオとノエルさんが優しく迎えてくれたよ。
「 ごめんよ色々あったんだ あとでゆっくり話してあげるから 」
色々と精神的にも疲労したので、とりあえず一休みしてから夕飯時後に今後の相談をすることにした。
ちなみに今日も豪華な夕飯でしたよ。
場所はもちろん個室で、コース料理です。
~ 本日のメニュー ~
前菜 バルケッットの小さいキッシュ 3種
魚料理 鯉の赤ワイン煮込み
肉料理 鴨のロースト
加えてパンとスープに、フルーツ盛り合わせ。
さらに 焼き菓子とお茶
うちの奥さん達も、ノエルさんも大満足のようでした。
良かった良かった。
「 えーと、とりあえず集めて来た情報なんだけどね 」
みんなでとても美味しいディナーを楽しんだ後に、部屋に戻ってからミーティング開始です。
「 色々ご迷惑おかけします 」
僕の説明を前にノエルさんが申し訳なさそうに謝ってくる。
自分のためにすみませんってことなんだろうけれど
「 どうか気にしないでくださいまし、一緒に旅をしておりますし 私たちはもうお友達でしょう 」
セオがノエルさんに向けた言葉に、マーサもフェオ、そしてユーンも大きく頷いている。
もちろん僕もだ。
「 ぅ・・・ ぇっく ・・・ 」
小さく嗚咽を漏らしながら両手で顔を覆ってしまったノエルさんを、マーサがそっと抱き寄せていた。
暫くの間、肩を震わせてマーサに背中をさすってもらっていたノエルさんだけれど
「 もう平気だよぉ 」
マーサが僕に告げる。
「 すみませんでした・・・ 」
「 謝るようなことではないですよ ね 」
フェオもユーンもノエルさんに微笑みかけている
うちのお嫁さん達はやっぱり最高だ。
「 さて、じゃあいいかな 」
「「「「 はい 」」」 ニャ 」 「 あい 」
「 セオは一緒だったので分かっているけれど、ノエルさんの捜索願がこの街にも出ていた 」
「 やはり・・・ 」
ノエルさんは下を向いてしまった。
「 誘拐されたことになっている上に、賞金まで掛けられていたから 追手の側も形振り構わなくなってきているみたいだ 」
「 誘拐って・・・ 随分勝手な話になってぇ!! 酷すぎます 」
フェオがお怒りのようだ、ノエルさんとはすっかり仲良しなだけに許せないみたい。
「 まぁ貴族の面子ってモノが有るから、そういう作り話にでもしないといけないのだろう 」
「 でも幸いにしてノエルさんが女性であることは公になっておりませんし、主様の電子魔法が見破られない限りは見つかる可能性は低いですわ 」
魔法による外見変化を見抜かれない限りは見つかる可能性は低いだろうけれど、そろそろ僕らと行動していることが判明している可能性もある。
それに、ノエルさんが母親の元へ向かっていることは簡単に推測されているだろうから、網を張られているのは間違いがない。
どうやってその網を潜り抜けてノエルさんを送り届けるかだよなぁ・・・
強行突破は最後の手段だ。
「 そういえば買い物をしてる時に露天商のおじさんから聞いたのだけどさぁ 」
思い出したようにマーサが話し始める。
「 あぁ あの話ですニャ 」
マーサの口から語られたのは、新鮮な果物を買うために立ち寄った露天商での話。
沢山買ったのでおじさんの機嫌は大変良く、他に客もいなかったのでマーサとフェオはお茶を出され、売り物にならない果物をお茶うけに雑談に花を咲かせていたらしい。
その時にその露天商の前を通り過ぎっていた集団がいた。
「 どしたのニャ おじさん? 」
その集団が視界に入った瞬間にそれまで機嫌よく話していたおじさんが口を閉じ、マーサとフェオにも身振りで口を閉じるように示したのだ。
2人とも何かを感じ取って通り過ぎるまでは一切口を利くことも無く、しばらくたっておじさんが力が抜けてから声を掛けたのだ。
「 ・・・ あぁ ごめんなお嬢ちゃん ・・・ あんまりでかい声じゃ言えないんだけどよぉ 旅の嬢ちゃんたちじゃ知らないだろうから教えてやるよ 」
「 うん 聞くニャ 」
あの連中は最近この街にやってきた傭兵で、どうも依頼によって人を探しているらしいがとにかく乱暴で厄介な連中とのこと。
若い人族の男性や、フードを被った人を見ると乱暴に問い詰めたり、フードを無理やり取ったりする上に、露天の食べ物も勝手に食べて小銭しか置いていかないやら、傍若無人の限りを尽くしているのだが、何故か衛兵も及び腰。
どうやらこの街の領主の指示らしいとの噂もあって、庶民はみんな泣き寝入りしている。
「 どう聞いても酷い話だろ あったまきたんだよ 」
マーサが話し終えて再び怒りが湧いてきたようで憤慨している。
「 他の店でも似たようなことを聞きましたのニャ でも噂ではそろそろ次の街に行くみたいなので、それまでの我慢だってみんな言ってたのですニャン 」
「 偉かったねぇ マーサもユーンも ありがとう。 でも厄介そうな連中だな 見かけたら隠れるんだよ 」
「 はいですニャ 」 「 わかったよぉ 」
恐らくはノエルさんを探している連中だろう、ノエルさんが逃亡した可能性のある周辺国で傭兵を雇って派手に探させる。
貴族の狩の手順だな、勢子に鳴り物を持たせて獲物を追いこんでゆく手法だ。
単純な遣り方だけど、追われる側にしてみれば心理的にも圧迫されて網の奥へ誘導されてゆき、逃げ場が無くなって The END ってところか。
さてさて、どうするかな。
素直に狩られるわけにはいかないし、悪いけれどこちらはおとなしい獲物を演じる気は一切ない。
お読みいただきまして、感謝感謝の毎日でございます。




