お約束の展開!?
こんばんは 今日のお話でございます。
衛兵詰所の後は、街中で情報収集を行うことにしたよ。
「 セオ、次は賞金稼ぎの斡旋所があるらしいから行ってみよう 」
「 あい、主様 」
電子魔法の〈MAP〉と〈検索〉で場所を確認すると市街地の北側、装備品の店や鍛冶屋が立ち並ぶあたりに賞金稼ぎのための斡旋所があるようなのでそっち方面へ向かうことに。
僕とセオは街の中心部を通り過ぎて目指す方向へ歩き始めた。
途中には広場があって、屋台が立ち並ぶ一画や良い香りが漂う店もあって中々刺激的だ まだ空腹ではないけれど気になるお店も多い。
「 今日のお昼は、このあたりで食べようか 」
「 あい、嬉しゅうございます デートのようですね 」
僕に寄り添って歩いていたセオがさらに密着してくる。
正直なところ少し歩きにくいけれど、セオが嬉しそうだし、くっついていてもゆっくり歩けば問題ないので気にしない。
「 お昼に何が食べたいか考えておくのだよ 」
押し付けられているセオの柔らかく弾力のある頂に気を取られつつも、何とか前を見ながら歩いてゆく。
「 私は・・・ 」
「 僕の好きな物とか、僕の行きたいところとかは禁止!! たまにはセオの食べたいものを食べよう 」
「 あぅぅ あい・・・ 」
セオは僕だけでなくマーサやフェオ、ユーンにもとても気を使ってくれる。そんなセオもたまには我侭を言って良いのだ、でもセオの性格から考えて自分で言い出す子ではないので少々ずるいけれど決めることを強制してみた。
こうでもしないとセオは自分の意見を言わないだろうからね。
キョロキョロしながら真剣に店を見たり、露天に目を走らせている。
「 まぁ先ずは斡旋所に行ってからだし、慌てなくていいよ 」
色々と楽しそうなセオと一緒にゆっくり歩いて目的地付近に到着です。
「 ここかな? 」
「 お店とかいてありますわ 」
レンガ造りの2階建て、しっかりとした木の扉の上には大きな字で "賞金稼ぎ仲間の店" と書いてある。
しかし店って・・・ 斡旋所とは違うのだろうか?
まぁ他にそれらしい施設もなさそうだし、とりあえず入ってみよう。
木の扉を開けて中へ入ると、比較的広いスペースが広がっている、間仕切り等は無く奥の方には銀行の窓口のようなカウンターと書類を記入するような台やテーブルが幾つかある。
壁際には書棚と掲示物が貼られた壁と、やはり掲示物が貼られた衝立が複数ある。
上の方からは賑やかな声が聞こえてくる、どうやら二階は酒場にでもなっているのだろうか。
だから店ということなのだろうなぁ。
よくみると奥の方に階段があって、看板も出ていた。昼間から元気に営業中のようだ。
そしていかにもな連中が数人ほど掲示物のそばやカウンター付近にたむろしていた、そして当然のように一斉に入ってきた新参者、そう僕らをじっと見つめている。
まぁねぇ場違いだよねぇ、それは理解している。
しかもセオはニコニコしながら僕にしがみついているし。
まぁ立ち止まっていても仕方ないので、とりあえず掲示物を見るために人が少ない右側の壁際へ移動。
「 おや 何かお客様がおいでだよ 仕事の依頼かい 坊や~ 」
早速声を掛けてくる、赤ら顔のスキンヘッド。
「 いい女連れてるじゃないか 羨ましいねぇ 」
そして別のモヒカンがセオを見ながら近づいてくる。
これは、もしやお約束の展開か!!!
ついにこういうシチュエーション到来
俺らにその女の子貸してくれよ・・・とか ガキにはもったいない良い女じゃねぇか とか 言ってくるのだろうか。
そしてテンプレなら返り討ちにするのだろうけれど、果たして僕に出来るのか?
けっこうゴツイよスキンヘッドもモヒカンも、燃える場面だろうけれど
まぁ僕が勝てなかったとしても、そうなるとセオが・・・
どうしよう セオに助けて貰うのは何か格好悪いよねぇ・・・
旦那さんとしての面子丸つぶれだぁ
僕の心の中は大混乱していましたが、お構いなしに近づいてくるスキンヘッド&モヒカン
さぁどうなるでしょう!!
「 いやー申し訳ない、随分若く見えたからさぁ しかも美人さん連れてるし 」
「 お前の頭が怖いんだよ、だから剃れって言ってるだろぉ いつもよ 」
えーと、スキンヘッドの人もモヒカンの男性も顔は怖いけれど良い人でした。
どうもならないどころか、テンプレでもありませんでしたぁ。
結論から言うと、彼らは明らかに場違いな僕らを心配して声を掛けてきてくれたとっても良い人たちでした。
しかも他の人達もみんなフレンドリーで気の良い人ばっかり。
見た目は世紀末覇者の下っ端みたいで少々怖いけれど、賞金稼ぎは犯罪者相手が多いので舐められない様にあえてそういうスタイルにしているようです。
「 そうかい 兄ちゃんは旅の人かぁ どうりでこの辺で見ない顔だと思ったよ 」
「 はい、王都を目指して旅をしています 」
念のため目的地は違うところを言っておく。
「 冬だからなぁ くれぐれも気を付けてな。 まぁ王都までの街道は比較的安全だし、この街も治安が良いから 安心してくれよ 」
「 あい、皆様のような殿方がいる街は安心できますわ 」
セオが極上の微笑みと共に放った一言は、強面の賞金稼ぎにも良く効くようだ。
「 あぁ 困った事があったら何でもいいなよ 力になるぜ なぁ 」
「 おうよ セオちゃんと兄ちゃんの頼みなら格安で引き受けるぜ 」
スキンヘッドとモヒカンはすっかりご機嫌だ。
ちなみにセオが僕の奥さんであることは周知済みで、スキンヘッドもモヒカンも妻帯者とのこと。
後で聞いたら奥のカウンター越しにニヤニヤしながらこちらを眺めていたのはモヒカンの義妹、要するに奥さんの妹らしく逐一報告されるとのことだ。
そのまま2階の酒場に拉致 (?)されて、賞金稼ぎ仲間の店常連組に紹介されてしまった。
まぁセオも楽しそうだから良かったけどね。
そういえば探していたノエルさんの捜索願は2階の酒場にも目立つように貼ってあり、さりげなくスキンヘッドさんに聞いてみたらこの街でも話題になったらしい。
何人かの賞金稼ぎが国境付近を根城にしている盗賊団に探りを入れたが収穫なしだったし、裏社会でも色々な噂が流れているのだけれど信憑性が薄くて話にならないと零していた。
うん、情報収集としては上出来かな。
本日もお読みいただき本当にありがとうございます。




