ただ願うこと ~女神の後悔~
こんばんは本日の投稿です。やっとここまで来れました、予定より長くなりすぎましたが・・・
私の名前は生命神 エーリーシャ 創造神が作った世界に命を育むのが仕事よ。
「 え !? 口調が違う ? ・・・ まさか 昔のことよ ぇぇぇぇ お願い 恥ずかしいのよぉ 誰にだってあるでしょう黒歴史ってさぁ 神にだってあるのよぉ 蒸し返さないでぇぇぇぇ 」
「 ごめんなさい 少しだけ取り乱してしまったようで 今はもう落ち着いているからね ほら あんな喋り方はしないのよぉ ただ・・・ むかーしにねぇ残した記憶があるメッセージカードが少し心配・・・ 」
そうね、今は違う話だったわね
ご存知の通り私達生命神はこの数多ある世界に数千柱は存在するわ、もちろん創造神は1柱よ。
数千って多い気がするでしょ、でもそれがねぇ大きな間違いなのよ。
創造神はね瞬きしている間にも次の世界を作り上げてしまう。
それこそ私達神々でも気が遠くなるくらい昔から創造神は世界を作り続け、今もそれを続けているの
それをよ、たった数千柱の生命神が手分けして命を育んでいるの!!
命ってそんな簡単に育めないのよ、大変なの!!
それでも私達生命神には基本的な決まりごとがあって、担当する縄張りが決まっていてその縄張りの中で1つの世界が産まれたら、そこに集中して命を育んで手が離れたら管理神を置くのよ。
後のことは管理神にお任せして次の世界に集中する、その繰り返しなの・・・通常はね。
あと私達生命神は命を育むとき以外に世界に干渉しない、これも大原則。
中には滅んだり命が絶滅してしまう世界もあるけれど・・・それは仕方のないこと、干渉せず鑑賞もせず。
ずっとそうやって来たの
だけど一回だけ原則を破ったことがあるの、今でも後悔している昔のミス。
神だって失敗することはあるの、でもそれも含めて干渉はしないししてこなかった。
ただ、一度を除いては
「 もう むかつくぅ 創造神ってばひーどーいー 信じられないしーーー 」
「 だからぁ こうやって謝っておるしなぁ 今更どうにもできんのだ 何とか頼む ほれ この通り 」
「 へんになってもぉ 知らないよぉ~ 文句言わないでよぉ あとぉ それでもぉプライドっていうのぉ あるしーーー 干渉とかさぁ しちゃってもよくなーい 」
「 むぅぅ 本当はいかんのだがぁ 今回ばかりはワシの手違いだから 最低限なら構わんよ ワシも気に留めておくのでなぁ 」
「 まぁそれなら ぃぃか もぅ これっきりだよぉ 」
創造神と生命神である私の間で交わされた会話よ、もちろん当時は若かったのよぉ!!! だってぇ何十億年も前の話だもの仕方ないでしょ
それにね そもそもは創造神の凡ミスから始まった話なのよ
さっきも話したけれど私達生命神の縄張り内で世界が産まれたら私たちは掛かりきりになってしまうの、だから原則として一つずつしか世界は生まれないはず。
だけど、あろうことか創造神がほぼ同時期に私の縄張り内に世界を2つ生み出してしまったの、ありえないでしょ前代未聞なのよ
確かに拡張期で今より沢山の世界が生み出されていた時期ではあったし創造神も大忙しだったのは事実よ、でもねぇ絶対にあってはいけないことなの
何故なら私達生命神はその世界に全力を注いで育むのよ、2つ同時になんて考えたこともなかったわ
でも、世界は誕生してしまった。
あと生命神の縄張りって絶対なの、他の生命神の縄張りなんて立ち入ることもないし、他の生命神に会う事すらないわ。
それに生命神は常に世界に命を育んでいるので、他の生命神を手伝う事なんて不可能なのよ
世界って生み出されたら、すぐに手を掛けてあげないと死んでしまうくらい繊細なの。
だから私にとってその二つの世界は特別な存在にならざるを得なかった。
少しだけ先に生まれた世界の名前は ”地球 ” 、すこしだけ遅れて生まれた世界の名前は ”ランドヴェール ” そう後に名付けられることになる世界
まだその時は名前も生命も誕生していない世界だったわ
まだ若い神だった私は創造神に怒りながらも他の生命神がやったことのない、2つの世界を同時に同時並行して育むということにやりがいも感じていたのは確かよ。
自分ならきっとうまくやれるそう思ってもいた・・・
まぁ結果的には2つの世界共に生命は今も続いているし、繁栄もしている。
その点だけ見れば問題ないようにもみえるわよね。
でも私はミスを犯してしまったの、結果としてそれが2つの世界の管理神へ影響を与えることになってもしまった。
特にランドヴェールのトォーニには面倒を掛けている
だから私は許された範囲で干渉を行わせてもらった。
あのメッセージカードはその手段。
当時の私が行った最低限の手助け、贈り物という形を取らせてもらった償い。
私が犯したミス・・・
それは地球とランドヴェールに蒔いた生命の配合をほんの少し間違えてしまったこと。
割合にして0.01%程度の間違い・・・
大したことないと思うでしょ
でもね生命というものは何億年も何十億年もかけて育まれるもの、最初の誤差は時として致命的になりかねないの
例えば直線に進む物体が、その発射角度を1度ずれたとしましょう。
その物体が1km先まで行った時には既に20m近いずれが生じるはずよ、じゃあ100km先では10,000km先では・・・
もう到着する地点は明らかに別の所。
生命の進むべき方向もそう
その結果・・・
地球には魔素が全く無く、当然のように魔法的な生き物も居ないし魔法も使えない世界になってしまった。
魔法が無いので人々は苦労して科学を進歩させ、見事な文明を築き上げた。
残念ながら魔素が無いことに加えて生存競争にも破れた結果、人族以外の人間は滅んでしまったの。
当然魔素が無いので魔物も、ある物は滅びある物は退化し野生動物となった。
それが今の地球。
地球の管理神はとても苦労しているけれど、人種の繁栄はこれからも続くのでしょうし生命は引き継がれてゆく
今の地球神がに干渉すべき要素は少ないわ。
これも世界の定めであり神としての想定範囲内。
地球はこれからも見守られてゆくでしょう。
問題はランドヴェール
地球とは逆に、ランドヴェールは魔素に満ち溢れた世界。
魔素は必要以上に豊かにして、人族、獣人、エルフ、ドワーフ、妖精が暮らす世界。
魔法は人々の生活に浸透し、科学技術文明とは違う魔法文明の社会。
一見問題のなさそうな世界・・・
でも決定的に足りないもの、それは魔素が満ち満ちた世界に本来居るべき存在が居ないこと。
それは魔素の大量消費者、魔法生物。
いわゆるモンスター。
本来であれば、魔素を吸収し体内で魔石に変える魔法生物が居るべき世界、ここランドヴェール。
ところが私が原初の配合を間違えたがために、地球には魔素が無く
ランドヴェールには多量過ぎる魔素が生じてしまった。
多すぎる魔素は、長い時間を経て地殻や鉱物に吸収され魔石に変化した。
さらには多くの人種に魔法影響を与え、精霊を生み出し4大精霊魔法が誕生する。
ところが魔法生物が産まれることは無かった。
そしてそれは致命的な事。
本来の正常な世界であれば、魔法生物と人種はバランスを相互に取り合う関係にある。
人種が増加すると、強大な魔法生物が自然発生的に生まれそのバランスを取る。
(代表的な例はドラゴンであり、自然災害的に人種の集団をせん滅する)
また、魔法生物が浮遊する自由魔素を体内で固定し魔石化することにより、場合によっては害になる自由魔素は適正量に保たれるのだ。
ところが、ランドヴェールには魔法生物が存在しない。
よって、人種の増加を食い止める存在が無い。
<ちなみに魔族は存在するが、魔族も人種であり支配種族が交代するだけであり問題の解決にはならないのだ。>
管理神の初期努力によって膨大な魔素が魔石として地中に保管されてきたのだが、人種の繁栄が各地の魔石採掘を急速に進めつつある。
まるで地球の科学文明が化石燃料を大量消費し、地球温暖化の道を突き進むように。
ランドベールは魔石をいわば燃料として大量消費する魔法文明の道を辿りつつあるのだ。
これが私が導いてしまった失敗。
私の神としての最大の後悔。
管理神はもうこれ以上の干渉は出来ないところまできている。
この世界が滅びの道を辿らないために出来ること、どうか力を貸して欲しい新しい魔法使いよ。
「 あぁ どうやら あの箱が開かれたようね 恥ずかしい黒歴史も今の私への戒め・・・ 生命神たる私が一度だけ許された世界への干渉 」
彼の者に生命神の祝福を。
お読みいただきありがとうございます。今日のお話は説明が多く申し訳ありません。どうしても必要かつ重要なお話になっております。




