贈り物が欲しい
こんばんは、本日の投稿になります
行き止まりだった壁も消えて無くなり、これで〈MAP〉の示す通りの方向へ進むことが出来るようになった。
「 さぁ 行こうか みんな 」
張り切って先へ進むために声を掛けたのだけれども、どうやらマーサが不満なようだ。
「 なぁ リックぅ せっかくだから神様の贈り物も貰って行こうよぉ 」
マーサの言うことも分からなくはないのだけれど、行き止まりだった壁の向こうには通路が続いているだけでそれらしい箱や意味ありげな部屋も無いのだ。
「 うーん 肝心の贈り物が見当たらないしね もしかしたら誰かが既に持って帰った後なのかもしれないよ 」
「 えぇぇ そんなぁ なんだよぉ楽しみにしてたのにぃ 」
マーサが少し拗ねてしまったようだが、肝心のモノが何処にも無いのでどうにもならない。せめて隠し部屋でもあればいいのだけれど、〈MAP〉にもそれらしい表示は無い。
まぁそんな簡単に見つかるなら隠し部屋ではないのだろうけれど、それにさっきの石板の内容では贈り物を隠してあるような書き方はしていなかったと思うのだが・・・
やはり既に誰かが持ち去った後なのだろうか。
「 もしかしたら他にもあるかもしれないし、もっと先の方に隠してあるかもしれないからさぁ 先へ進もう 」
「 はぁーーーい 」 マーサも仕方ないと言った感じで返事をしてきた。
どうやら諦めてくれたかな。
「 さぁみんな 先へ行こう 」
気を取り直して再びみんなに声を掛けてから、隊列を元通りに戻し、セオが先頭で通路を歩き始めたのだが・・・
そしてそれは僕が行き止まりの壁があったところを通り越した瞬間に起こった。
光の線が僕の体をなぞる様に走ったかと思うと、どこからともなく声が響いてきた。
「 有資格者と確認しました 」
「 え ? 何? 」
僕の反応はお構いなしにまた声が響く。
「 通路を開放します お気を付けください 」
通路内に響く声と同じタイミングで、丁度セオの居る辺りの進行方向右側の壁が音も無く砂粒と化して崩れ去ってゆき、新たな通路が現れた。
「 主様 〈MAP〉にも通路と部屋が現れました もしかするとここが贈り物のある部屋ということでしょうか 」
「 やったぁぁぁぁ きっとそうだよぉ リックぅ 早く行ってみようよ 」
冷静なセオとは反対にテンションMAXなマーサ、まぁここまでお膳立てされれば先に行ってみないとね。
「 でも資格者ってどういうことだろ? 」
さっき聞こえた声は 有資格者と確認しました って言っていたけれど。
『 それはですねぇご主人様 』
僕の疑問に対して専用知恵の女神様がお答えになってくれるようだ。
『 分かるのミーネ? 』
『 当然です! この場合の資格者とは、精霊魔法始祖のことです。現役の始祖はご主人様だけなので大手を振って受け取ってください 受け取るべき人が贈り物を手にすべきなのです。 試練乗り越えて罠を突破した上に資格を持つ者 あぁ流石は私のご主人様 早く私もお側に立てるようになりたいです はぁぁぁぁぁぁ 』
うーん たまにミーネが壊れるよねぇ・・・
「 リックぅ~ !! これじゃないかなぁ 早く早くぅ 」
どうやらミーネの説明を聞いている間にマーサは通路の先にある部屋へ突入していたようです。
まぁ好奇心旺盛で元気で可愛いからいいか。
やたら高いテンションで、部屋の中を跳ねまわっているマーサの元へたどり着くと、どうやらそれらしきものが部屋の中央に鎮座ましましている。
そしてその周りで跳ねているウサギさん。
「 これなのかな? 」
マーサが描く円の中心部には石で出来た台座の上に真紅の箱があった。
「 真っ赤ですね主様 」
「 うん 本当に真っ赤だね 」
大きさは1メートル四方程の立方体の箱で、継ぎ目や蓋のようなものは見当たらずただただ箱。そして真っ赤、ひたすらに真っ赤な箱である。
「 これってさぁ 魔力を流すヤツだよね きっと 」
「 あい、きっとそうですわ 」
うーん 魔力は持っていかれた所で多色怠くなるくらいだから特に問題はないのだけれど今度は何が出てくることやら。
マーサがあれだけ喜んでいるしスルーして通り過ぎる事も出来ないだろうしなぁ。
『 あれ、そういえば神様の贈り物って欲している物が出るんじゃなかったっけか ミーネさん 』
『 トォーニ様の贈り物の場合は必要としている物を頂ける場合が多いです たまにネタに走った物を押し付けられる場合もありますが 』
『 トォーニ様の場合ってことは他の神様だと違うの? 』
『 先だって頂いた創造神様の贈り物もそうだったようにトォーニ様以外の神様は不明な点が多すぎます。 前例が少なすぎて予想が出来ません 』
そうだよなぁトォーニ様は知ってるけれど、他の神様はお姿も見たことが無いし仕方ないか まぁミーネが知らないのならもう開けてみるしかないか
『 うん ありがとうミーネ 』
という訳で僕は例によって例のごとく神様からの贈り物箱の前に立って、今までも何度か行ってきたように魔力を流すことにした。
「 ところでマーサは何が入っていたら嬉しいかい 」
「 えぇぇぇ あたいかい うーーーんそうだなぁ リックがぁ喜んでくれるものだといいなぁ 」
「 あい、そうですねぇ 主様のお役に立つものか安全を守るものが良いですわ 」
「 フェオはぁ リック様に喜んでもらいたいのです 」
「 ニャ リック様が喜んでくれるなら私も何でもするニャン ご奉仕しますニャ 」
えーと途中から質問と答えが違ってるけれど・・・まぁみんな可愛いから問題なし。
「 僕もみんなが喜んでくれるモノがいいなぁ そうお願いしながら魔力を流してみるね 」
「「「「 はーーーい 」」」 ニャン 」
僕はみんなが見つめる中で箱に右の掌を当てて魔力を流し始める、掌から魔力が流し込まれ吸い込まれてゆく感じだ創造神様の時ほどではない気がするけれど・・・
やがて箱が光を放ち始める、それは白い光から始まり魔力を吸い込むペースは変わる気配を見せない。
「 リックぅ 大丈夫かい無理しないでおくれよぉ 」
「 平気だよマーサ 魔力は流れ込んでゆくけれど流れ込み方は緩やかな感じだし、もしかしたらレアじゃないのかもしれないね 」
マーサと話している間も魔力はさらに注ぎ込まれ、光が白から銀色へ変化し始めた。
「 何か銀色になりましたニャ もしかしたらまた金貨が入っているのニャン 」
ユーン金貨の話をするとポルちゃんが飛んできて混乱を引き起こすだけだからさぁそっとしておこうよぉ
「 でもまだまだリック様から魔力が流れてますよ これはきっと金色になります フェオはそう思うのです 」
フェオの願いが通じたわけではないだろうが、魔力は更に流れ込んで金色になり、更に輝いてゆく。
「 あの・・・ 主様 明らかに今までにより時間がかかっておりますわね 」
「 うん、流れ込む感じは緩やかなんだけど 長いね・・・ しかもさぁ 金色超えたあと赤っぽくなってきてない 」
そうなのだ、色が金色に赤を混ぜたようなある意味でゴージャスな色に変わりつつあるのだ。
『 ご主人様・・・ この色って まさか・・・ 』
ミーネさんが何か意味深な事を言い出しました。
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