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昔話

本日のお話になります。

「 あのね 初めの方に書いてあったのは、この石板に書かれている言葉についての情報だったよ 」


皆の前で翻訳された情報を分かり易く説明してゆく。


「 なぁなぁ 早く教えておくれよぉ 」


マーサは気になって仕方ないようだ、色々な知識を吸収して知識欲が高まっている時期でもありマーサは新しい事を知ることに貪欲だ。


「 うん、これはね僕が育った地球という異世界で大昔に使われていた文字で、線文字Bっていう名前なんだ 僕も歴史の本とかでしか見たことが無いのだけれどね 」


「 なんか変な名前ですねぇ フェオには難しいです それにぃ大昔っていつごろでしょうか 昔話の頃ですか? 」


線文字Bは3500年以上前にミケーネ文明で使われていた文字、何故それがここランドヴェールの坑道の奥深くの石板に刻まれているのかは謎が深まるけれど、恐らくは過去の転移者が残した物ではないかと思う。

確かミケーネ文明って青銅器文明でもあったと思うけれど、それって青銅魔操兵ブロンズゴーレムとも関係があるのだろうか?残念ながらその辺りの事は石板にも記載はなかった。


「 難しい話は省くけれど、その大昔の文字でこの通路の秘密が書いてあるよ うーんとねぇ大昔って言うのは エルフの長老様のお母上を産んだその又お母上が生まれる前くらいの頃の話かな 」



「「「 ふえぇっぇぇぇぇ 」」」


どうやら相当な大昔であるというニュアンスはみんなに伝わったようだ。



さて、石板に書いてあった事だけれど。そこに書いてあった内容というのは


ここは元々天然の鍾乳洞のような所だったこと、この石板を残した人は海で遭難したはずがいつのまにかこの世界に辿り着いたことを記している。

そしてこの洞窟に居を構えて、この世界の神様から魔法を授かったことについて説明が書いてある。

そこから暫くは、魔法を授けてくれた偉大な神を称える言葉が続いている。


そして石板の中盤からは、この世界の神により与えられ史力で魔道具の開発や魔操兵ゴーレムを作り出した事が書かれている。

今でもこの世界に伝わる魔道具の原型は彼の手になるものが多いらしい、ただし魔操兵ゴーレムの技術や動く鎧については悪用されると影響が大きいのですべての技術は弟子にも伝えなかったようだ。



そしてこの通路を罠として閉じたこと、この罠を突破してなおかつこの文字を解読できたのなら閉じた通路を開けることが出来ると書かれていた。

元々天然の洞窟だったところを迷路に近い構造にしたのは、侵入者を防ぐためであり奥へ進めば進むほど認識疎外の魔法が強くなりたどり着けない様になっているのとのこと。

この行き止まり部分までたどり着くことが第一の試練なのだそうな。

この通路の先には神より預かった贈り物を隠しておいたので資格があるのならば持ち帰るとよいともあった。


さて、解読は〈翻訳〉によって出来たわけなのだけれども、あとは行き止まりを壁を開ける方法。

それについては最後の方に書いてあった。


まずこの石板が現れるための条件である魔操兵ゴーレムと動く鎧の殲滅には成功している、さらにこの石板を読むことは出来た。

その上でこの石板に彫り込まれた指示によると、この石板に魔力を流すことで石板と共に行き止まりの壁も消え去るとある。

ちなみに単純に物理的な攻撃ではこの壁を壊すことは困難な上に、もし物理的に破壊した場合神様より預かった贈り物は手に入ることが無いと綴られていた。


「 へぇぇぇぇ ですニャ 」


石板の要約を皆に伝えると、みんな色々驚いたようで


「 リックぅ 贈り物ってなんだろうねぇ 」


「 フェオはぁ ご主人様と一緒なら何でもいいです 」


「 主様 まだ罠の可能性もありますので、私が魔力を流します 」


それぞれの反応が返ってきた。


特に心配性のセオは自分が魔力を流すと言って聞かなかったけれど、何かあった場合でも僕の方が対処は上手く出来る可能性が高いので、何とかセオには納得してもらった。

まぁ魔力を流す時はセオがすぐ隣に居るという条件は付けられたが、問題はないだろう。


「 じゃあ 魔力を流してみるから マーサとフェオは後方を警戒していてね 」


「「 はーい 」」


2人の揃った返事を背中に受けて、僕は石板に正対して右手を伸ばし掌を石板に押し当てた。

予想に反して温かい石板の表面に一瞬驚いたが、気を取り直して魔力を流してゆく。


「 主様 異変があったらすぐに手を離してくださいませ 」


「 うん 今のところ問題ないよ 」


魔力が流れている感覚はあるが、大量に吸い取られている感じではないし特に異変も感じ取れない。


「 あ 何か色が変わってきましたニャ 」


「 リック様 平気ですか 」


少し離れた所で心配そうに見ていたはずのユーンとノエルさんが視界に入ってくる。


確かに石板の上部から変色が始まった、それまでの黒い石の表面が白化し始めたのだ。

そのまま魔力を流し続けていると、やがて白化したところは広がってゆき最初に白化した部分は細かい砂状になり消え始めた。


「 ふあぁぁ 無くなっていきますニャ 」


石板が全て白化したころには上部の1/3程が既に消え去っており、ほぼ同時に魔力が流れなくなった。


「 うん、もう終わったみたいだね 」


僕が手を離すとセオが心配そうにこちらを見ていた。


「 主様 変調はございませんか 魔力は足りておりますか 必要であれば私の魔力をお使いくださいませ 」


セオの心配性は最近拍車がかかっている気がするが、愛されているのだから気にはならない。ただ心配を掛けたままだと困るので


「 大丈夫だよ 心配してくれてありがとう 」


そう言いながらセオを抱きしめると、嬉しそうに体を預けてくる。


「 あーん ずるいです 私だっていっぱい心配したのですニャ 」


まぁそうなるよねぇ。


「 リックぅ あたいだっていっぱいいっぱい心配したよぉ 」


「 フェオもフェオもですぅ セオ姉様ばっかり~ 」


はい ごめんなさいです






心配してくれたお嫁さん達を順番に抱きしめていたら、いつの間にか行き止まりの壁も無くなっていた。

これで〈MAP〉の示すとおりに進むことが出来る。


「 リックぅ 贈り物ってどこにあるのかなぁ 」


マーサが神様の贈り物のことを気にしているようだ。

さて何がどこにあるのやら。



お読みいただきありがとうございます。もしよろしければ評価や感想等いただけますと、大変に喜びますのでよろしくお願いいたします。

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