表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/464

現れたモノは

今晩は本日の投稿でございます。

ゆっくりと動く鎧はこちらに向かってくる。

セオの話では、鎧のパーツ一つ一つが独立した魔道具であり攻撃を受けても各部が外れることで衝撃を受け流しバラバラになってもすぐに元に戻ってしまうということだ。


モノは試しと先頭で近づいてくる奴に向かって〈火球〉で攻撃してみる。

この魔法も火精霊のレイア様に最大の祝福を頂いたことにより使えるようになった精霊魔法だ。

まだ動く鎧とは多少距離があるので、魔法による攻撃をしてみることにしてこれを選んだのだ。


掌に火の玉をイメージして火球を作り出し、それを野球のボールを投げるようなイメージで相手に投げつける。


この世界に来てからも鍛錬は欠かしておらず、さらに精霊加護や神様からの祝福もあって体力や筋力は確実に向上してる実感がある。

そんな僕が投げつけた火球は、先頭の動く鎧の右肩に直撃して弾け飛ぶと、動く鎧はその勢いに負けたように後ろに倒れこんでしまう。


「 さすがです 主様 」


セオが大げさに褒めてくれるが、相手へのダメージはどの程度か?


「 あぁ  何だよあいつぅ 」


倒れこんで右肩から腕のパーツが外れて倒れこんでいる動く鎧を見ていたマーサが声を上げる。


攻撃より外れていた腕がにじり寄るように元の鎧の体へ近づくと、軽い音を立てて元通りにくっついたのだった。

しかもその腕を使って器用に体を起こして立ち上がってみせた。


火球の当たった所は焦げたように変色し凹みも出来ているが、その動作に支障はないようで何事もなかったように近づいてくる。


「 なるほどねぇ セオの言う通り攻撃が通りにくいようだな 」


「 あい、恐らくは粉々にでもするか、各部の耐久力を超える魔法で攻撃するしかないと思われますわ 」


「 じゃあ 試してみるか 」


既に間合いに入ってきた動く鎧の一体に向けて、先ほどから抜いたままの刀に再び〈静炎〉を付与した上で肩口から袈裟切りに切りつけ、さらに刃が手ごたえを感じる直前に魔力を大きく流してみる。

はっきり言って魔力の無駄遣いな攻撃だが、魔力量の多い僕には問題が無い。


肩甲から胸甲、腹覆い迄刀身が駆け抜けたかと思うと、動く鎧がその動きを止めてその場に崩れ落ちた。


「 圧倒的ですね 主様 」


他の鎧に対して牽制となる魔法を打っていたセオが、驚いたように話しかけてくる。



切り裂かれた鎧の部位は一気に風化が進んだかのように切り口から錆が広がって崩れ落ちてゆく。

魔法による保護が働くなり止まっていた時間が急速に進んだかのような光景だった。


左肩と胸、腹といった上半身の主要部を失った動く鎧は、何とか残った部分で立ち上がろうとするがバランスを崩しており困難を極めている。

脅威度は低下しているがこのまま放置しておくわけにもいかず、止めを刺すために刀を振るって始末するのに若干の時間が必要だった。



「 リックぅ こいつら倒せないよぉ 」


セオは僕の攻撃を見てから武器を手槍に持ち替えたようで、槍に魔力を通しつつ攻撃を加えている。

流石に一回で致命傷とはいかないようだが、流石は竜種だ確実相手をしている動く鎧を行動不能に追い込みつつある。


だがマーサやフェオ、それにユーンの手には余るようだ。


元々の身体能力の高さと訓練の効果、更には神様の祝福により護られているので怪我はないのだが、ノエルさんを守るので精いっぱいのようだ。


「 無理して攻撃しなくていい、身を守ることに集中して 」


声を掛けながらマーサたちを攻撃する動く鎧に対して後ろから切り付けてゆく。

まずは動きを止めるのが先決なので、下半身を中心に一体ずつ薙ぎ払う。


「 リックぅ 」 「 ご主人様 」 「 リック様 」


可愛いお嫁さん達が嬉しそうに声を掛けてくる。

ざっと見渡しても怪我はないようだ、そして見事に連携してノエルさんを守りきってくれていたようだ。


「 ノエルさんも大丈夫ですか 」


「 はい 無事です 」


多少怯えた感じが声から読み取れるが怪我はないようだ。




結局、僕がマーサ達と対峙していた3体を倒して、全ての鎧は朽ち果てた。


「 主様 お疲れ様です 」


セオが僕の側に来て額の汗を拭ってくれた。


「 さて、これで終わりかな それとも・・・ 」


「 リックぅ 壁に何か文字みたいなのが浮かんでるよ 」


行き止まりの壁を確認しに向かったマーサが声を上げている。


どうやら何か変化があったようだ。







「 フェオ姉様 これってニャンって書いてあるんですかニャ~ 」


「 えーと えーと うーん フェオには読めません・・・ 」


壁の前で悩んでいる二人に声を掛けてから壁に現れたという文字に目を向けてみるが、少なくとも僕の読める文字ではない。


「 見たことがありませんわね 」


いつのまにか横に来ていたセオにも読めない文字のようだ。


先ほどまではただの岩肌だったところに、縦方向に長い長方形の石板が姿をあらわし文字らしきものが彫り込まれているのだ。

恐らくは魔操兵ゴーレムと動く鎧を殲滅したことがこの石板の出現条件だったのだろう、しかし何が書いてあるのかは現在のところ不明だ。


『 ご主人様  これはこの世界の言語ではありません 』


突然ミーネが話しかけてきた。


『 確かに読めないけれど、古代言語とかでもないの? 』


母親の教育の甲斐もあって僕はこのランドヴェールの共通語の読み書きに不自由はない、ただ地球でもそうなように使われなくなった言語や古代に使われていた言語の可能性もあるのではないだろうか。


『 この世界で使用されたことのない言語です。 恐らくはご主人様の育った地球の言語です 』


『 え !? 』


ミーネはどうやら地球の言語だというのだが・・・


『 ご主人様 電子魔法をイメージしてください 文字を読み取り翻訳する機能は電子魔法の得意分野で有るはずです 』


ミーネの言葉には説得力がある、そもそも電子魔法の始まりはスマホがきっかけだったのだから翻訳は機能の一つだ。




イメージせよ

異世界の知識を格納する電脳網に接続し、異世界の知恵を以って綴られし言葉の意味を解き明かせ。


「 〈翻訳〉 」


目の前の石板に向けて電子魔法で作られたスクリーンを展開して魔法を行使する。


スクリーンには石板の文字がそのまま浮かび上がった後に、別の文字に変化してゆく様が映し出されてゆく。


最終的にはスクリーンには翻訳されて僕らが読める文字だけになっていた。


「 うぅ 何か難しいことがいっぱい書いてあるよ 」


読めるような文字にはなったものの特に冒頭部分には、この文字が書かれた年代やそもそも何という文字なのかという情報が書き込まれていたようで、マーサを始めとしたランドヴェールの住人には理解できない単語が多く含まれている。


「 これは僕の育った地球という異世界の言語だ 」


セオは特に興味深そうに僕の話に耳を傾けてくれている。


そこにはこんなことが書いてあったのだ。



本日もお読みいただき誠にありがとうございます。しかし今年は穏やかなお正月ですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ