小さい美少女さんの正体
こんばんは、本日も投稿させていただいております。どうかよろしくお願いいたします。
「で、謎の美少女さん」 僕は目の前の小さい美少女に話しかけた
「 誰 ??? 」
僕にしてみれば当然といえば当然の疑問をぶつけてみる
「 誰ってぇ、見てのとおりの美少女精霊ですよ~ 」
自らを美少女と名乗る存在は、精霊らしい。妖精とは何が違うのだろうか。
「ごめんね、理解しがたいと思うのだけど、僕は別の世界から来たので 精霊って言われても、会った事ないしよく分かってないのですけど。」
「安心してくださ~い、リックさん。貴方のことはよーく存じ上げていますから。」
目の前の精霊さんはどうやら僕のことをご存知らしい。
「申し遅れましたけれどぉ、私は電子精霊のエイシアといいますぅ。この世界において最初に生まれ、まだ一人だけの電子精霊ですゎ」
美少女精霊さんは、膝下の長さのスカートの裾を軽くつまんで優雅なお辞儀をしてくれた。
「はぁ・・・ どぅも・・・」
事態が飲み込めていない僕は、中途半端な返事をしてから頭を下げた。
「ちなみに~、妖精族とは全く違いますので気を付けてくださいね」
なんか少し怖い顔で釘を刺された、精霊と妖精は一緒くたにしてはいけないと心に刻み込んだ。
美少女が怖い顔すると迫力があるということにも気が付いたしね。
「さて、自己紹介も済んだのでぇ、まずはやるべきことを終わらせます~」
どうもエイシアさんは多少せっかちな方のようで、肝心の疑問とかには答えることなく僕の目の前に浮かんだまま、彼女のするべきことを始めたいようです。
いくらなんでも説明不足です、もう少しユーザーフレンドリーにお願いしたかったので。
「ちょっと、待ってよ」
深呼吸をして、何かを始めようとしていた彼女に声をかけてしまったようで、少し申し訳なく思いながらも僕はもう少し詳しい話を聞かせて欲しいとお願いした。
「はぁ・・・、後は何が聞きたいのですか~?」
話の腰を折られたせいか、ため息をつきながらエイシアさんが答えてくれた。
「そもそも、今から何を始めようとしているのかとか、何で僕のこと知っているのとか、色々ありますよ」
彼女は、少し困った顔をしながら
「時間はたっぷりなので~、詳しくは後ほどゆっくり教えてあげますけどぉ」
(「せっかちに行動しているのはエイシアさんのほうでしょ」という言葉はぐっと飲み込みましたよ)
「今から行うのは、貴方に対する精霊加護の付与儀式です。これは神様の決定事項ですから異議をさしはさむことは出来ません。」
神様決定事項のせいか、エイシアさんの口調も急に改まった。
「神様ですか・・・」
神様がらみなら、両親も承諾しているのだろうなぁ。あ、でもこの世界の神様が一人とは限らないな。
「その点は大丈夫です、この世界の管理神は1柱しかおられませんし、貴方に対する加護は予め定められたことです。」
「心読むの、しないって言ったじゃないですか」
また、エイシアさんに考えていることを読まれた僕は抗議の声を上げざるを得ない。
「神様に関することはプライバシーの侵害から除外されるのですぅ」
なんだか分かったような、分からないような理屈を付けて正当化されてしまいました。
「今までの話からもご想像は付くと思いますけれど~、リックさんのことは~この世界の神様もご存知で日本という異世界に居たときから、見守られていたのですぅ。」
当たり前だけど、この世界からみれば僕の育った日本を含む世界が異世界ってことになる
そしてこの世界の神様は僕を見守っていてくれて、電子精霊であるエイシアさんは僕に加護を与えるために僕のところへ来てくれたってことか。
「ご理解いただけたようですので、始めさせていただきますよぉ~」
彼女はそう告げると、再び深呼吸してから目を閉じてゆっくり声を響かせてゆく
「 ~ ♪ ~ 」
転異魔法をうちの母親が歌って実行した時のように、エイシアさんも歌い始めた。
言葉は理解できないけど、澄んだ歌声と不思議な力を感じる歌が響く。
そして小さな美少女精霊さんは、僕の周りをゆっくりと浮かんだまま回り始めた。
他にも色々聞きたいことはあるのだけど、多分彼女のするべきことが終わらない限り僕の話は聞いてくれないのだろうなぁ。
なんとなくだけど、うちの母親と似ている感じがするから余計そう思う。
「 ~ ♪♪ ・・・ 」
歌が途切れて、一呼吸おいてから。エイシアさんが目の前に進んでくる。
歌い終わったようだ。
「この世界の管理神であるトォーニ様の名の下、電子精霊たる私エイシアはエルフ王女 ルーナリエ=フェ=ヤーマンと
異世界より来る勇者 シロー=ヤーマンとの間に授かりし長子にして、我が加護を受ける者達の、始祖足らしめる資質の持ち主であるリックの名を持つ者。
我の眼前に立つこの偉丈夫に最初にして最大の加護を与えます」
エイシアさんが僕の目の前で大きく両手を広げて、僕を見つめてさらに言葉を続けた。
「電子精霊の長の加護を受けし者よ、心穏やかに加護を受け入れなさい」
彼女がそういい終わると同時に、銀色の光が僕の体を覆いつくした。
あまりの眩しさに、目を開けていられないほどの光が・・・
目を閉じていても感じる強い光に立ち尽くしていると、次は頭の中に声が響いた
『情報の伝達を開始・・・』
聞いたことの無い中性的な声のあとに、イメージが流れ込んでくる
しかも、その量は徐々に増えてゆく・・・
『情報受入体制を確認。 意識遮断開始願います。』
(・・・ 気が・・・ とぉぉ ぅ・・・)
僕の意識はブラックアウトして行く そんな感覚が理解できた。
なんで自分が意識を失って行くのが客観的に理解できるのか
それこそ理解不能なのだけど、別の視点の自分が見ているようだ。
その別の自分は冷静に自分の意識を閉じることを選択した。
大量の情報を受け取り、処理するために必要なこと・・・だか・・・ら
「ご協力に感謝しますゎ、始祖リックさん。お目覚めになられたら・・・その時はもう多くの説明も必要ないと思いますけれどぉ。」
沈んでゆく意識の中で、最後に聞こえたエイシアさんの声・・・
それは優しい声だった
お読みいただきまして、本当にありがとうございます。お読みいただけることが、とても嬉しいです。