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廃鉱山にて

今晩は 本日の投稿になります。

目の前には廃坑の入り口がある、そこには申し訳程度の注意喚起があるだけで侵入を拒むものは何もない。

まぁこんな廃棄された鉱山に入りたがるモノ好きもそういないのだろう。

以前は伝説の魔道具を探しに来る物好きもいたらしいが、今はもうそんな人もいないのだろう。僕らはここまで転移魔法で来たので問題はないのだけれど、後ろにあったはずのかつての道らしきものは既に自然に帰ってしまい、もはや獣道にしか見えない。


ちなみにセオの転移魔法は、本人が行ったことのない場所でも転移が可能だ。もちろんその場合は、正確な位置や場所の特定は必要になるのだけれど、そこは進化している電子魔法でカバーできる。

目的地に過去に行ったことがある人からその場所の位置や地形の情報を入手して、ミーネが作りあげた地図と照らし合わせることにより目的地の座標特定が可能になる。その上でセオのオリジナル電子魔法、〈天眼〉がその効を発揮する。

この魔法は残念ながら亜神であるセオしか今のところ使えないのだけれど、〈MAP〉やミーネの地図で特定した場所の映像をリアルタイムで見ることが出来る。この魔法と転移魔法を組み合わせることによって術者が行ったことのない場所でも転移できるようになるのだ。


ただし、セオの転移魔法は基本的に自分しか転移することが出来ない。今回のように自分以外を転移させようとすると、配偶者である僕の魔力を利用した合体技でないと無理なうえに、転移距離に制限が掛かるのだ。

だから今回は距離ギリギリのラインで魔法を使用した。


しかもセオに相応の負担がかかるし、複数転移は多用できる魔法じゃない。


実はセオに負担がかかるということも、最初は一切自分から口には出さなかった。

僕のためならばセオは自分の命さえ削りかねない子だから、本当に注意していないと取り返しがつかないことになる。

自分より僕を優先してしまう、これはセオの悪いところでもある。


最終的に命令に近い形になったけれど、リスクを必ず僕に説明することと自分の生命や健康にかかわるような力の行使は絶対にしないことをセオに約束してもらった。






「 坑道内の〈MAP〉は全員確認してあるよね 」


「 あい、主様問題ないはずですわ   ね、マーサ姉様 」


「 うん、大丈夫だよ あたいも妹たちの分も問題なし。 魔力も大丈夫だよ 」


みんなが頷いて、問題ないことを示している。


「 装備を出しますから、受け取ってくださいニャン 」


ユーンの高位収納魔法具からそれぞれの装備を入れた背嚢が現れる。

入っているのは、最低限の保存食と水、それに回復薬やランタンだ。


ノエルさんも含めて基礎魔法はみんなが使えるし、実際に食べる食料はユーンが収納してくれているので、個人の背嚢の中身はほとんどが非常用だ。

あっては困るけれど何が起こるか分からないのも事実。


あと、坑道内ということもあって振り回すような武器は使い勝手が悪すぎる。

なので、みんな短剣を装備しているに留めている。

本来の装備はユーンに収納してもらってある、本当に便利だねぇ。


普通に考えて坑道内で大型の猛獣が出る可能性は低いし、行動中も〈MAP〉で生命探知も行っているので不意を突かれることもない。

浅いところでは蛇や吸血蝙蝠程度は居る可能性はあるから注意は必要だ。


「 あい、ユーンありがとう 」


セオもユーンから受け取った自らの荷物が入った背嚢を確認している。


「 ノエルさんは僕の側にいてくださいね。もし手を放してしまい、はぐれたらとにかくその場を動かないでください。必ず迎えに行きますから 」


「 はい、おっしゃる通りにします 」


ノエルさんは少々緊張しているようだ、まぁ貴族の子女だし坑道とか洞窟なんて歩いたこともないだろうしね。


「 僕はもちろんですが、うちの嫁さん達全員が魔法でノエルさんの位置は常時把握出来ていますから、安心してください 」


「 はい、どうか皆様よろしくお願いいたします 」


僕らのやり取りを眺めていたお嫁さん達に深々と頭を下げるノエルさん。


「 うん、心配しないで良いよ。あたい達が付いてるから大丈夫だよ 」


筆頭嫁のマーサが代表して答えてくれたようだ。

他のみんなは大きく頷いている。


うちの奥さん達の連携も板についてきたね。


「 坑道内ではあらかじめ打ち合わせた通りに、先頭はセオにお願いするね 」


「 あい、お任せください 」


セオは魔法能力も高い上に、〈MAP〉の展開範囲も監視能力も一番高いのだ。さすがは亜神といったところだよね。

また、その魔力によるプレッシャーで中途半端な相手は近づくことさえ困難だ。


「 しんがりはフェオにお願いするね 」


「 はい、フェオ頑張ります!! 」


尻尾を振りながら元気良く返事をしてくれる。

フェオは犬族としての特性で嗅覚が優れているうえに、目が悪かった時期に嗅覚と聴覚が更に強化されたようで危険察知の能力はとても高いのだ。

さらに、電子魔法も使えるようになってからはその監視能力に磨きをかけている。


特にフェオのために開発した電子魔法〈感知〉は魔力を金属に込めることにより任意のセンサーを作り出すことを可能としている。

これは金属(銅や金が理想的だが電気伝導性の高い物なら可能)と電子魔法の相性の良さを利用したもので、振動や音を拾うことが出来る。


今回のような銅鉱山跡であれば岩盤に残る銅を利用することも可能だ。


込める魔力量はセンサーの種類や能力によって変わるが、単純なものであれば魔力量も少ないので気づかれる可能性も少ない。


フェオにしんがりを任せたのは、この魔法を使って追跡者があった場合に備えているのだ。

電子魔法〈MAP〉は便利だけれど、過去にエイシアさんがやって見せたように魔法による妨害の可能性も否定できない。

〈MAP〉は魔力を展開して感知するアクティブソナーとするならば、さしずめ〈感知〉はパッシブソナーやSOSUS(海底設置のソナー監視システム)のような物と言えるだろう。


「 フェオはマーサがフォローしてあげてね 」


「 あたいに任せておいて、きちんと後ろにも目を配るよ 」


「 ノエルさんは僕の横かすぐ後ろにお願いします。あとユーンはノエルさんの後ろに居てね 」


「 任せておくニャ 」


ユーンには高位収納魔法具による物資輸送もお願いしているので、とても重要な存在だ。

しかも猫耳!! 本当に可愛いよねぇ。



坑道内での順番も再確認したところで全員の準備も整ったので、いよいよ坑道内へ入ってゆく。


ルートは判明しているが順調にいったとしても途中で2泊程度はする必要がある。

何が起こるか分からないし、坑道内ということもあり酸欠や落盤の危険もあるし、とにかく慎重さが求められる。


「 セオ、とにかく安全第一で進もう。特に酸素濃度に注意しておいてね 」


「 あい、主様  科学というものはすごい物ですねぇ 酸素というものが無いと生きられないことは全く知りませんでした。 坑道に入りましたら直ぐに魔法を展開しますわ 」


坑道内ということもあり、酸欠が怖いのでセオには酸素を理解してもらうことにした。

簡単な実験やミーネの手伝いもあり、さらにはセオの理解力が高いこともあって科学に興味を持ってくれたようだ。

最近は良くミーネから知識を引き出して、急速に科学知識を理解しているようだ。


その中でセオが創り出した魔法が、〈プローブ〉だ。魔力で創り出した前方探知針を使って50m程度前方の酸素濃度や有害ガス検知が出来る優れた魔法だ。

これによって坑道内の空気の異常を事前に探知することが可能だ。


万全かどうかは分からないけれど、危険予知の手段を取れる限りは用意した。


あとは前進あるのみ。



「 じゃあ みんな出発だ 」


「「「「「 はい 」」」」 ニャ 」



お読みいただきまして本当に感謝申し上げます。

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