到着
こんばんは 本日分の投稿になります。
気が付けば夜も更けて来たので、ダッジさんたちのテントを辞去して焚火の元へ。
他の乗客の皆さんはすでに馬車で休んでいるようで、火の回りには僕のお嫁さんたちが待っていた。
「 ソーンは? 」
あたりに姿が見えない御者についてマーサに聞いてみると
「 ソーン君は馬車のそばで、ライ君と一緒に毛布に包まってるよ 」
いざという時にはすぐに馬車を動かせるようにすぐそばで眠っているらしい。
いつもなら馬も引き棒を外して楽にさせているのだが、今日はソーンが眠っている間は引き棒を付けたままにしているようだ。
馬には申し訳ないが警戒の一環でもあり勘弁してもらおう。
まぁライ君も一緒なら安心だろう。番犬としてもとても優秀だし。
「 そうか ならちょうどいい。さっき念話では話したけれど、ダッジさんの依頼を受けるので是非みんなの力を貸してほしい 」
「 水臭いですわ主様、私たちは主様の決めたことに従います。それが例え地獄への片道切符だとしてもお供します 嫁として当然のことです 」
嫁を代表してセオが思いを伝えたらしく、マーサもフェオも大きく頷いている。
本当に素晴らしいお嫁さん達だ。この思いを裏切ることが無いように、しっかりと判断し決断しなければいけないよね。
「 ありがとう。みんな 本当にありがとう 僕は幸せ者だ 」
僕はとても大切な素晴らしいお嫁さん達に向けて頭を下げたのだけど、あっという間に3人の柔らかい体がまとわりついてきた。
右腕側の感触は間違いなくフェオだ。無言でぎゅっと僕の腕を抱え込んでいる。
左腕側にはマーサの豊かになりつつある胸が押し付けられた。
「 あたいはリックの物だよ ずっと一緒にいるんだから 」
「 私の全ては主様のためだけに存在します、この力も如何様にもお使いください 」
そして背中にはセオの温もりと息遣いを感じる事が出来る。
この先どんな困難が待っていようともこのお嫁さん達となら必ず乗り越えられる。
だからこそ、この大切でとても可愛い存在をしっかり守らないとね。
『 エイシアさん 聞いてる? 』
僕は温もりに包まれながらも、あることを思い出したのでエイシアさんに呼びかける。
『 聞こえてますよぉ 何かご用ですかぁ 』
『 お願いがあります、 フェオの事なんだけど 』
筆頭嫁であり神様の祝福も得ているマーサや亜神であるセオと比べると、どうしても見劣りしてしまうフェオの能力を上げたいのだ。
いざという時にフェオが狙われるのを防ぎたい、面倒事に巻き込まれた時に敵対する相手は弱点を狙ってくるのが常套手段だからだ。
フェオを失いたくないから、そのための相談。
『 リックさんの希望はよく分かるのですぅ だけど難しいですぅ 』
エイシアさんとして与えられる加護はフェオにも当然贈られているのだが・・・
神様の祝福によって魔法を使えるようにしてあげたいのだ。
もちろんポルちゃんに頼んで護りのマジックアイテムも探してもらうけれど、それだけに頼るのも怖い気がする。
『 せめてフェオに魔法が使えるように出来ませんか 』
『 うーん 困ったのっですぅ トォーニ様もお忙しい方なのでぇ そう簡単には・・・ 』
そうなんだよね、いくら知り合いと言っても本来はこの世界の神様なのでそんなに一個人の為に動いてくれるわけも無く。
我がままだよなぁ・・・
『 ごめんごめん さすがに忙しくて行けないので セオちゃんに許可出すから~ 安心していいよ セオちゃん よろしく哀愁!! 』
突然、本当に突然だけど神様が念話に割り込んできて言いたいことだけ言っていかれました。
『・・・ エイシアさん・・・ いまのって 』
『 はいですぅ ・・・ 間違いなくトォーニ様ですぅ 』
『 なんかセオに許可とか言ってましたけど・・・ 』
セオが話位割り込んできてくれた。
『 あい、許可を戴きましたわ 主様 』
どうやら神様は自分が忙しいので、亜神であるセオに祝福の権限を渡してくれたらしい。
しかし・・・よろしく哀愁って・・・ もう昭和の匂いを絶対残していくよね。
さらにセオに確認したら、フェオに対する祝福の権限は無期限でいただいたので、とりあえずフェーンに到着してから祝福を行おうと言われた。
マーサの時もそうだったけれど、体に負担も掛かるし見た目が変化する可能性も高いので落ち着ける場所でないとね。
マーサはオッドアイになったけれど、フェオはどう変わるのかな。
その後はとりあえず警戒をしながら交代で眠ったのだけれど、それ以上の襲撃も幸いにしてなかった。
早朝から無事に馬車は出発して、残りの道のりをひた走って行った。
「 みなさんお疲れさまでした。なんとかフェーンに到着です 」
北側の馬車専用門より町に入ってすぐのところにある駅家前に到着して、ソーンが乗客に告げた。
「 やれやれ 何とか到着できましたな。 リック殿、心から感謝しますぞ 」
僕に感謝の言葉と共に握手を求めてきたのはドワーフのゴドックさん。
「 いえ、皆さんを無事にお連れするのが護衛の仕事ですから 」
「 うむ、若いのに大したものだ。どうかパリファに立ち寄ることがあれば、このゴドックの工房に立ち寄ってくだされ歓迎いたしますぞ 」
大きな手でしっかりと握手をしながらそう話すゴドックさん、その後ろには奥さんのカレーニャさんの姿がある。
がっしりとして丸太のような腕に髭もじゃもじゃのゴドックさんに対して、奥さんのカレーニャさんは小さくてとても可愛らしい。
ドワーフの女性は小さくてかわいい人が多いという話は、間違っていないようだ。
微笑みながら頭を下げてお礼を言うカレーニャさんは実に可愛らしい。
うーん美女と野獣カップルだ。
ちなみにゴドックさんの実家があり工房を開く予定のパリファは、ここフェーンからさらに南下した町らしい。
いつか立ち寄る機会があるかな。
「 リックさん 」
ゴドックさんを見送った後に声を掛けてきたのはマンドさんだ。
「 マンドさん、本当にお疲れさまでした 」
「 いえいえ、本当に助かりました。おかげで命拾いできましたし、益々儲かる気がしてきましたよ 」
流石は商人だよね、もう気持ちを切り替えて助かったことを幸運に転換している。
「 是非、儲けてくださいね。大金持ちになったマンドさんの家に遊びに行くのを楽しみにしていますから 」
「 ええ 早く招待できるように儲けますよ。そのためにも明日の朝一番でギルドで対価を用立ててきますのでお願いしますよ 」
マンドさんとの契約であるトランプの引き渡しは、明日になった。到着が遅くなったので商人ギルドでの決済が出来ないのだ。
「 では明日朝に商人ギルドに伺いますのよ 」
「 はい、朝2番鐘以降にお願いします。私が見当たりませんでしたら、受付で私の名前と待ち合わせている旨を伝えていただければ通じる様にしておきますので 」
明日の約束と握手を交わしてマンドさんを見送った僕の視界に入ったのはこちらへ小走りに向かってくるソーンの姿だった。
「 リックさ~ん 」
僕のすぐそばまで来て立ち止まる彼のそばには、愛犬のライ君の姿もある。
嬉しそうに尻尾を振るライ君にも世話になったなぁ。
「 よしよし 」
旅の間に仲良くなったライ君のアゴの下側を撫でる、彼はここを撫でてもらうのが好きらしい。
とても嬉しそうに身を摺り寄せてくれる。
「 リックさん、本当にお世話になりました 」
「 無事に到着出来て何よりだよ 」
「 リックさん達が居なかったら、とても無事ではなかったですよ 本当に感謝してます 」
「 そう言ってもらえると嬉しいね、でもソーンの腕が良かったのも無事につけた要因だよ 」
「 いえ自分なんかまだまだで。 今回の事は組合長もとても喜んでました。それと、組合長からの伝言なのですけれど 明日の午後以降にそこの駅家に来ていただきたいそうです 」
「 え? 行くのは良いけれど なんかあった? 」
「 あ、違います。報酬をお渡ししたいのでご足労願いたいとのことです 」
「 報酬? 」
確かに護衛は成功したのだろうけれど、元々護衛は仕事だからね 報酬なんか約束してないのだけれど。
「 はい、捕らえた襲撃者ですよ あいつらの持ち物や奴隷報酬です 」
要するに犯罪者となった4人を引き渡したことによる報酬らしい。
フェーンの馬車門で襲撃者4名は、連絡を受けて待機していた武装職員に馬ごと引き渡した。
もちろんその前にセオの支配からは解いて、抵抗できない状態にはしておいた。
連中の使っていた武器や防具、その他所持品やさらに馬まで全て金に換えられた上で、本人たちも犯罪奴隷として相場に見合った額に換算されて、討伐者に報酬として支払われるらしい。
今回の場合、その総額のうち計算によってはじき出された割合として3割が僕の物になるようだ。
「 いいのかなぁ 報酬までもらってしまって 」
「 当然ですよ。3割しか渡せないのが申し訳ないくらいです 」
ソーンの表情からは本当に申し訳ないといった色が見て取れる。
「 3割で十分だよ、じゃあ明日の午後にでも顔をだすことにする 駅家に行けばいいのだよね 」
「 はい、ここの駅家は大きいので朝から夕方まで常に人がいますので大丈夫です 」
その後しばらく話した後にソーンとライ君も去って行った。
気が付けば辺りはすっかり暗くなり、人影もまばらだ。
まぁダッジさんとの約束は明日の夜だし、さて宿に向かおうか。
今日の泊りはダッジさんに紹介してもらった町の中心部にある宿らしい。
既にダッジさん達はセオとマーサが付き添って宿に向かってもらった、相当疲れているノエルさんをもう休ませているはずだ。
「 待たせてごめんね フェオ 」
僕はすぐ後ろでじっと待ってくれていた、いじらしくて可愛いお嫁さんに声を掛ける。
「 ううん リック様はカッコイイので見ているだけで嬉しいです 」
フェオの言葉はこっちが照れてしまうほど真っすぐだ。
「 おいで 可愛い奥様 」
呼ぶと嬉しそうに抱き着いてくるフェオ
それがあまりに可愛いのでナデナデ大会が開催される。
「 くぅぅぅーーーん 」
照れながら身を摺り寄せ、可愛い声を聴かせてくれる僕の奥さん。
このまま撫でる手が止まらなくなりそうだ。
とはいうもののマーサやセオも待っていてくれるだろうし、ナデナデ大会の続きは宿でしようか。
「 帰ろうか 続きは宿でね 」
ぎゅっとフェオを抱きしめて耳元で囁くと、真っ赤に頬を染めたフェオが小さく頷いてくれたので、フェオの手を握って宿への道をゆっくりと歩きだした。
さぁお嫁さん達が首を長くして待っているはずだ。
お読みいただきまして、本当に感謝感謝でございます。




