広いベッドで良かった
こんばんは 本日分の投稿でございます。
大丈夫ですよちゃんとマーサには許してもらいました。
まぁ多少生傷が増えましたけど、その程度です。
筆頭嫁としてお嫁さんが増えるのは構わないそうで、まぁ黒猫さんはお嫁さんになることは無いよなぁ可愛いとは思いますが名前すら知らないし。
犬族の獣人さんの話もしたよ、まずは奴隷として買い取ってあげることも話してある。
これはすんなり受け入れてもらった、なんで奴隷商人のところに行ったのかは正確なところは話していないけどね。
その状況でその子を見捨てることなんて僕にはできないでしょって言われました。
よくご存じで。
しかしながらマーサは、相変わらず自分に特別な価値があるなんて欠片も思っていない。
危機感ゼロ。だからこそ、僕が守ってあげないといけないのだけどね。
「 というわけで、これをつけてください 」
マーサの目の前に出したのは、さっき黒猫の配達員さんが持ってきてくれた指輪と腕輪。
「 え、 こんな高価そうな物あたいが付けていいのかい 」
「 これはマーサしか装備できない特別な指輪と腕輪だからね はい手を出して 」
マーサはおずおずと左手を差し出してきた。
この世界でも指輪をする指の意味とかあるのだろうか。
それにマーサと事実上結婚してるけれど、結婚式とか挙げた方がいいのかなぁ。
今度色々とミーネに聞いてみよう。
「 リックぅ・・・ 」
マーサの手を取ったまま固まっていたせいで、何か不安げな顔で見上げている奥様。
「 あぁ ごめんよ。 ねぇマーサ、僕の故郷では結婚してる証の指輪は、女性の左手薬指に付ける物なんだけど 」
「 あたいはリックの嫁なんだからリックの故郷の習慣がいいよぉ 」
マーサが例によって上目遣いで訴えかける。
「 じゃあここにしよう 」
マーサの左手の薬指に指輪を嵌めてあげると、少し大きくて緩いと思った指輪が光を発してマーサの指にピタリとはまった上にデザインまで変化した。
少し太めの指輪だったそれは、マーサの指に合う細いものへ変化してプラチナのような輝きを放っている。中央の石も深紅の物から薄いピンク色のダイヤモンドと輝きを持つそれに姿を変えた。
「 ふわぁぁぁ 」 見つめていたマーサの顔がさらにほころんでくる、相当気に入ってもらえたようだ。
ということはこっちもかな。
そう思って残った腕輪をマーサの右手に通すと、二の腕のあたりで光り輝き始めピタリと収まった。
こちらは金色の輝きに変わり、全体に細かい模様が筋彫りされた美しいデザインに変化し、ところどころにルビーがあしらわれている。
マーサの腕にとても良く似合う。
「 うん マーサにぴったりだ 」
「 こんな・・・素敵な物 ・・・ 本当に良いのかい あたいなんかが貰って・・・ 」
マーサは涙をこらえながら話してくる。
「 僕のお嫁さんとしてこれからもよろしくね これはその証かな 」
「 リックぅ・・・ 」マーサは僕の胸に顔をうずめて泣きじゃくる、泣き虫なお嫁さんだ。
『 盛り上がってるとこお邪魔虫ぃ 』
突然脳内に声が響く。
『 マーサちゃんには聞こえてないから大丈夫だよ 』
どうやら阿佐ヶ谷のオジサンじゃなくて、神様 トォーニ様の声だ。
『 神様 すみませんアイテムを安く買い過ぎましたか もしかしたら 』
『 違う違う、気にしないで全然問題ナッシングだから あと、阿佐ヶ谷のオジサンでOKだからね OK牧場 』
良かった、神様は今日も平常運転だ。
『 では、今日はどんなご用件でしょうか 』
『 固いなぁりっくん、固すぎ。バリ固くらいかな、もうすこし柔らかくね 』
『 はぁ・・・ 』
神様って色々忙しいのではなかったのだろうかと思っていたら、やっぱり忙しかったようでその後は用件だけ伝えられて脳内会話終了。
要するに、あの指輪と腕輪はやっぱりトォーニ様が昔に拵えた物だった。元々条件に当てはまる人が装着すれば形状変化する仕様らしい。
後、お祝いもかねて能力はパワーアップしておいてくれたらしいありがたいことです。
『 パワーアップとかいうレベルでは無いですよ 』
ミーネが話しかけてくる。
『 確認しましたが、、まずあの指輪と腕輪は悪意を持った他人が触れません。マーサ様が指や腕から外した状態でも他人が盗もうとすると雷魔法による電撃が走ります 』
あぁ神様の言っていたラムちゃん仕様にしておいたってこの事かぁ。
『 さらに、回数と制限時間が解除されていますので。マーサ様は装着している限り物理攻撃や魔法攻撃から完全に防御されます 』
『 神様には感謝だね 少しやりすぎな気がしなくもないけれど 』
まぁマーサの安全が一番だからいいか。
ただし自分で転んだりした程度では防御魔法は働かないので注意してほしいとのこと。
マーサには神様がその腕輪と指輪に祝福してくれて、いざという時は守りの魔法が働くけれど危ないことはしないように伝えておいた。
始祖の筆頭嫁はそれくらい特別なんだよって言ったら、ものすごくやる気になってた。
「 あたい立派な筆頭嫁になるよ そして赤ちゃんをバンバン産むんだ 」
「 その意気ですぅ 期待してるのですぅ 」
マーサの決意表明に応じる様に突然現れるエイシアさん。
この手の話になるとこの2人すごく息が合うよね。
その後もマーサとイチャイチャしたり、みんなで今後の予定を話し合っていたらすっかり外は暗くなっていたようで。
「 お客さーん 夕飯はどうされますかぁ 」
ドアがノックされレイファが声を掛けてきたことで、やっとお腹もすいていることに気が付いた始末。
「 すぐに行きまーす 」と返事をした。
席に着いた僕たち二人の前には今日も美味しそうな料理が並ぶ。
名物のパイと、今日は串焼きのような料理。肉や野菜がいっぱいだ。
もちろんお替り自由のパンもたっぷり。
ちなみに今日のパイはキドニーではなくてステークパイとのこと。
お肉たっぷりで美味しいよね。
厨房から親父さんがこっちを見ていたので、美味しいって伝えてみた。
「 ふん 」 当たり前の事いうなみたいな感じで奥に引っ込んでしまったのだけど。
あとで女将さんが嬉しそうにサービスだよってプラムのジャムを出してくれた。
親父さんが出してやれって言ってくれたらしい。
マーサがパンに付けて大喜びで食べたよ。秘蔵のジャムまですみません、ありがとうございます。
あ、そういえば親父さんの秘密というか、なんでハギスやスコッチウイスキーなのかは神様が教えてくれた。
親父さんの出身地がスコットランドからの集団転移者の末裔の村なんだって。
数百年前の戦争の巻き添えを食って全滅する直前の村を、地球の神様がトォーニ様と協議して集団転移させたらしいよ。
村ごとこの世界の辺境に送り込まれたから、スコットランドの文化とかも維持しながらこの世界にゆっくり溶け込んでいったらしい。
村には職人も居てウイスキーも苦労して作り続けたらしいよ。
いまではウイスキーはその村の名産品らしい、でもハギスは中々広まっていないとのこと残念だね。
他にも似たような例がこの世界には有るみたいだから、旅をしながら探してみると面白いよって阿佐ヶ谷のオジサンことトォーニ様が言っていた。
これからの旅の楽しみが増えたかも。
親父さんはその後もウイスキーを持って現れようとしてたみたいだけれど、息子さんと女将さんに怒られて諦めたみたい。
今日はお客も多いしね、気が付いたらほぼ満員だ。
僕らもお腹がいっぱいになったところで部屋に引き上げました。
「 食べ過ぎたよぉ でも、あたい毎日こんなにおいしいもの食べれるなんていまだに信じられないよ 」
マーサがベットの上に寝転びながら話しかけてきた。
「 マーサさんは細すぎるのでぇ たくさん食べて丈夫な赤ちゃんを産める体を作るのですぅ 」
例によって突然エイシアさんが現れてマーサに助言を始める。
「 そうかなぁ でも太ったらリックに嫌われないかなぁ 」
マーサが横目で僕に視線を送りながら話を続けている。
「 大丈夫なのですぅ それよりもぉマーサさんは瘦せ過ぎなのですよぉ そのちっぱいでは赤ちゃんが困りますぅ 」
何かマーサが偉いショックを受けているようで、自分の胸を抱えて泣きそうになっている。
アニメなら ガーーーーン という効果音が入ってそうな勢いだ。
「 えーと マーサさん・・・ 」
心配なので声を掛けるけれど聞こえていないようだ。
「 赤ちゃんが困る・・・ 赤ちゃん産めない・・・ 筆頭嫁失格・・・ ふぇぇぇぇぇぇ 」
「 エイシアさん いい加減にしてください 本気で怒りますよ 」
マーサを抱き寄せてエイシアさんに怒りを向けるけれど、すでにその姿は消え去っている。
「 リックぅ あたいぃぃ・・・ 」
「 大丈夫大丈夫、赤ちゃんは困らないから。それに知ってるだろうちの母親とかエルフはみんな貧乳だから 」
「 でもぉ リックのお母さん胸があったよぉ ・・・ 」
「 あれは偽物なの 詰め物が下着に入っているんだよ 」
『 知りませんよぉ そんな重大な秘密をばらすだなんて 』
ミーネの茶々が入ってきたけれど今は無視。
「 本当かいそれ・・・ 胸が小さくても赤ちゃんは困らないのかい 」
「 大丈夫 安心して。エルフは基本まな板だって父ちゃんも言ってたし それにマーサはスタイルが良くなってきてるでしょ 栄養はそっち行ってるし大丈夫 」
マーサの体はナノマシンによる効果と加護を得たことにより、本来あるべき姿に変化しつつあるので胸も大きくなるらしい。まぁ個人的にはそこまで大きくならないで欲しいのだけど、マーサのコンプレックス解消になるならある程度は許容しないとね。
「 安心したよぉ・・・ でもさぁリックぅ 」
マーサが少し恥ずかしそうに上目遣いで訴えてくる。
「 ん なーに 」
「 あたい 聞いたことあるんだけどぉ 胸って揉んでもらうと そのぉ大きくなるんだろぉ だからさぁ ・・・ 」
可愛い奥さんにこれ以上言わせちゃいけないよね。
もちろん揉むだけで済むとはマーサも思っていないだろうしね。
いっぱい揉みましたけどね。もちろん。
多分、そのまま寝てしまったのだけど・・・
なんか凄い夢をみました。夢って分かってみる夢 明晰夢って言ったかな多分それ
艶やかな黒髪と白い肌の少女、少女というには大人びた感じもあるが大人の女性と呼ぶにはまだ早い感じが漂う
人形のように整った顔立ちにして瞳は限りなく黒く美しい、シルエットは細くしなやかで気品に溢れている。
そんな儚くも物憂げな少女が僕を探している。
何故か分からないけれど僕を探していることだけは分かったので声を掛けると
「 主様ぁぁぁっぁ 」
突然僕に抱き着いてくる
「 やっとやっとお会いできました。あぁぁ主様主様ぁ 」
何かもっと言いたいことはあるのに、言葉にするのももどかしいようにただただ縋り付きやがて嗚咽をあげて泣きじゃくる女の子。
もちろん名前も知らないし、見たこともない子なのだけれども
なんだろう知っている気がする・・・
この子が人間でないことも知っている気がする。
分かっている誰なのかも、でも思い出せない。そこに記憶があるのも理解できるのだけれども引き出しのカギが開いてない。
「 平気ですわ主様。分かっております、どうかお気になさらず 」
涙が溜まった目で見上げてくる黒髪の少女。
「 全ては星の導きによるもの、私はこうして抱きしめていただけるだけで幸せです。主様の元へやっと辿り着けたのですから 」
その時僕は一つだけ思い出した、目の前のか細い少女の糧が何であるかを。
彼女が人間と違う理由を。
「 あぁ お優しい主様 私ごときの為にそのような事をお考えにならないでくださいまし 私は確かに糧を必要としておりますが、主様のお体に傷をつけるような真似はどうかお控えくださいもったいのうございます 」
彼女は僕の考えを読みっとったのだろう、否定の言葉を口にする。
だがしかしそれでは君の命が付きてしまう、あの程度では到底足りるはずがないのは僕にもわかる。
しかも君はもう何十年も他に何も口にしていない。
「 なんとお優しい主様、私ごときの為にそこまでお考え下さるとは。ご存知の通り私たち一族は卵から生まれ、数十年の間はなにも口にせずとも飢えることも命が尽きることもありません。その間に残りの一生を共に過ごす伴侶を探し、糧を求めるのです 」
縋り付きながら切々と訴える少女。
「 私がやっと探し当てた唯一のお方、その大事な主様の身に傷の一つとして付けることは出来ません。ですから・・・その・・・ 」
急に恥ずかしくなったようで語尾が消えゆく少女は、意を決したように上を向くと僕の唇に自らのそれを重ねてくる。
「 もっと美味な物をいただきとうございます。 血よりもなお濃く 美味な物を 」
少女の微笑みが蠱惑的なものに変わっていた。
やけに生々しい夢だったよね。
すごくリアルだったし・・・
明け方に目が覚めてぼんやりした頭でそんなことを考えていた。
瞼がまだ思い・・・ でも背中には温かい体温が感じられる。
やっぱり昨日はそのまま眠っちゃったんだよなぁ、でも人肌って温かいよね。
もぞもぞと背中側で温かいものが動いていたと思ったらぎゅっと体が押し付けられた。
あれ? 「 マーサの胸が大きくなった 」 明らかに背中に押し付けられているボリュームが大きいのですが・・・
「 リックぅぅぅ 」
え、明らかに反対の方向からマーサの声がしましたけど・・・
「 え ぇぇぇぇ 」
「 それ・・・ いったい 誰ぇぇぇぇ!!! 」
え、えぇぇぇぇぇぇぇ 何事が起きてるのでしょうか
母さん ピンチです
お読みいただきまして誠にありがとうございます。




