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伝説の正体

こんばんは 本日分の投稿です。よろしくお願いいたします。

「あのう お聞きしたいのですが」


「んー 俺に?」


まぁ目の前に浮いている豚の貯金箱(?)さんに話しかけるのも相当にシュールだと思うけれど、そこは深く考えないでおこう。


「はい  一体どちらさんでしょうか?」


「あぁぁん  俺を 知らないってことぉ そういうこと」


なんか内容と口調は凄んでるのかもしれないけれども、声がね可愛い声だし姿は豚さん貯金箱。

確かによく見ると、眉毛?が吊り上って少々お怒り顔なのだろうけれどね。


「すみません、 存じ上げないので 聞いています」




「・・・  おーい 精霊 居るだろ出てこーい!!   どこの精霊だぁ こんな物知らずに加護与えたのはぁ 」


何か責任者出てこーい(怒)  みたいな状況になって来たよ。まずかったかなぁ。

でも、本当に知らないのだもの、仕方ないよね。




「 はーい  呼びましたかぁ 」


まだ語尾にハートマークが付いてそうな状態のエイシアさんが現れたよ、しかし相性悪そう・・・大丈夫かなぁ


「 あー  誰だお前 どこの野良精霊だ  見たことねぇ顔だし 変な波動漂わせやがって 」





あ、やヴぁい気がする・・・


「なんてぇ いま おっしゃいましかぁ 私のぉ聞き間違いでしょうかぁ 」


声が、エイシアさんの声のトーンが平坦だよぉ


「耳まで悪いんか この 野良精霊がぁ 」


「  誰が 野良精霊じゃーーーーーーー  言うに事欠いて、野良だとぉこの腐れ豚野郎がぁーーー いい度胸だ表でろぉ あーーーーん」


「 野良を野良ゆうて 何が悪いんじゃ  ぼーーーーーけぇ おう 誰に喧嘩 売っとるか分かっとんのかい ごらぁあああああ」


あーあ 完全にエキサイトしてるし。

でも、台詞のだけ聞いてると危ない人の鍔迫り合いみたいだけど、実際に目の前で繰り広げられているのはねぇ、どうみてもお人形さんと豚さん貯金箱のじゃれ合う姿。





『とりあえず放置しましょう』


『冷静になったみたいだね、ミーネ』


『 大変お恥ずかしいところを披露してしまいました。誠に申し訳ございません』


ホントさっきのミーネはびっくりした、普段とは全然違ってハイテンションになっていたからなぁ。


『ところでさぁ』


『はい、あれの話ですね』


どうやらいつものミーネに完全に戻ったようで、僕の聞きたいことをすぐに理解してくれたようだ。


『あたいを仲間外れにしないでよぉ』


拗ねたような声で、マーサが割り込んできた。

話は念話でしているけれど、僕の腕を抱え込んで上目使いで見上げてくる。

うむ、可愛い可愛い。



『 ・・・        ちっ 』




『ミーネさん なんか小さーく 聞こえたのですが・・・』


『気のせいだと思われます。   それよりあの者の話ですね』


『 誰なんだよぉ あたいにも分かるように教えておくれよぉ リックとミーネの話は難しい時が多いんだよ』


『 極力そう致す努力はしますが、必要であれば後でご主人様にお伺いください』


ミーネが進化してるのは良いのだけれど、とても丁寧にマーサに距離を置いてる気がするのだよなぁ、気にし過ぎかなぁ。


『・・・ ぅん 後でリックに聞くよ』


マーサが僕の腕をさらに強く抱きしめてきた。




『それで、一体誰なの』


色々気になることはあるのだけれど、まずはあの豚さんだ。

ちなみに言い争いはまだ継続中。


『 この世界でアーティファクトと呼ばれる、神様の作った魔道具です』


『 『  神様!!  魔道具!? 』 』


期せずして僕とマーサの念話がハモる、そして全く同じ感想も飛び出した。


『 『  あれが? 』 』


『 仲がよろしくて、幸いです。   まぁお二人の疑問は理解できますが   あの金色の箱から出て来た時点で神の魔道具、しかも希少レア魔道具確定です』


ミーネのその後の説明によると。


神様が世界中のあちこちに隠した魔道具があるとのこと。ちなみに隠した時期は数千年前。4大精霊の始まりの精霊と始祖たる者への贈り物として隠されたらしい。

外側の箱(埃まみれだったやつ)自体が高位精霊でないと見つけることが不可能で(見えなくなっているそうです)、さらに高位精霊が見つけても始祖やそれに準ずる者でないと見ることも開けることも触ることさえ出来ない。

開けられた者が、その中に入っている小さな箱へ魔力を流し込むことによって小さな箱は変化して、中身も変わってくるらしい。基本的にその時必要な魔道具が出てくるのだけれど、ランクというか当たり外れがあるらしい。くじ引きみたいなものだね、だから欲しいのが現金だとして、外れは100円で大当たりなら1億円みたいな感じかな。

まぁ作ったのがトォーニ様らしいから、よく言えば遊び心満載ってことですか。

ちなみに金色の箱に変化したら、レア確定で過去にも数回しか出ていないとのこと。

だからそれを見たミーネが大興奮したらしい。


正直なところ、出てきたあの豚さんはミーネの情報の中にも該当するものは無し。

レアなのだろうけど使い道は今のところ不明。

ちなみに過去に出て記録に残っている希少レアな魔道具はというと、古代龍エンシェントドラゴンの使役が可能な魔石や、いかなる盾でも貫く鉾といかなる鉾をも防ぐ盾のセットとかがあったらしい。

後者はちょっと微妙だけどね。


もしかすると今回のも微妙魔道具なのかなぁ


『でもその時に一番欲している物が出るって話でしょ、それが貯金箱?』


『おそらく形状は参考にならないかと思われます。魔道具自体に意思もあるようですし、使用方法等は本人に聞くしかないかと』


『結局そこかぁ・・・』


『リックぅ まだ終わりそうもないよ』


マーサの言う通り、2人(?)の言い争いはヒートアップする一方のようで


「 んだぁ ごるぅぁぁぁぁぁ 」


「 ぉるぁぁぁ んだこの くそがきぃぃぃ しばくどぉぉぉ」


ものすごい接近しながら怒鳴り合ってますけど、これって・・・ あのネタみたいにしたらどうなるかな


幸いにして小さいから、両手でそっと二人の背中を押してみたら・・・





  「       ちゅ      」





可愛い効果音が響いて とても静かになりました。






 ほんの一瞬だけね




「 ななななななんあななんあなんあ なーーにを するぅ 」


動揺しまくりの豚さん貯金箱


「 あぁぁぁぁっぁ わわわぁわたくしのぉぉぉ ふぁふぁふぁファーストきすがぁぁぁぁぁぁ」


ものすごい勢いで飛びながら叫びまくるエイシアさん





竜ちゃん式ショック療法で騒ぎを止めたまでは良かったのですが、違う騒ぎになりました。


失敗失敗  「  てへっ  」





「まぁまぁ 落ち着いて エイシアさん 」


「ここここっこ これがぁぁ落ち着いていられますかですのよぉ」


「大丈夫ですよ、だって魔道具さん女の子でしょ」


いきなり自分の方に話を振られて、我に返った豚さん貯金箱魔道具さん。


「あぁ。俺はれっきとした女子だ!! 」


言い方は思いっきり男子ですけど、声はねぇ  また色々残念な人(?)が増えた。


「ほらぁ エイシアさん  大丈夫!!  女の子同士のキスは無効ノーカウントですよぉ」


「 ・・・ ほんとに・・・ エイシアのファーストキスはまだ大丈夫なの?」


あぁぁちょっと罪悪感、なんか涙目だ。


「大丈夫ですよ エイシアさんの大事なファーストキスは守られています」


「 ・・・ うぇーーーん  良かったのぉぉ 」


涙目のエイシアさんが僕に抱き着いてきた。小さいから顔に張り付いているような感じなんだけどね。


「大丈夫 大丈夫・・・      痛っ!! 」


腕に取り付いていたマーサさんが怒った顔で脇をつねっています、獣人の力でやるとシャレにならないのですけどぉ。










「とにかくだなぁ お前がさっさと俺の名前をつけないのが悪い、全部悪い!!」




何故か矛先が僕に向きました。

そこに座れと言われて何故か正座中、そしてお説教タイム。

もちろん仰ったのは豚さん貯金箱型の希少レア魔道具様。


「俺様のような意思を持つ希少レア魔道具の所有者たる者、一番最初にすべきことは所有者としての名付けだろう。常識だぞ、名前が無ければ能力も発揮でないのだ。あぁぁぁじれったい早く名前を付けないか。ただし良い名前でなければ帰るぞ、そうでなくてもこの辱め・・・ 数千年待たされた挙句がこれでは納得がいかーーーん」


魔道具様、一気にしゃべり過ぎたのか少し息が上がっています。


「名前ですかぁ・・・」


困ったなぁ、僕のセンスはあまり良くないのだけどなぁ。しかも気に入らなければ帰るっていってるし、まぁぶっちゃけ何の道具かもわからないし帰ってもらってもいいのだけれど。

多分、帰ってもらって結構ですなんて言ったらもっと面倒なことになりそうだしなぁ。





「ポル  ポルちゃんでどうかなぁ」


考えた末に、提案した名前は子供の頃みた映画で知ったイタリア語の豚を意味するポルコからポルちゃん。

響き的にはなんか可愛い気がするんだけど、気に入ってくれるかなぁ。




「 ・・・ ポル・・・    ま、まぁ まぁまぁ名前だな べべ別に 気に入った訳ではないぞ、そそ、そう仕方なくだ 仕方ないから その名前で良いぞ 感謝するがよい」


気のせいか豚さん貯金箱型希少レア魔道具様改めポルちゃんの顔が赤いかも。

もしかして、俺っ娘でツンデレ??? まさかねぇ・・・


「で、ポルちゃん」


「 ひゃひゃい・・・  じゃじゃ じゃなくてぇ ななな なんだ主殿」


「うん、 教えてほしいことなんだよね。やっとここまでたどり着いた・・・」



そう、本来一番聞きたいこと 聞くべきこと 



「ポルちゃんって 何が出来るの?」


「うむ、そのことだな。 主殿あるじどのが異世界から来られたことは聞いた、しかもそこの精霊も生まれたばかりであり5番目の精霊族としても日が浅いことは聞き及んでおった」


「え、知ってたの?」


「う、 う  うむ。すまぬ 神からの通達があったのを完全に忘れておったのだ」


頭を下げて謝罪するポルちゃん。どうやって下げてるかって? それはねぇ雰囲気ですよ。




「謝って済んだらぁ 警察はいらないのですぅ」


「あんだとぉ ごらぁ」


また始まったよ 止めないとキリがないないからなぁ




「エイシアさん古典的な煽りをしないの、ポルちゃんも挑発に乗らない 可愛いのにダメだよ」


「 う、 主殿あるじどのがそう言うなら ・・・ 引くのだ」


あら、なんか素直なポルちゃん。

それに引き替えエイシアさんはというと・・・ 逃げたな。 もう姿が見えない。


「じゃあ、ポルちゃんのできる事教えてください」




『リックってさぁ なんか女の子の扱いがうまいよね』


『その点は同感です マーサ様』


なんか念話が聞こえていますけど、気のせい気のせい 聞こえない聞こえない



「俺の出来ることは、平たく言えば買い物だ」




「・・・ はぁ・・・ 買い物ですか・・・」


堂々と言われたのだけど、買い物、買い物 買い物にでも行ってくれるのかな

はじめてのおつかいみたいな感じ?

想像したらちょっと可愛かったけど、買い物ねぇ


「こらぁーーー なんか失礼なこと考えているだろう   いくら主殿でも許さんぞ」


「あぁ、ごめんごめん ちょっとほのぼのしちゃった」


豚さん貯金箱のポルちゃんがトコトコ買い物に行く姿を思い浮かべたらねぇ つい・・・


そのあと、半泣きでポルちゃんがいろいろと教えてくれたのだけれど

正直言ってびっくりした、さすがは希少レア魔道具







「じゃあここに、金貨を入れればいいの」


ポルちゃんの説明を聞いたので、指示通りに実践をしてみることに。


「うむ、金貨以外では受け付かないから気を付けてな主殿。銀貨や銅貨では消えてなくなるだけで無駄になる」


「気を付けるよ。 あぁ 例えば贋金だったらどうなるの」


気になることは聞いておこう


「うむ、金が含有されておれば問題ない、金の比率を下げた贋金やメッキの金貨でも問題ない ようするに金の量で決定されるのじゃ」


「ということは、金貨じゃ無くてもいいのかな」


「背中のスロットから入れば大丈夫じゃ」


ようするに、貯金箱の硬貨入口に入る金貨や金製品なら大丈夫なわけだ。


「さぁ はよう入れるのじゃ」


急かされたので、僕は用意した金貨を一枚入れてみる。

これは路銀としてルーちゃんに渡されたお金の一部。まだ全然使ってなかったので、金貨はまだ20枚以上あるはず。


陶器の貯金箱だし入れたら チャリーン とか音がするのかと思ったのだけど、無音でした。


「おおお、さすが主殿じゃ!! これはエルフ王国の金貨 しかも30年以上前に発行されて一度も使用形跡のない物」


ポルちゃんによると、一口に金貨と言っても発行した国や年代によって金の含有量も違うし、長く流通している物は擦り減ったりして金の量が減ったりするらしい。

その点でエルフ王国の金貨はこの世界において一番信用度が高い金貨で、しかも新品未使用。それに<保存>の魔法が掛かっているので状態は最高らしい。


「じゃあ大丈夫?」


「全く問題ないぞ 主殿。 さぁ欲しい物を告げるがよい」


そうなのだ、ポルちゃんは金貨を入れて欲しい物を告げるとお買い物ができる魔道具だったのです。ちなみに買ったものは早ければ即時配達、品物によっては数日かかることもあるとか。

その代り、この世界の全ての店の店頭にある物であれば何処に居てもお買い物ができるのだぁ!!


「えーとね、 とりあえずここにいるマーサが着る服と軽い防具、あと保存食とぉ」


「主殿、出来れば具体的にイメージするのだ。選択肢が多すぎて選べん」


そんなわけで、マーサ自身にも色々考えてもらい、電子魔法の<投影>を使ってイメージを確認したりしながら決定。

電子魔法を見たポルちゃんは相当びっくりしてたけどね。







「では、注文なのじゃ!!」


ポルちゃんがそう叫ぶと、 チャリーン って音がしたよ。

何か電子音っぽい感じ、まさか電子マネーなの?



「お待たせしやしたぁ」


決裁したと思ったらすぐに品物到着ですか、この世界の配達早いなんてもんじゃないね。


威勢のいい掛け声とともに現れたのは、猫の獣人さん

もちろん色は黒い。黒猫さんだ。


「うむ ・・・ よかろう 」


ポルちゃんが前脚で黒猫さんが差し出した羊皮紙に触ったら、足跡が浮かび上がった。


「はい、受取印いただきました。 あ、これお釣りです」


黒猫の配達員さんはお釣りの入った皮袋を僕に渡すと、ニッコリ微笑んでくれた

ちょっと可愛いかも。



あ・・・ 視線が怖い 痛い 


めっちゃ睨んでるよ


「また、おねがいしまーす」


帽子を取ってお辞儀をする黒猫さん。

次の瞬間には姿が消えてました。


本日もお読みいただきありがとうございます。

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