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レアなプレゼント?

本日分の投稿でございます。新たなキャラクター登場ですが、また人間以外・・・ 気が付けばこの話に純然たる人間って父ちゃんしか出ていない。精霊に、エルフに、ハーフエルフ、兎族の獣人。きっと町に行けば人間も出てくるかなぁ。

マーサの魔法についての確認も一通り終わったので、明日はトオッカに向けて旅立つことになった。

といっても、トオッカまでは3日くらいかかるし準備もしないとね。

食料は狩をすれば何とかなるけれど、塩とか保存の効くパン(固い)とか欲しいし。

マーサの服や装備品も必要だしなぁ、特に靴はキチンとしたのを履かせてあげたいし。




「ところで、トオッカの町に入るにあたって何か注意することってあるのかな」


明るいうちに近場で狩をして、雉に似た野鳥が獲れたので旅の途中としては(お忘れかもしれませんが旅の途中です)それなりに豊かな夕飯を取り、明日の出立の準備をしながらマーサとミーネを交えて今は色々相談の真っ最中。


ちなみにエイシアさんは行方不明です。

気が向けば出てくるでしょ。いつものことです。


「あたい逃げ出してきたし、スラム街にいたから町に入れるのかなぁ・・・   りっくぅ 」


マーサが心配そうな顔で聞いてくる。


『基本的に町に入る際には、身元確認というかチェックは有ります。ご主人様は身分証もありますし問題ないのですが、マーサ様は少し難儀ですね』


ミーネは脳内会話での参加だけれど、僕とマーサにはちゃんと聞こえてる(?)ので会話は全く問題ないのだけれど、話の内容は問題があるなぁ。


「ごめんよぉ、あたい  迷惑ばっかりかけてる・・・」


「気にしなくていいよ。 身分証なんか無くても手数料とか払えば入れたりしないの?」


マーサを慰めるため、そっと抱き寄せて撫でてあげると力が抜けて僕の肩に頭を乗せてきた。


『門番に袖の下を渡せば入れるとは思いますが、先日のスラム狩りの影響が出ているので出入りの確認が一時的に厳しくなっております』


いつも感心するのだけれど、ミーネは最新の情報をどうやって手に入れているのだろうか。

気になって聞いたこともあるのだけれど、淑女のたしなみですってはぐらかされた。


「うーん、困ったね」


他の町に向かってもいいのだけれど、やはり食糧や装備面での不安が出てきている。

それに、いずれにしてもマーサの身分証明は必要だ。


この際いったん、エルフの村に戻って相談してみようか。

最初にこの世界に来てお世話になった、エルフの村。まぁ食糧くらいは分けてもらえると思うけれど身分証は無理だよなぁ。

そもそも、あそこエルフしか住んでないし、マーサは獣人だし。


「お困りのようですねぇ~」


唐突にエイシアさんが現れた。


「まぁそうですけど、もしかしてエイシアさんが解決してくれるとか」


正直なところ期待はあまりしていないのだけれど、一応聞いてみた。


「任せてほしいのですぅ」


「あぁ やっぱり無理ですか・・・     え、 任せるって  何とかなるってこと?」


「少しは期待して聞いて欲しいのですぅ」


機嫌を損ねかけたエイシアさんを宥めてから聞き出した解決策とは、実に身近な所にあるのだという。






「これ?」


「はーい そうですぅ」


エイシアさんの指差す先には埃をかぶった箱。それは僕たちが過ごしていた廃屋から出て、すぐ隣にある物置小屋のような所でエイシアさんが示した物。


「この箱で解決できるのですか?」


僕はもう一度エイシアさんに尋ねるが、当の精霊様はうんうんと頷いて箱を指さすのみ。


「まぁそこまで言うのなら・・・」


僕は箱に手を伸ばしかけたが、なにしろその箱は埃だらけだし、先ずは綺麗にしようと思い手を引っ込めた。


「ねぇマーサ」


「うん   <清掃>  」


僕の意図に気が付いたマーサはすかさず綺麗にする魔法を箱だけでなく辺り一帯に掛けて、埃や汚れを一塊の玉にして屋外へ。

すっかり魔法も上達したねぇ。暇があれば練習してるし、飲み込みも早い。

マーサは決して馬鹿なんかじゃないよ。


上手に魔法を使って得意げなマーサの頭を撫でてあげると、嬉しそうに身を寄せてくる。

あぁ可愛い。





「では 開けてみますか」


そう言いながら僕は、綺麗になった箱のふたを開ける。箱の材質は木のような感じだけれど腐ったりはしていない。

見た目からの判断だけど、相当古そうな物だよねきっと。


「また、別の箱が入ってるよ~」


衣装ケースほどの大きさの箱の蓋を横に置いていると、中を覗き込んだマーサが声を掛けてきた。


「箱の中からまた箱ですか」


マーサが取り出したのは、二回り以上小さい木の箱。しかも蓋がくっついてしまい開かないようだ。

しかも箱自体軽い上に、振っても音もしない。


「空っぽかなぁ」


「エイシアさん これが解決策なの?」


僕たちはエイシアさんに少し非難混じりの視線を向けざるを得ない。

いわゆるジト目で眺めてみた。


「多分 大丈夫なのですぅ。  リックさん その箱を床に置いてぇ蓋の上に右手を置いて欲しいのですぅ」


「はぁ・・・」


仕方がないので、エイシアさんの言うとおりにしてみる。

でも何か意味があるのかなぁ





「で、次はどうします?」


手を置いたけれども特に何も起こらないし、まぁ聞いてみるしかないよね。


「では、魔力を流してみて欲しいのですぅ」


「魔力を流す?」


「はい~。  そうですねぇ 例えばぁその箱に<補修>の魔法を掛けるつもりでやればいいと思いますぅ」


「こうかな  <補修> 」


対象物に魔法を掛けるつもりでやれば、魔力は流れていくか。なるほどね・・・あれれ なんかすごく魔力が流れ込んでいる感じがする

大丈夫かなこれ・・・


「そのままですよぉ 掛けつづけてくださ~い」


僕の戸惑いを感じ取ったのか、エイシアさんが声を掛けてくる。

とにかくこのまま、魔法を掛けつづけるってことか。


2分ぐらいたった頃、箱の変化に気が付いた。

元々新品ではないけれど汚れもなく綺麗な箱だったし、<補修>の魔法を掛け続けているので新品同様になるのは分かるのだけれども・・・

なんか色が変化してるし、白木のような色から金色になって来ましたけど、しかもなんか光って来たし。


「え、エイシアさん。まだ続けるの まだ?」


「もう少しですねぇ 手を放しちゃだめですよぉ」


なんか、どんどん光って来ているのですが本当に大丈夫かなぁ

爆発とか止めてよ 膨らんだりしていないよね。


箱が発する光りがさすがに眩しく直視できなくなり、左手を顔の前に持って来て少しでも光を避けていたら、急に光が途切れた。


「成功なのですぅ 金色でレア確定なのですぅ」


1人喜んでいるエイシアさん

訳が分からず立ち尽くしている僕とマーサ。


目の前には、金色に輝く箱。よく見ると表面に複雑な模様が浮かんでいる。しかもなんか小さくなった?



エイシアさんに許可を貰って手を離したその箱は、サイズが明らかに小さくなっている。

今の大きさは、1辺が20センチ程度の立方体。

金色で重厚感のある箱、多分材質も金属っぽい。

これも魔法なんだろうか?それとも魔法の道具ってことかな


「綺麗な箱だぁ 宝物でも入ってるのかなぁ」


マーサはすっかり見入っている。

まぁ確かに宝箱みたいにも見えるよね。


「開けてみるのですぅ もう開きますからぁ」


「じゃあ 」


僕はその箱の蓋を持ち上げた、箱の形が変わっただけでなく、仕組みまで変わったようで。単なる木の箱から、本当の宝箱のように片方が蝶番になっており、蓋は上に向かって開けることが出来た。


「 え・・・ 」


「 なんだい これ・・・ 」覗き込んでいたマーサも微妙な顔をしている。


マーサは中に入っていたものに見覚えはないようだ、僕は似たようなものを見たことがあるけどね。

あれってどうみても・・・


「 当たりなのですぅ!!  大当たりですぅ!! ♪♪ 」


エイシアさんは、呆然としている僕や分かっていないマーサとは違ってやたらに嬉しそうだ


『 ねぇミーネ 一体なんなの?』


例によってテンションががっているエイシアさんは置いておきミーネに聞くことにした。


『 ・・・ これが噂の・・・  まさか  でも  ・・・  』


『ミーネ、ミーネってば』


『 ・・・  はっ    すみません 。 伝説に見とれていました 』


ミーネまでおかしくなってる、っていうか伝説?


えーと、この世界では豚の貯金箱が伝説になるの?


『ねぇ ミーネ あれって豚の貯金箱でしょ 僕にはそうとしか見えないのだけど 』


そう、金色の箱を開けると真っ赤なビロードの内貼り、それは宝箱のイメージそのもの。

そしてその中に鎮座していたのは、小さな豚の置物。背中には数センチの切れ込み・・・ 要するに陶器製の貯金箱でしょ良くあるピンクの豚さん貯金箱。

でもマーサは見たことが無いらしいし、この世界では珍しいお宝なのかな。 でも伝説って・・・どういうこと


『ご主人様、さすがでございます。贈りギフト箱を発見するだけでなく、素晴らしいプレゼントを、伝説級のプレゼントを引き出すとは。ミーネはご主人様の支援システムになれて本当に幸福でございます。あぁぁぁっぁ 幸せすぎて怖い、この調子ならば私の夢も・・・ あぁぁ待ち遠しいのです、きっとこのミーネお役にたって見せますぅ。はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』


えーと、ミーネまでさらにおかしくなってる。いったい何が起こってるの。

この豚の貯金箱ってそんなにすごい物なの。


「あ、もしかしたら。貯金箱だけにこの中にお金がたくさん入っているとか。そういうこと?」


「そうなのかい、じゃあ あたい達大金持ちなの?」


マーサがびっくりした顔で問いかけてくる。


「うーん、エイシアさんの様子やミーネもおかしくなってるし。伝説のアイテムみたいなこと言ってるから、凄い大金が入っているのかも」


「へぇぇぇぇ」感心しながらマーサが持ち上げて振ってみたけれど


「何の音もしないね」


お金が入っていればするであろう音がしない事に僕は気が付いた。


「空っぽだよ・・・    あっ」


がっかりしたマーサが、ついうっかり手を滑らせて豚の貯金箱は落下してしまう。


「うわぁ」僕たちの目の前で、伝説のアイテムは音を立てて割れる・・・筈だった

だってどうみても陶器だしね。







「気を付けろよぉ 俺だから大丈夫だけどよー」


「あ、すみません・・・  」




どうも、普通の陶器ではないようです。

少なくとも僕の知っている、陶器で出来た豚の貯金箱は喋りません。


しかも喋り方は男っぽいけど、声はどう聴いても可愛い感じ。

まさかの俺っ娘?落ち着け僕・・・。


あ、でも最新型の貯金箱なら喋るかもしれないか。最近はなんでも喋るしね、玩具とかスマホ自体も会話してくれる時代だしな。


いやいや、しかしですねどんな最新型でも、手から落ちて背中を下に自由落下していた貯金箱が、空中で猫みたいに体をひねって足から着地するわけがない。

さらに、その後でふわふわ浮いてきて目の前で少し怒った顔で喋るわけがない。

そんなこと出来るのって、   あ、エイシアさんは出来たか・・・。


じゃあこの豚の貯金箱さんは精霊? 貯金だけに金の精霊とか?


まさか金ちゃんなのか、でも色は桃色ピンク、金ちゃん 桃ちゃん ・・・(これ以上は自粛)



まぁそんなはずないし。おかしいよね、いくらこの世界でも。


だいたい、金の精霊ってそれじゃ6大精霊族になってしまうしね。






「 ・・・ 」


隣でマーサもびっくりして、浮いている豚さん貯金箱をただ眺めているだけだし。


とりあえず誰なのか聞いてみようか、聞いたら答えてくれそうだしね。

そうしてみよう。


本日もお読みいただき感謝でございます。大変ありがたいことに5000PV超えました、ユニークも1200人越となりまして、本当に嬉しい限りでございます。

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