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これからのこと

こんばんは、本日の投稿です。予想より早く帰宅できましたので助かりました。

『ご主人様、よろしいでしょうか』


物思いにふける僕にミーネが話しかけてきた。


『 ん  あぁ ごめん  何かな 』


ミーネとの脳内会話もだいぶ慣れて来たね。


『今後の事ですが、ご主人様は定住をお考えでしょうか?』


『あぁ そうなんだよね。1人じゃないし、仕事もなんだけど住まいね。でもいきなり聞いてくるってことは何かあるのかな』


まだ付き合いとしては浅いけれど、ミーネが意味も無く聞いてくる内容とは違う気がした。


『はい。仕事はともかくとしてですね、住まいは場所により制約が掛かる可能性があります』


ミーネが教えてくれた現実。


まず僕が目指していてマーサが住んでいた街、トォッカ。

ここは、町の規模もそれなりに大きく、鉱山と国境警備軍の駐留地でもあり仕事は多い。だが治安はあまり良好とはいえず、獣人に対する差別感情も強いのでミーネはお勧めしないとのこと。

まぁ僕もマーサの件があるので、少なくとも定住する所ではないと思っていた。


ただ、マーサの旅支度や身の回りの物を買う必要はあるので、一旦立ち寄る必要はある。


ちなみにトオッカから国境を越えて、隣国ナール王国へ行くことは現在不可能とのこと。

トオッカを含むこの地域はスウェインランド王国という国家に所属しており、西方に位置するナール王国とは国境紛争が継続中で、ここ数年に亘って国境封鎖中。


西方のナール王国は獣人に寛容な国であり、良港を持つ海洋国家としての側面も持つ豊かな国で、貿易も盛んとのこと。国境紛争地域を避けて南下し、山越えでナール王国入りするのが今後の方針のひとつとして上げられる。

ただし、マーサの装備や旅慣れ具合、そして季節が冬に向かっているので山越えはリスクが高い。


現実的には、スウェインランド第三の都市であるフェーンに向かい、そこで冬を越すかフェーンから南西国境を接するクレイファ共和国へ抜けるかである。


クレイファ共和国とスウェインランドは友好関係にあり、国境超えは比較的容易である。

また、クレイファ共和国は獣人に対しての差別感情はごく一般的な程度であり、商工業が盛んなお国柄もあって生活基盤を構築しやすいようだ。


『いずれにしても、冬が来る前に南へ移動したいかな』


『そうですね、マーサ様の旅支度もありますので一旦はトオッカに行かざるを得ませんが、短期間の滞在であれば特に問題も無いかと』


マーサが僕の筆頭嫁になったせいか、ミーネがマーサの名前に様を付けるようになった。ちょっとくすぐったいね、自分の事じゃないのだけれど。


『マーサがトオッカに戻っても大丈夫かな』僕はスラム狩りのことを気にしていたのだけれど


『マーサ様はもはや別人です、片耳の貧しいマーサはどこにもいませんよ。今はご主人様の配偶者であり、健康で可愛い女性のマーサ様です。それに兎族でマーサはごくありふれた名前ですから、その点も問題ありません』


ミーネが言うと実に説得力がある。


『そうだね、マーサの毛並みもとても綺麗になったし、これは電子精霊加護の影響だと思うけど白銀みたいな色になってるよね。』


『おっしゃる通りです、マーサ様の毛色はもはや希少な白銀色といって過言ではないと思います。栄養状態も改善しておりますし、魔力も十分でナノマシンは健在、おそらく今後は別の心配が出てくると考察します』


『別の心配?』


なんだろう、気になることを言いだした。


『マーサ様は、一気に化けると思います。お顔立ちはご主人様のお好みから大きく変化はしないと考えますが、胸や腰回りは多少なりとも豊かになりスタイルは間違いなく向上。毛並みも落ち着きを増して、魅力は格段にUPすると思います』


『なんで心配なの?』胸は大きくならないで欲しいなぁと考えつつ、なにが心配なのか分からない。


『間違いなく、ナンパや誘いが増えます。また一部のウサギ耳愛好家から間違いなく狙われます。マーサ様の毛並みと耳ははっきり言って超一級品になりました』


『まぢですか』


『かなり まぢです』


マーサが可愛くなるのは嬉しいことだけど、心配事が増えそうだ。


そんな心配をしていたら、マーサがもぞもぞと動き出した。


「 ん   ぁぁ  リックぅ  」


「目が覚めたかな お姫様」 まだ寝ぼけている感じのマーサに声をかける


「 ぅ うん 起きた~  」


猫のように手で自分の顔を撫でるマーサ、ウサギなのに猫みたいで可愛い・・・    あれ? あれあれ?


「マーサ、その目・・・」


「え、 なーに」


声を掛けてから気が付いたが、鏡も無いのに自分の顔は見えないよね。

というわけで、再び電子魔法 〈投影〉でスクリーンを鏡として展開。マーサに鏡を覗き込んでもらった。


「え、ええええええ  なんでぇ あたいの目が銀色なの~」


そうなのだ、マーサの右の瞳の色が銀色に変化していた。ちなみに左目は元と同じ明るい茶色の瞳、いわゆるオッドアイになっていたのだ。


『おそらくですが、神様の祝福の影響かと思われます』


『それかぁ・・・』


ミーネには後で相談するとして、混乱しているマーサに色々説明してあげないと。


「マーサ、順に説明するから聞いてね」


「う、 うん    なんかあたいじゃないみたい・・・ りっくぅ   嫌いにならないでね 」


マーサには大丈夫だと伝えて、可愛いしよく似合っていると伝えたら。ニコニコになったので順を追って説明することにした。







「ようするに、あたいはリックとずっと一緒に居ていいんだね。先に死んだり、お婆ちゃんになったりしないんだね。    神様ありがとうございます、この目も神様の贈り物なんだぁリックも似合うって言ってくれたし、なんか嬉しいなぁ」


「そうなのですぅ、だから安心してぇたくさん子供を産んでほしいのですぅ」


また、ややこしい人が出てきた。


「うん、あたい頑張って産むよ~、きっと可愛いよねぇ あ、でもあたいは獣人だから女の子しか産めない・・・ リックは男の子も欲しいよねぇ  ごめんよぉあたい筆頭嫁なのに」


「いいのですぅ、男子は二人目以降の嫁に任せてぇ、マーサさんわぁ可愛い女の子担当なのですぅ」


「いいの? あたいそれでいいのかい」 少し泣きそうな顔でエイシアさんに訴えるマーサ


「もちろんですぅ、マーサさんは大事な大事な筆頭嫁なのですからぁ 特別なのですぅ」


手のひらを返したようなエイシアさんの態度も、全くマーサは気にしていないようで、2人の間には妙な友情すら生まれつつあるのかもしれない。




『ご主人様』


『 ん なーに 』


『マーサ様の希少価値はまた上がりましたね』


オッドアイかぁ・・・ 元々貴重なところに持って来て、兎族では殆ど例がないらしい

ただ、あのおとぎ話のマーサ姫がオッドアイで描かれている事があるらしい。


あぁぁぁっぁ 心配・・・




そんなこんなで、日も暮れて夜にもなってしまい。

明日以降に、行動方針を決めて動き出すことになった。


ぐったり疲れてしまっていたので、マーサと二人抱き合ってそのまま眠ってしまった。


もちろん結界は張ったけどね。


マーサは柔らかくて、温かくて可愛いのが分かりました。


それ以上は何もしてません、まだ・・・





















「ん・・・ 」伸びをしながら起きたのだけど、何か暖かいなぁと思ったら。マーサが眠っていました。


昨日はそのまま眠ってしまったので、腕の中で僕のシャツを握りしめて眠る可愛い女の子がそばにいる。


このまま可愛い寝顔を見ていたいのだけど、どうしようかな。


「・・・ ぅ   ん  あ、 リックだぁ~  」


寝ぼけているのか、そのまましがみついて、すりすりしてくるマーサ。


しばらくそのまま過ごしてから、2人して起きました。







『先が色々思いやられますね・・・  リアじゅ・・・』







『ミーネ 何か言ったぁ?』


『イイエ  何も言っておりませんよ』


なんか、聞こえた気がしたのだけど。 まぁいいか何も聞こえなかった キコエナイ。





「さて、とりあえずはトオッカの町を目指そう」


街の名前を聞いて、明らかに戸惑うマーサ


「戻るのかい・・・あそこに」


「大丈夫だよ、僕が付いているし心配いらない。それにマーサの旅支度とか保存食料とか必要なものを買うだけ」


安心させるために、目的をきちんと説明する。マーサにしてみれば碌な思い出の無い町だろうからね。


「うん、リックと一緒なら平気」


けなげに答えてくれるマーサ。


「それにね、マーサが心配してるような事態にはならないと思う」


「え?」


「あの町の人の知っているマーサと、今のマーサを結びつけて考える人はいないよ」


「・・・あ、そうか   あたいの耳 」


マーサは愛おしそうに右の耳を撫でている。元通りになった自慢の耳を。


「違う心配の方が大きいのだけどねぇ」


「違う・・・心配?」


そう、マーサは明らかに可愛い、耳も元通り毛並みも素晴らしい。そしてオッドアイというおまけつき、幸いにしてスタイルはこれ以上急に変化しないだろうけれど、以前よりはずっと女の子らしくなった。加護と電子魔法による効能だ。

かといって、四六時中一緒というわけにも、トイレだってあるしお風呂とか・・・まぁ後者は一緒でもいいか。


『それにつきましては、お役にたてると思います』


『ミーネが?   魔法を使うってこと?』


『論より証拠です、試してみましょう』



ミーネがそう告げると




『え・・・  こうでいいのかい』 マーサの声が頭の中に響く


『マーサ?  ええええ?』


『ほんとだ、リックの声が頭に直接聞こえてるよ』


混乱する僕にミーネが説明をしてくれたのは、ミーネの能力向上により電子精霊加護持ち同士であれば念話により距離が離れていても話せるようになったとのこと。しかも僕を媒介としてミーネも話せるのだという。


『さっきは驚いたよ、急にミーネさんが頭の中に話しかけてきてさぁ』


『説明をするより、実演した方が分かり易いと思いまして思いまして。驚かせてしまい申し訳ございません。』


ミーネは恐縮しているみたいだけれど、これでマーサとはぐれたりしても連絡は取れる。


『ありがとう、ミーネ。これで少し安心だ』


『いえ、この程度ではありません。 ご主人様、<MAP>の展開をお願いします』


ミーネの指示に従って僕は目の前に<MAP>を展開し、マーサにも見える位置に調整する。


『これって、リックの魔法なのかい。  何か映ってるけど???』


「これは、地図の魔法だよ」 僕はマーサの目の前で、実演しながら口に出して説明してあげた。


「じゃあこれが、今の位置で・・・ この青い光とオレンジ色の光はもしかして」


『はい、青い光はご主人様を表しています。オレンジ色はマーサ様です、このように個体識別が可能になりましたのでマーサ様を発見しやすくなりました。また範囲も拡大し1kmまでは探知可能となりました』


今までより範囲が拡大して、しかもマーサはすぐわかる。万が一の時には役に立ちそうだ。



僕がミーネの能力向上に喜んでいると、さらにミーネがこんなことを言って来た


『マーサ様ですが、おそらく魔法の行使が可能になっているはずです』


「「   えええ  魔法 使えるの  」」


『はい』


ミーネが当然のように答えてくるが、この世界の常識として獣人は魔法の行使が出来ない魔法的な生き物であるはず。

歴史上でも、魔法の行使が出来た獣人が居たという記録は無いことが僕の中にも情報として存在している。

もしマーサに魔法が使えるとしたら この世界の常識がひっくり返ることになる。


「あ、あたい。魔法って えええ」


混乱しているマーサ、それはそうだよねマーサにとって魔法は身近な存在でも自分が使うなんてことは考えたことすらないだろうし。


『マーサ様落ち着いてください』


「ミーネ、それって本当なのかい」


マーサ程ではないにしろ驚いている僕も、声に出しながらミーネに聞き返していた。


『少なくともマーサ様には、ご自身の魔力とご主人様から供給されている魔力があります。その上で神様から祝福をいただいたことをお忘れですか』


神様の祝福については、さっきマーサにも説明したけど、まさか魔法まで???。

でも、うちの父親は異世界の人間で神様から特別に加護をいただいて神聖魔法が使えるんだった。


じゃあ可能性は高いってことなのか


マーサの魔法・・・



お読みいただきありがとうございます。やっと移動の相談です、二人はこれから何処へ向かうのでしょうか。

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