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新魔法ではじめましょう

こんばんは、本日も投稿させていただきます。気が付けば21話目になりました、早いものです。

「マーサ、僕を信じてほしい」


マーサの細い体を抱き寄せ、決意と共に告げる


「え、・・・    うん 信じる」


戸惑いつつも体の力を抜いて返事をしてくれた、この娘のためにできる事をしよう。

可能性はある、あとは僕自身の能力だ。


「少しの間、このままでいてね。あと、僕が何か言うまで口を開かないでいてね」


「 うん 」


無茶なのは承知の上だ

でも何も聞かずに信じてくれているマーサのために

この娘の本当の笑顔が見たいから。


『ご主人様、よろしいのですね』


『ああ、実行は早い方が良いのだよね』


僕自身の魔法熟練度が急速に上がっていることに伴って、ミーネの能力も向上している。

そのミーネが僕の魔力を大量消費しながら確認した結果、やはりマーサの病状は相当進行している可能性が高いこと。また、スラム狩りと、その後の狼からの逃亡の際に相当な負担が身体に掛かりそのリスクはさらに高くなった。そしてあの時、剣歯虎に無謀にも立ち向かった行為はもはや限界に近かったたのだ。


彼女は自らの命を削って、僕を助けようとしてくれた。


ならば今度は僕が削る番だ。躊躇している時間はない。


『出来る限りの支援はいたしますが、ご主人様がどこまでご自身の魔力を引き出せるのか、全てはそこにかかっております』


『 わかった 』


僕に今できる事それは魔法を、そう電子魔法を行使すること

現実としてそれしかできないのだ


高位の魔法使いを探し出す時間は無いし、探し出せたとしても協力を願えるかのかも不明

魔法薬を手に入れるすべはないし、支払うべき対価も代償もないのだ。

そもそもどちらも伝説級の代物であり、簡単に見つかったら誰も苦労していないのだ。

ならば、それに代わる魔法を作り出せばいい。


4大精霊魔法には歴史の積み重ねと、研鑽されてきた魔法技術がある。

それに対して新参者の電子魔法には歴史も無い、使い手もまだたった一人だけ


しかし、4大精霊魔法と大きく違う点が一つだけある。


それは魔法の無い異世界で、魔法と同じ結果をもたらす科学という名の積み重ね

長きに亘り蓄積された科学と、それがもたらした結果


火は制御され様々に活用され、水は高圧をかけられた結果として金属をも切断する、夏の暑さを冷えた風で和らげるシステム、そして鉄よりはるかに強く軽い金属を精錬する技術。

それらは全て科学のもたらす恩恵


創造せよ、人の想像力こそが科学を生み出した。


イメージせよ電子の魔法、新しき魔法


代償は我が魔力、この身の魔力が枯れ果てようと望むのはただ一つ


『マーサがあるべき姿を取り戻すこと』


僕はキーワードを口にする


「  ナノマシン  」


SF映画で見た分子レベルの人工物、未来に存在する技術

体内に送り込まれ、病巣を治療し欠損部位を回復する。

マーサの体を根本から治療出来る将来の科学。


僕の生きてきた現代世界でも、まだ未確立の医学


だけど、魔力と科学を融合して不可能を可能にしてみせる。

そこに可能性がある、完成形をイメージせよ。



魔法の行使と同時に、体に力が入らなくなる、体勢を維持しているのがやっとの状態。

何かが体から吸い取られていて、それが継続している感じがする。


『魔力消費が異常です 魔法の中断を  お願いですご主人様』


ミーネがいつもの冷静さを欠いている。


『ダメだ!!   間違っても強制中断とかするなよ 』


僕はミーネに強く釘を刺す

この程度のことで諦めるわけにはいかない。

魔力が枯渇しようとも必ず成功させる。


マーサを、必ず・・・


意識が遠くなり始めるけれど、必死でこらえる 未だだ まだ

もっと魔力を注ぎ込め


『ミーネ  何があっても魔法を維持!! これは命令だ  頼む・・・お願いだから 魔力を・・・ 』










「 ・・・ っく   リック」


誰かが遠くで、呼んでいる? 声が聞こえる・・・


体が重い・・・ 動けない


やはり声が聞こえる   マーサの声 泣き声


泣いている? また、泣かせちゃった

泣かないで 泣かないで


「 マーサ・・・」


おぼろげな視界の中には

目の前には真っ赤に泣きはらしたウサギさん

綺麗な長い耳、白くて綺麗な毛並みの並んだ耳・・・ 可愛いなぁ


「リックぅぅーーー 」


目を覚ました僕にしがみついてくるマーサ 


「・・・ また泣かしちゃったね、ごめんよ」


子供のように泣きながら僕の胸に顔を埋めている可愛い女の子。





そして、僕は一番大事なことを思い出した。


「   あ    魔法は!!  魔法はうまくいったの? 」


ひたすら泣き続けるマーサに代わって、頭の中に声が響いてくる


『 ご安心ください、基本的に成功です。マーサさんの心臓は正常です、しかも古傷も全て再生されています。 実に素晴らしい結果です  』


『そっか・・・良かった     そうかそれで、耳が綺麗なんだね・・・』


そう、マーサが失ったはずの右の耳が全く違和感なく目の前で揺れている。




マーサの耳を、その美しい景色を眺めている僕の視界に飛び込んできたのは


「りっく さーーーーん。 すごいですぅ 素晴らしいですぅ はぁぁぁぁぁぁぁん」


エイシアさんが叫びながら、空中で起用に身悶えているの姿。

一体 どういうこと?  スカートが危険な状態だし・・・


「え、エイシアさん? ちょっと エイシアさんってば 」


どうも僕の声は全く聞こえていないようでして。


「もぉぉぉぉぉぉ  なんてぇ すごぉぉい!  わたくしぃぃ もうもぅーーーー 喜びにぃ 打ち震えているのでぇすぅぅぅぅぅぅ   あぁぁぁぁぁぁ もう このまま いってぇぇぇしまいそうですぅ はぁぁぁぁ  」


あえてどこに行くのか逝くのかも特に聞きたくないけれど、エイシアさんの発作は一向に治まる気配も無く。 かと言って、このままというわけにも・・・ いかないよねぇ


『 無駄です 』


ミーネが厳しいです。

まぁこの状況は、明らかに大混乱だよねぇ


まだ動けない僕と、泣き続けるマーサ

ハイテンションで変になっているエイシアさん


唯一冷静なのだけど、システム上の制約で僕としか話せないミーネ。


『 今の状態のエイシアには何を言っても無駄です。魔力酔いなどという状態に精霊がなるはずなどありえませんが、おそらくそれに近い状態にあります。全く嘆かわしい限りです。推測ですが、あまりに凄まじい電子魔法の威力と大量の魔力に当てられた上に、電子魔法の未来にも自己陶酔していますので、自分を取りもどすまでは放置でよろしいかと。』


『 そういうことね、じゃあ仕方ない 』


正直なところ僕も体に殆ど力が入らないところへ持ってきて、完全にマーサにホールドされた状態で泣かれているので動くに動けないのだ。 諦めだね、どうしようもない。


『ところで、ミーネ』


『はい、なんでしょうか』


『基本的に成功ってどういうこと』


そこだけは、どうしても引っ掛かっていたことを聞いてみる


『 はい、マーサさんの先天的な病は、ご主人様が電子魔法で生成したナノマシンで治癒しております。また、後天的な欠損部位や身体異常もナノマシンが修復しました。現状で彼女は完全に健康体です』


『良かった、じゃあマーサはもう大丈夫ってことだね』


魔法は予想以上にうまくいったようだ。マーサもこれで普通に生きられるし、耳のコンプレックスからもきっと解放される。


『ただ、一つだけ問題があります』


ミーネの声が真剣さを増す


『そのナノマシンですが、現在もマーサさんの体内でご主人様の魔力を消費しながら活動を継続しています。実は基本的に成功と言ったのはそこに理由があるからなのです』



ミーネから聞かされたその事実は、マーサにきちんと伝えなければいけない

僕には伝える義務がある、彼女の未来を変えてしまったのだし。


あと、エイシアさんに話すことも出来てしまった。もっとも話すだけでは済まないことになりそうだし、こうなると早く酔いがさめてくれないと困るな。


しかし目の前には、ハイテンションで何かを歌いながら浮かんで移動している電子精霊の姿・・・


まずはマーサを落ち着かせてから、話をするしかないかな。


僕は胸の中でまだ泣いている小さくて可愛い女の子の背中を、ゆっくりと撫でて落ち着くのを待つことにした。




本日も拙文をお読みいただきましてありがとうございます。昨日も評価をいただけました、本当にありがとうございます。またブックマークも少しづつ増えてまいりました、心より感謝申し上げます。

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