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レヒート商会

こんばんは 今日もよろしくお願いいたします

レヒート商会との会談は山を越えて、雑談に入り始めたころ


メイドさんがお茶のおかわりとケーキをサービスワゴンに乗せてあらわれた


「 どうぞ お召し上がりください 」


レヒート商会の二人の前には、小さめのケーキが二種類乗った皿が出され

紅茶も濃く熱いものを用意した


「 これは 随分と美しいケーキですわね 」


この世界にもケーキやお菓子はあるのだけれど、正直なところ美味しいとは思えない

日本のスイーツに慣れた舌にとって、この世界の甘いものは洗練されていないのだ


お出ししたのは、サイズこそ小さいものの 日本ではごく普通のイチゴショートとモンブラン


レヒート商会の二人は、なるべく表情に出さないようにしているようだが

目が釘付けだ、やはり女性は甘いものに目がないようで


「 味のほうも繊細で美味しいですよ どうぞ どうぞ 」


僕が再度勧めると、我慢しきれない様でまだ紹介されていない若いお供の女性が、ネリィさんをジッと見つめている

まぁ食べたいのだろうねぇ


「 せっかくなのでいただきましょう、 エミィもいただきなさい 」


「 はい!! おかぁ・・・ 商会長!! 」


エミィさんと呼ばれた若い女性、お供の人だと思っていたけれど どうやら娘さんか 

きっと修行中なんだろうね、外では商会長と呼ぶように言われているのか


などと二人の関係に思いをめぐらせていると


「 ・・・  はぅぅ ん んんん ・・・ 」


イチゴのショートケーキを口に含んだまま 固まっているエミィさん

あれれ 口に合わなかったかな?


「 ・・・ こ こ これは・・・ 」


モンブランを口に運んだネリィさんも固まっているよ

親子だねぇ・・・


などと暢気なことを考えている場合ではなくて・・・


「 お口に合いませんでしたか すぐ下げましょう 」


僕の言葉を聞いたとたん二人がほぼ同時に硬直から解けて


「「 とんでもないです!!! 」


慌てて皿をそれぞれ手元に引き寄せる


「 あ あの? 」


あまりの反応に僕は戸惑ってしまうと


「 し し 失礼いたしました 」


ネリィさんはいち早く我に帰ったようで、非礼をわび始める


「 いえ お気に召していただけのでしょうか 」


「「 はい!! 」」


親子ならではの見事なタイミングで返事が返ってきた


どうやら、日本のケーキは相当気に入っていただけたようで・・・





メイドさんがお代わりのケーキをワゴンに乗せてあらわれました

どうやらエリンが気を利かせて手配してくれたようで


ちょっとしたケーキバイキングの開始です


「 こちらは ラフランスのタルト  これがシブーストでございます フィユタージュにリンゴとクレーム・シブーストを重ねキャラメリゼしたケーキとなります 」


メイドさんが説明する、色鮮やかなケーキが机の上に並べられる

その種類や香りに僕は圧倒されかけるけれど


レヒート商会のお二人の目は輝きを増すばかり


「 どうぞ お好きなものをお召し上がりください よろしければ持ち帰りの手配もしておきますから 」










女性にとって甘いものは別腹というのは、異世界でも同様のようで・・・



「 あの 本当に持ち帰らせていただいてもよろしいのでしょうか・・・ 」


小さめのケーキとはいえネリィさんが10個以上 エミィさんに至っては20個は超えたのではないだろうか


「 えぇ  レヒート商会の従業員の皆様にも是非召し上がっていただきたいので 」


おそらく全ての種類のケーキを数個ずつ すでに準備できているはず

うちのメイドさんは優秀だからね


「 正直申し上げて、商売柄訪問先で出されるものには慣れておりますし、失礼に当たらない程度に口にさせていただいておりましたが・・・ 公爵殿下の出してくださいましたケーキには理性が飛んでしまいました お恥ずかしいですが持ち帰らせていただけると聞いただけで舞い上がってしまいます 」


レヒート商会のネリィ会頭と言えば冷静沈着な商売人という評判で 事前調査では相当に手ごわい相手だとの調査結果だったのだが

どうやら文字通りの甘い誘惑には勝てなかったようだ


「 あ あ あのぉ 」


ほとんど口を開いてこなっかた エミィさんが僕の目を見つめて声をあげた


「 お気に召していただけましたか 」


「 はい!! 本当にご馳走様でございます    あ あの 申し遅れました 私はレヒート商会の従業員で エミィと申します。 まだ修行中の身ですが 公爵殿下とは ど どうか 今後ともお付き合いをお願いいい い いたしまする ・・・ 」


あぁなんかてんぱってしまって 最後のほう変な感じで 赤くなって俯いてしまったよ


「 はい レヒート商会とは良いお付き合いをさせていただきたいものです 今後もよろしくお願いします 」


僕が返事を返すと、小さく頷いてさらに赤くなるエミィさん


年齢的には10代後半くらいかな、この世界ではもう成人している年齢だ

修行中って言っていたけれど、娘さんみたいだしレヒート商会の跡継ぎなのかな?


「 公爵殿下 」


なんとなくエミィさんを微笑ましく眺めていたら、ネリィさんの真剣な声が響いた。


甘いものはお好きですか?

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