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涙色々

こんばんは 本日のお話です

「 わ 私は  気が付いたらこの立場にいました ・・・  巫女から神官になり 大神官へ    ディー様に認められている、信徒の皆さんにも信頼していただけている そう思っていました 」


ファネは自らを省みるように話を続ける


「 でも、 本当は気付いていたのです・・・ この立場は飾り物の様なもの。 自らの努力で手に入れたものでは無く、ディー様の御威光により与えられたものに過ぎない・・・ 」


ファネの言葉に、口を挟もうとするデニエを手で制して僕は先を続けるよう促す。


「 言いたいことを全て出し切るんだよ ファネ 」


「 ・・・   はい。    飾り物の立場であることに気が付いていましたけれど、気付かないふりをしていたのです、 この立場を失うことが怖かった 信徒の皆さんの信頼を裏切ることに恐怖すら憶えていたのです 」


基本的に優れた才能を持つ存在であるし、十分に能力は持っているのだと思う。

でも、基本的な経験が彼女たちには足りな過ぎるのだ。


多くの人と共に一つの事をやり遂げるチームワーク、遊びの中から学ぶこと、立場や年齢の違う人との接し方、そして家族と過ごす時間。

そういった事を経験せずに、特別な地位を与えられ人々からは尊敬や崇拝の目で見られる存在に就かされた彼女たち。


多少の違いはあるにしても、レマやエメリも同じ思いを抱いているようで

ファネの言葉に小さく頷きながら話を聞いている。


虚像とまでは言わないにしても

彼女たちの足場は、脆く不安定だった。


そこに必死で立っている、その不安定さを見せない様に

虚勢はいつしかそれ自体が当然となり

美しいが脆いガラスの足場の上で、優雅にただ優雅に踊り続けることしか出来なかったのだろう。


虚像故に、弱音もはけず 他人を頼ることも出来ない

ましてや誰かを心から愛することなど許されるはずもない

そう思い込んでいた。



「 で、 でも リック様にお会いして   最初はディー様の夫となる方として、ディー様と同一視しておりましたが  その優しさ、私達とは違う思いやりの心 尊敬に値する才能・・・ 全てが眩しく、輝いて見えたのです 」


どう考えても、褒めすぎというか過大評価もいいところだけど

口を挟まずに聞かないとね       でも くすぐった過ぎ~  そんな凄い人じゃないよ



「 そうです リック様は 私達とは違う 本当の強さと優しさを持った素晴しい殿方です 」


いやーーーー レマまで   やめてぇ   美化しすぎですよ 


「 そう 私達はリック様をお慕いする気持ちを抑えることが出来ませんでした。 人を想うこと、恋焦がれること その感情とは 今までは物語に書かれていることに過ぎませんでしたが、我が身が恋の炎に焦がされて初めてその意味を知ったのです 」


レマの言葉を引き継ぐように、僕への思いを語ってくれる。





「 でも、 私達はリック様に選ばれるために 互いに争い自分のことしか考えませんでした・・・ 私は二人を貶めました、自らをより良く見せようとするあまりです・・・ 」


エメリが泣きそうな顔で告白してくる


「 それは 私も同じだ・・・ どうすればリック様に振向いてもらえるか 二人より優位に立つためにはどうすればいいか そればかり考えた 」


レマもまるで懺悔するかのように、自らの罪を語る





沈黙が場を支配し 許しを求めるように僕を見つめる ファネ レマ エメリ・・・





「 あのね     誰も悪いことなんかしていないよ 」


「 しかし 」 「 どうか 」 「 ・・・ 」


3人それぞれの反応を制して 僕は話を続ける


「 人を好きになることは悪いことでもなんでもないし、自分を見て欲しいのも当然のことだと思うよ。 それにね、みんなは今まで知らなかっただけ 普通は他人同士が集まれば、そこに摩擦も出来るし合う人合わない人も出てくる。 今まで生きてきた世界の外に出れば そこには生々しい人同士の接触があるんだよ。 みんなが僕を好きになってくれたことは本当に嬉しい、だからこそ もし良ければ僕と一緒に外の世界に踏み出そうよ 」




「「「 あぅぅぅ ・・・・ 」」」



僕の言葉に泣きじゃくる3人


でも、今度はうれし涙ですって デニエも泣きながら教えてくれた。


3人娘の話は予定より長くなってしまいました

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