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ボディジャック (乗っ取り)

こんばんは 今日のお話は、昨日の続きです。 

3人はほぼ同時に立ち上がったものの、妙な緊張感が漂いしばし沈黙が続いた。

そんな中最初に口火を切ったのは、ファネだった。


「 立場を笠に着るわけではありませんが、ここは最上位者である私が嫁ぐのが順当ですわ それが世の習いというもの 」


他の二人に向かって宣言するファネ 

異論は許しませんとばかりのオーラを強烈に出している。


相変わらず身体の自由も、自分の意思で口を開くことも出来ないけれど

状況は確認できている。 そう今の状態は、まるでテレビの前に居るようだ。

見ることも聞くこともできるけれど、テレビの向こうの世界には手も足も出せない。


(鑑賞は出来るけれど、干渉は出来ない・・・  あぁぁ これじゃ トォーニ様だぁ・・・ )


などと僕が1人でバカなことを考えていると、ファネの言葉に反論が始まった。


「 これが大地教内の問題であれば、大神官の言葉として尊重もしますが  当然、違います!! リック様の嫁に相応しいのは、この私 レマです!! 」


「 ・・・ な な なにを言いますか 」


堂々と反旗を翻すレマの態度に動揺を隠せないファネ。

それも当然である、大地教の神官としてのレマがここまでハッキリと抵抗したことは無いのである。

同じ立場でもエメリは場合によって、ファネに意見をすることもあったのだが

従順であったレマに拒否されたことが動揺の幅を大きくしている。


「 今まで私は、ファネ様の後ろにディー様を見て その言葉に従って参りました。 しかし今のファネ様の言葉にはディー様のご意思はなく、ただの女としての欲です。 ならば私も1人の女としてお答えするのが筋、リック様の嫁になるべき定めは私にこそあるのです!! 」


自らの優位を突き崩され、衝撃を受けるファネ。

そのファネに追い討ちを掛けるがごとく別の声が響く。


「 ファネ様 」


「 な なにかしら エメリ? 」


「 そう 対等であるべきですね     ファネ!! 」


しっかりと、そしてハッキリと産み出された言葉。 エメリの口から言い直されて発せられた固有名詞に敬称は付いていなかった。


「 な、 なん なんなんですの!! 」


「 貴女が言ったのですよ!! 最上位者である? 世の習い? 大地教の最上位者はディー様であり、貴女ではありません。 世の習いと言うのならば、リック様の奥様方は全員貴族ですか? 神格を持っているのですか? それこそ不遜というものです!! 」


エメリの言葉がファネに突き刺さる。


「 ・・・ ぁぁぁぁっぁぁ ・・・ ゎ ゎ 私は 」


「 レマの言うとおり、私も1人の女性としてリック様に全てをささげる覚悟です。 大地教での立場など、ファネに熨斗をつけて進呈いたしますからお受け取りください!! 」


( だめだってぇ 三人が喧嘩するところなんてみたくないよ!! 駄目だってばさぁ )


もどかしい、目の前で起こっているはずの出来事。 望んでいない状況 しかも引き起こしたのは僕? 僕なのか?

それとも、これは僕の願望なのか 夢なのか


混乱しているのだけれど、嫌でも状況は入ってくる

目を閉じようとしても閉じることも出来ず、自らの意思を表明することも間々ならない


「 おや おや ファネはギブアップかな? レマとエメリかぁ さぁてどっちが僕のお嫁さんになってくれるんだい 」


その場に響く声は、慣れ親しんだ僕の声・・・のはず

まるで囃し立てるように、3人を煽る声


これが僕の本当の望みなのか? 異世界に来て急にモテ期がやってきた反動なのだろうか・・・









「 い い 嫌です いやいやいや 嫌ですーーーー!!  絶対に 絶対に 嫌!!! 諦めるのなんて 絶対に嫌ーーーーーーーーーーーーーー !!!!! 」


響き渡る大きな声


泣いているようなその叫びは、打ちひしがれていたファネの叫び




「 な なんですの 大声を出せば良いというものではないのですよ 」


聞いたこともないほど感情を剥き出しにしたファネの叫びに驚きを隠せないレマ


「 浅ましいですね、負け犬の遠吠えかしら 」


吹っ切れたように辛辣な口調になっているのはエメリ




「 いいよ いいよ ファネ!! そうその足掻く姿勢、今までのファネは優等生で全てを問題なく楽々と超えてきた。 泥にまみれることもなく、綺麗な道だけを歩いてきた。 足掻け足掻け、泥水を啜り生傷を負いながら、必死で掴まなければいけない物もある 」


( え・・・ ? なにこれ? 僕の中に昔のファネさんのイメージ??? いったいどういうことだ )




「 リック様? 何をおっしゃっていますの? 」


「 あぁ レマ    ほら君の悪い癖だ。  想定外のことが起きると動けなくなってしまう 」


僕(?)の声に完全にフリーズしているレマ


そう彼女は凛々しく完璧を求める性質。 しかし 想定外のことが起きると対応が出来なくなる事がある。

過去にも幾度かそれが失敗を産んでいる。


( なんで 僕の中にそんな知識が流れ込んでくる??? )

目の前居に広がるのは、僕が生まれる前の話・・・ レマさんの失敗で危険に晒された信者さん達の姿 

とっさのエメリの機転で危機を脱し、幸い信者さんたちは軽い怪我程度で済んだものの・・・ 


「 え、 え あぁぁぁ でも でも 私は・・・ 」


「 ほら また動けない 」


立ちすくんでしまうレマ





「 そう 貴女の悪い癖ね レマ!! あの時だって そうだったでしょ 」


「 ぁ・・・ ぁ ぁぁぁ わ わたしが・・・ 」


エメリの言葉を聞いて、手で顔を覆いしゃがみ込んでしまう


「 そう、 でもそれを乗り越えなければ無理だよ トラウマを乗り越えられないような嫁は要らないなぁ 」






いったい何が起こっているのか


僕には理解できないけれど そこに何らかの意図がありそうなことだけは分かってきた


誰かが意図を持って僕の身体を乗っ取っているのだ



この展開が もう少し続くようです、お付き合いください。

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