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入植者の驚き

こんばんは 今日は入植者視点のお話です。

「 はぁぁ ぶったまげたなぁ 」


「 あぁ まったくだなぁ 」


入植者たちの多くが私物や、わずかな家財をそれぞれの住まいが有った場所に取りに帰って

三々五々戻ってきた


そして、その誰もが目を疑う光景が、開拓地には広がっていた










全ての入植者が荷物を取りに行ったわけではない

中にはそのまま居ついた者もおり、リックとデニエの共同作業による堀や塀の設置

集会所や商店が入る予定の建物の建設

さらには、勢いで作った中央広場と噴水に、開拓地の西側に広がる別の荒れ地を整地して作り上げた牧場の予定地と家畜小屋その他の施設

もちろん牧場予定地の外周にも塀と堀まで作成




居残り組の目の前で繰り広げられる、もはや冗談にしか思えないような光景

その全てを彼らは目撃することになる。




「 塀はどうしますかリック? 牧場なのでそこまで高くなくてもいいかしら? 」


「 まぁ 開拓地と同じくらいで問題ないでしょ 堀もあるしね 」


まるで店先で夕飯の食材を決めるような軽さで、魔法を行使してあっという間に土の壁が数百メートルの長さで完成する。


そして出来栄えを確認することも無く、次の場所へ歩いてゆく2人。




その光景を眺めていた居残り組の1人が


恐る恐る出来たばかりの壁に近づいてみたところ。


表面は石のような肌触りで、叩いてみたところ感触は正に石そのもの。

ところがどこを見ても、ヒビひとつなく傷すらない。


試みに足元の石を拾い上げて壁に叩きつけてみても傷もつかず、終いには叩きつけた石が割れた。


気が付けば開拓地の周りには見える限り壁が出来上がっている。


しかも良く見ると壁には何か所か階段が付いているようだ


「 なぁ この階段ってよぉ 」


呆然と見てた他の連中に声を掛けたが

首を振るばかり


「 まぁ上がってみるか 」


壁が丈夫なのは先ほどの石を叩きつけた時の感触で分かっているので

昇ってみることにしたようだ。


階段があれば上がってみたくなる、それは人情というものだ。


唖然としている他の居残り組を尻目に、階段を上る男。


ガッチリとした体格の壮年男性、彼は入植者への説明の後にリックに最初に声を掛けてきた人物。


元々は傭兵だったが、根無し草の様なその生活に飽き飽きして傭兵稼業の引退を考えていたところ

大地教の神職より入植者にならないかとの誘いを受けたのだ。


傭兵には珍しく大地教を信仰してたこの男にとって、新たな土地を耕し大地の恵みに感謝出来る開拓は願っても無い話であった。

入植者に選ばれた日には、傭兵稼業から足を洗う決定をして

傭兵ギルドからも脱退し、入植説明会までには身辺整理も完了させてそのまま居つくことにしたようだ。


ちなみに居残り組は全て独り身の男性ばかり、全部で5人。


元傭兵という事もあり、彼が自然と中心的存在になりつつある。

彼の名前はドニ、人種だ。



「 ドニさーーん!! 上はどんな感じなんだい 」


大人が一人通れるほどの階段を上がっていたドニに向かって、居残り組が声を掛ける 


「 あぁ これは凄いぞ 上がってくると良い 見た方が早い 」


塀の上からドニの声が聞こえてくる

どうやら塀の上に乗れるらしい、まぁ階段がある時点でそうなのだろうけれどね。


下に居る居残り組の4人がおっかなびっくり階段を上がってゆく。


たどりついた塀の上は、通路になっていることに驚きの声があがる。


「 おおー これは城壁みてぇだぁ すんげぇなぁおい 」


最初に上がった1人が歓声を上げて周囲を見渡していると


「 おーい どかねぇとぉ 後がつっかえてんだからよぉ 」


「 おっと すまねぇすまねぇ 」


階段も通路もそれほどの幅は無いために、1人が立ち止まってしまうと後続の身動きが取れなくなってしまうのだ。


「 おおーー 本当だぁ でもよぉ 俺っちは城壁なんて見上げたことしかねぇからわかんねぇけんどこんな感じなのかい 」


「 あぁ おらの親父はお城の兵隊だったからよぉ 親父に連れられて城壁に上がったことあんだよぉ こんな感じで塀の上に通路があってよぉ 攻められても高いところから攻撃できるんだとよぉ 」


もちろんここは、城壁ほどの高さも通路幅もないが開拓地の塀としては過剰ともいえる存在だ。


「 でもよぉ ここんとこに穴が開いてるでぇ 失敗か? 」


通路の外周側はさらに大人の背丈ほどの壁になっており、所々に穴が開いている。


「 あぁ これはよぉ 矢狭間アロースリットだぁ ここから矢を打ったり外の様子を伺うんだよ。 そしたら危なくねぇだろぉ 」


「 その通りだ この開拓地はちょっとした砦だな 」


いつの間にか姿を現したドニが説明に付け加えてきた。


「 街の外だから少し心配してたんでけんども そんなら安心だぁ 」


話を聞いていた他の男たちがみな一様に頷いている。


「 しかも ほれ 」


ドニが指さした先には 塀の上にさらに構造物が乗っている場所があった


「 あれは? 」


「 あぁ さっき見て来たんだけんど 見張り台だな あそこまで上がれば相当遠くまで見えんぞ 」


見張り台は何か所か作られており、地面からの高さは15m以上ありそうだ。


「 しっかしよぉ とんでもねぇ領主様だな 」




「 あぁ ・・・ まったくだ 」









その後ドニを筆頭とした居残り組は、戻って来たものの開拓地の入り口で戸惑っている入植者たちに説明することに追われるのだった。


そして、入植者たちの取りまとめ役に自然となっていくドニの姿があった。



そしてまた オッサン筆頭に男性しか出てこない話になってなってしまった orz

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