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入植者

今日のお話です よろしくお願いいたします。

「 でもよぉ なんか話がうますぎる気がすんですが・・・ 」


「 あぁ 俺もそう思う 開拓地だけでなくて、家も道具もなんて そんなの出来すぎだろ 」


テンションが上がっている人々に対して、懐疑的な何人かが声を上げる。


そう、今は開拓地の前で、開拓希望者に対する説明会をしている最中なのだ。



「 もちろん、税金は納めていただきます。 税率は3割です 」


「 そういうことかよ どうも話がうますぎると思ったぜ 7割も持っていかれたら生活なんて出来るわけない・・・ 」


気の短そうな男が怒り出す。 


「 いえ、 よく聞いてください 税として物納してもらうのが3割です。 みなさんの取り分は7割です、しかも5年間は納税免除です 」


「 ・・・ はぁ???  税が 3割・・・ 」


一気にざわめきが広がっていく


そう、この世界では半分は税として持っていかれるのが当然

そして当たり前だが家や道具は自分もちである


今回の開拓地が条件はとんでもなく好条件なのだ、おもわず何か裏があるのではと疑いたくなるほどに


「 ・・・ 本当  なのか・・・ 」


まだ信じられないといった表情で聞いてくる、先ほどの男性


はい、ここにいらっしゃる大地教の神官様による保証もあります。


一生懸命に説明しているユーンが、後ろを振り返ると大地教の神官エメリが大きく頷き、よく通る声で話し始める。


「 いま ユーン様が説明されたことに関しては、全ての責任と保証を大地教会の名の下にお約束いたします みなさんはどうかこの開拓地で私どもにお力をお貸しください、これだけの土地を耕し収穫を得るには人手が必要なのです 」


人々の間にエメリの話がしみ込んでゆく


「 ・・・ だ 大地教の神官様が そうおっしゃるのなら 」


「 今までも 大地教はおら達のために一生懸命に色んなことをしてくれただ 」


「 神官様はうちの子供が病気の時にもお薬をくださったよ 」


あちらこちらで頷きあう人々



「 お おいら ここで働きてぇ !! 」


若い男性が立ち上がって大きく手を上げた


「 はい ではこちらへ 」


いつの間にか用意されていた、いくつものテーブル。

各テーブルにはメイドさんが一人ずつ待機している


その中の一つのテーブルのメイドさんが微笑みながら手招きして男性に説明を始めた。


「 お、おらっちも 」


「 は、はい うちらも希望します 」


「 こ、子供がいてもええんかい 」


次々に声を上げ始める人々


「 はい順番に受付しますからね 大丈夫ですよ  希望はそれぞれの担当者に伝えていただければ結構です。 お子さんと一緒も大歓迎ですよ 」


「「 おおーーー 」」


全部で5箇所の受付にはそれぞれ人が並んでいる、最低でも50家族程度の希望者がいるようだ。




「 はい、 お子さんは何人ですか? 」


「 3人いるです 」


「 では 2階建ての一軒家を用意しますね 」


「「 へ??? 2階建てぇぇぇぇ 」」


説明を受けていた男性と子供を抱いた奥さんであろう女性が揃って声を上げた。


「 はい、1階部分は土間と農機具置き場 台所と厠になっています。 寝室や居間は2階ですね 後ほど案内いたしますから 」


「 へ ・・・ へぇ 」


「 あと 公衆浴場が開拓地の中心部にあります 無料で使えますのでご利用くださいね 」


「 こ 、 こうっすう ・・・ なんだぁそれ ? 」


貴族や大商人は自宅に温浴施設がある場合も有るが、一般庶民は水浴びか体を拭く程度が一般的なのだ。

公衆浴場と言われてもピンと来る人は少ない。


もちろん大きな街には公衆浴場はあるのだけれど、有料であり利用者は限られているのだ。


「 はい 大きな温浴の設備です 温かいお湯で体を清めてさっぱり出来ますよ 」


「 ・・・ そ それが 無料・・・ 」


「 はい 開拓地の皆さんのための施設ですから 」




説明を聞いて絶句する人 何度も聞き返す夫婦者 夢じゃないのかと子供に頭を叩かせる父親




「 あ、 あの 父ちゃんがが病気で・・・ でも僕がしっかり働くので 」


どうみてもまだ10歳くらいの子供が母親と一緒に訴えている


着ている物もボロボロで一緒に居る母親も酷く痩せて顔色が悪い


「 エメリ様 !! 」


受付をしていたメイドさんが声を上げた


どうやらこの母子は噂を聞きつけてやってきた人で信者ではないようだ。


「 お願いします 妹もろくに食べてないんだ 神様でも何でも信じるからさぁ   ・・・ お願いだよぉ 」


神官を呼ばれてしまったことで、追い返されると思ったのか 必死で地に伏して懇願する男の子。


「 大丈夫 どうぞ起きてくださいな 」


頭を地面に擦り付けるようにしている、男の子の前に膝をついて優しく手をとって起きるように促すエメリ


「 で、でも ・・・ 」


「 病気のお父様と妹さんを迎えに行かせましょう、案内できるかしら? 」


正に慈母の微笑で語りかけるエメリ


弱者救済は大地教の教理である。


エメリの指示により、信者数名が子供の案内で父親と妹を迎えに行くことなり、明らかに顔色の悪い母親は救護院で治療を受けることになった。



こうして


第一期となる入植者が決定した。


子供の居る家族世帯26

夫婦のみ世帯 9

単身者 12


合わせて47世帯が入植を決めたのだった。


気がつけば新年度になっていました。 しかし平常運転でございます。

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