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刃物の使い方

こんばんは本日のお話です

「 というわけでね 」


僕はロイルさんと話し合ってきたことや、今後の懸念をデニエ、セオ、ノエルと相談中。


「 あい、まだ精度も低い試作段階の超魔鋼でも、すでに相当な高評価ですから 」


そう、今まで色々と作ってきたのは、あくまでも試作。耐久性テストや製造方法を少しずつ変えて同じものを作っての比較テストなのだ。


その過程で出来た製品をテスターとして大地教の信者さんたちに提供し使用してもらっているのだ。


なので農機具や蹄鉄包丁に大工道具といったものがほとんど。


あとは、実験的に市場に流してみた試作品があるが、これはあっという間に完売し

こちらの想定以上の騒ぎになってしまった。


この点は反省材料・・・


まぁ製作が可能なのはロイルさんだけだし、そのロイルさんも材料は僕が供給するしかないので

そもそも大量生産とかは不可能なのだけれど


「 試作品の包丁がフルプレートを貫いてしまい、しかも刃こぼれ一つしていないと大評判になっているらしいですわよ あなた 」


ノエルが困ったような顔で伝えてくる。


「 え、それはいくらなんでも・・・ 」


「 まぁそうよねぇ 」


デニエがさもありなんといった感じで相槌を入れてくる。


「 あい、主様の超魔鋼は魔力との相性が素晴らしいですから。 おそらくは火魔法の使い手で、ある程度の剣技の持ち主であれば言われているようなことなど容易ですわね 」


「 まぢですか・・・ 」


セオがさらっと言ったけれど、まだ騒乱の耐えないこの世界では剣の腕前は傭兵や兵士にとっては必須技量だし

火魔法は比較的使い手も多いはず


超魔鋼は強力すぎる武器になってしまう・・・


「 ・・・ やっちゃったな 」


一気に落ち込んでしまう僕・・・






「 大丈夫ですわ リック様 」


ふわりと僕を抱きしめて告げてくるデニエ


「 ・・・ え ? 」


「 試作で市場に流れた超魔鋼の包丁は5本です。 そのうち3本はすでに回収済ですわ 残りの2本は回収出来なくともそこまで大きな問題にはなりません 」


「 う うん 」


「 他の製品はそもそも刃物ではありませんので問題ないのですよ 」


デニエの言葉にひとまずほっとしたけれど


「 しかし 打ち直したり 刃を付けることはできるのではないかしら 」


ノエルがすかさず指摘してくる。


「 その心配は無用ですわ 超魔鋼の打ち直しは事実上不可能ですわ まぁ出来るのはロイルさんだけ 」


そうだった


超魔鋼を鍛えるためには


専用の炉 魔工炉と特殊なコークスが必要だし


さらに専用の金床と槌 しかもこれらはデニエでなければ用意できないのだった。




「 とりあえずこれ以上世間に流さなければそれで平気か・・・ 」


僕としては、きちんとした管理下で農家の皆さんに使ってもらい

売るのではなく貸与という形をとろうと考えていたのだけれど・・・


「 考えが甘かった・・・ とりあえず刃物以外かぁ 」


しかし農作業の効率化を考えたときに、切れ味の良い鎌や、鍬、鋤。 道具としての鋸、鉈、斧、包丁、解体用のナイフ、鉋。 どれも刃物なんだよなぁ。

考え方を根本から改めないといけない


「 その点は解決できますわ 」


また悩み始めた僕に、あっさりと女神様が解決を示してくれた。








「 この道具とかも貸していただけるんですかい 」


「 ええ 全て使って良いのです 」


ここは郊外の広大な元荒地


王都からは歩いて半日ほどなのだが、近くに川もなく荒れ放題の土地だった

街道からも大きく離れており、利用価値も無く長年にわたって放置されてきた。


この付近の土地を僕は貴族院から租借して、開拓の許可も得た。


「 他にもっとマシな土地もございますぞ 」


貴族院議長はそう言ってくれたんだけれども、利用価値のある土地は当然のように持ち主が居る

余所者に土地を取られれば軋轢を生むのは間違いがない


幸いにしてこの荒地は数年前に失脚した貴族の元領地の一部で、使い道が無いため空白地帯として貴族院の直轄となっていたのだ。


「 ここを開拓して、納税できる地にして見せますよ 」


僕は貴族院議長にそう話して、租借の権利を得た。


租借期間は僕が大使として在任している期間とし特に定めは無い。


ちなみに納税は5年間免除してもらった。




荒地の開拓・・・


普通に大規模土木事業だよね 


でも僕にはデニエがついているのです。


伊達に土精霊次席ではないのですよ


荒地は一夜にして見事な農地に変わり、泉と小川が現れる


そして開拓民としてやってきたのは、大地教信者の人々。

農家の次男や三男坊、小作人や解放奴隷、獣人。


彼らの住む家もありますし、農機具も貸し出されます。


もちろん超魔鋼製で丈夫で長持ち、手入れもいらない。


「 こんなすごい道具を使えるんですか 」


「 家だけでなく、こったら鍬も鋤もええんか 」


「 うひゃー なんだよぉこの鎌ぁ すっぱすっぱ切れんぞぉ 」



そして開拓地の農業が始まる



刃物は便利ですけど、凶器にもなってしまいます。

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