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荷造り御無用

こんばんは 本日のお話しです

「 お話は終わりましたか? 」


工房を色々と確認してもらった後に、警備のゴーレムの説明が一段落ついた頃に、タイミングを見計らったような声がした。


「 あぁ もうこっち来たんだ。 ありがとう 全部? 」


「 へい 全部一度で済んでおりやす 」


「 さすがだねぇ  でもこんなに早いと思わなかったらまだ説明してないや 少し待っててね 」


「 へい わかりやした 」


僕の問いかけに答えてくれていたのは、作業服を着た男性。


日本なら違和感のない恰好だろうけど、こっちでは見かけない服装・・・


「 あの どちら様ですか??? 」


まぁロイルさんにしてみればそうなるよねぇ


「 うん 引っ越しの人たちだよ 」


「 ??? 誰か引っ越しをされるのですか 」


僕としてもこんなに仕事が早いとは思ってもいなかったので、まぁまだ説明できていなかったのだけれども


「 うん ロイルさんとこの引っ越しだよ 」


「 え うちのですか・・・ そこまでしていただくわけには 」


さっきの家賃の話もそうだし、警備ゴーレムに至っては呆然として暫く意識が却って来なかったぐらいだしなぁ。

もうお腹いっぱいかも


「 あぁ ごめん・・・ さっきお母上に確認したら喜んでくれてね もう頼んでしまったんだよね 引っ越し 」


そうなのだ 新居にすっかりテンション上げ上げになっていたロイルさんの母上であるジーナさんに


「 もう引っ越せますよ 良ければ引っ越し職人も手配しますよ 」と言ったら


それはそれは満面の笑みで 「 お願いできるんですか なんて素敵なんでしょう 」 そうおっしゃるもんだからねぇ




「 母さん・・・  」


がっくりと膝をついてしまう ロイルさん。 天然な母親と生真面目な息子、まぁいいコンビだね。



「 とりあえず 僕からのお祝いという事で 」


無理やりな気がするけれど、とにかく納得してもらわないと話が進まないので

多少強引に進めてしまおう。



「 じゃあせめて 荷造りをしますから 」


そう言いながら、慌てて旧工房へ向かおうとするロイルさんなんだけども・・・




「 あ その棚は2階にお願いしますねぇ それは無くなった主人の作なのぉ 良く出来てるでしょう 」


当然の様に引っ越し荷物の指示を出すお母上のジーナさん。 


気のせいか若々しくなっているよなぁ


「 ・・・  え 」


ロイルさん本日何度目の絶句なのでしょうか


眼前に広がるのは運び込まれる荷物たち、どうみても旧工房に有った物ばかりです。


はい、済みません すでに荷物はこちらに到着済なのです。


ポルの管轄下にある配送センターの特殊配達員の皆さん


その実力はとんでもないのです。


空間収納と特殊梱包技術により、割れ物だって精密機械だって安全かつ迅速に配送する彼らにかかれば

引っ越しなんてあっという間なのです。


唖然、呆然とするロイルさんを尻目に、嬉しそうなジーナさんといつの間にか現れたファーネの指示により

あっというまに旧工房から新工房への転居完了。

荷造りから荷解きまでの完全お任せパック!! まるで 某引っ越しセンターのように素晴らしい仕事でした。




「 ありがとう 本当にありがとうリック様 」


とても嬉しそうにお礼を言ってくれるジーナさん。


「 喜んで貰えて良かったです 」


すぐ隣でニコニコ笑っているのは、もはや嫁状態になっている土精霊のファーネさんだ。


女性同士はすっかりと仲良しのようで、2人してご機嫌だ。



「 ・・・ あのぉ リック様 この御恩は必ず返しますので 」


生真面目すぎるロイルさんは、さっきから何度も頭を下げてくれている。


「 もう大丈夫ですよ これは先行投資です。ロイルさんの技術が必要なんですよ僕には そのためにはその仕事に適した環境も必要なのです。依頼主としてロイルさんに最高の仕事をしていただく為の環境整備と提供は必要なんです 」


僕はロイルさんの目を見てしっかりと語りかける。


「 ・・・   はい!! わかりました 僕の技術を全て注ぎ込んでリック様に納得いただける物を作り上げます 」


しっかりと僕の手を握って答えてくれる彼の言葉には力がこもっていた。



鍛冶ですから、鉄は熱いうちに打てという事なのです。

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