遅れてきた初恋
こんばんは 本日のお話です
とりあえずまだレムが病み上がりなのと、一度に色々な話をしても混乱するだけなので
ある程度意思確認が出来たところで、固い話は終了
「 さて、お茶にしようか 」
「 では、用意させます 」
直ぐに動いてくれるエリン ほんと良いメイドさんだよね。
ほどなくして、サービスワゴンと共にメイドさん達が入ってくる
子供たちの前には、甘いミルクティと苺ショートケーキにモンブランが置かれた。
「「「「 ??? 」」」」
子供たちにとっては見たことが無い食べ物だろう
きょとんとして見つめているが、その甘い香りに気が付くとものすごい勢いで見つめはじめる
「 お茶にはお好みで、蜂蜜かこの砂糖を入れてお召し上がりください。 ケーキはお代わりもありますので 」
エリンが大人組にもコーヒーや緑茶など好みの飲み物とケーキを配膳した後に、子供たちに説明している。
「 さぁ食べようか 」
僕の一言を待っていたように子供たちがケーキに取り掛かる、フォークの使い方はメイドさん達が教えてあるし
あらかじめケーキの保護フィルムは外してある。
「「「「 んーーーーーーーー 」」」」
レックとフェンは最初に苺ショートを、リータとレムはモンブランを口に運んでいた
そして全員が声にならない声を出して固まった後に、一心不乱に食べていた
「 フワフワで甘くて、 はぁぁぁっぁぁ 」
「 ふぇぇぇぇぇ あ あたい こんな美味しいもの・・・ 」
「 フェンーーー この 黄色いのぉ びっくりするよぉ 蕩けるよぉ 」
「 レムぅぅぅ こっちの苺のヤツぅ もうねぇほわぁぁぁっぁぁぁってなるのーーー 」
やはり世界が違っても女子には甘い物だよね、スィーツは世界を救ってくれる気がする。
「 あぁぁぁっぁぁっぁぁ 蕩けますぅぅ やはり私は このティラミスが 」
ちゃっかりとご相伴に預かっているのは、大神官のファネさん
この人、ケーキ大好きなんだよね。
最近はティラミスなのかぁ、少し前まではタルトにはまっていた気がしたのだけれど・・・
まぁいいけど
時々本当に大地教のトップなのかなぁと思う時がある
「 まぁ 美人だしいいか 」
綺麗な女性が嬉しそうに甘い物を食べているのは絵になるので、つい呟いていたようで。
「 はぅ ぁぁぁ リック様が・・・ わ わたくしを ・・・ 美人と・・・ 」
どうやら聞こえていたようで
真っ赤になって悶えている美人がひとり・・・
実はデニエから言われているんだよねぇ
ファネを側室にしてもらえないだろうかって・・・
あと、エメリさんとレマさんもだそうな
3人ともはっきりってタイプはそれぞれだけど、美人で頭も良いし縁談なんていくらでもあるでしょと言ったのだけど
デニエ曰く
「 3人とも神官として大地教を指導する立場で、恋とか全く無縁なのよ。 もちろん美人だし、貴族とかからも求婚は数多なあるのだけれど いままで全く興味すら示してこなかったのよ 」
ひたすら神に仕えるために生きてきた彼女たち、おそらくは恋をする余裕なんてなかったんだろうね。
「 でも、それじゃあ 僕にだって興味ないでしょ。 そりゃあデニエの夫という立場はあるけどさぁ 恋愛感情とは関係ないよね 」
「 ええ、 もちろん彼女たちにその気もないのに勝手に事を進めたりしないわ。 でも側室でもいいって言い出したのはあの子達なの 」
この話を聞いた時に思ったのは、デニエの配偶者である僕を神であるデニエと同一視している可能性。
そして自らの仕える神の子供を産むという使命感とかなのかなと・・・
でも違ったらしい
「 ファネもエメリも、もちろんレマもなんだけれど。 リックを見て初めて異性と言う物の存在を強く感じたようなのね、あの子達はこれまで自らが最も神に近い存在だと信じて生きてきたの 」
要するに3人の神官さんは純粋培養の娘さん達だったのだ
3人共に敬虔な信者である両親のもとで其々産まれ、幼いころから大地教の巫女として育てられてきた。
やがて素質は開花し、デニエの加護も受けて神官への道を歩んでいく3人。
しかし彼女たち自身が特別すぎた・・・
ファネの曾祖母はエルフ
もちろんこの世界で混血は珍しい事では無い、しかも曾祖母ともなればエルフの長命種としての影響は限りなく少ないはずなのだ
一般的には・・・
ところがごく稀に先祖返りの様に特徴が強く出ることがある
そうファネの年齢は136歳
彼女の外見年齢は10代後半で固定されているようだ。
エメリも同じくエルフの血が強く出た先祖返りの性質を持つ
年齢は87才
そしてレマは実年齢62才
先祖にはエルフはいない、彼女の場合は所謂 取り替え子であるようだ。
敬虔な信者であるレマの両親から相談を受けたファネが巫女として受け入れたのだ。
このような彼女たちにとって
普通の恋などは無縁の存在だった・・・らしい
デニエ(ディー)に仕える巫女として、神官として一生を捧げる それが彼女たちの願い
ところが僕が現れてしまった
そしてデニエが顕現し結婚するという事態
僕には分からないけれど
それぞれ彼女たちが僕を好きなった理由はあるらしい
そして 彼女たちも恋を知ってしまった
理由って人それぞれですよね