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お姉ちゃん

こんばんは 今日のお話です

大神官様があまりにも泣き過ぎで、子供達もびっくりしているので

とりあえず落ち着くまで別室待機してもらうことに


「 突然でごめんね レック、リータ、レム、フェン 」


僕は子供たちをゆっくりと見渡しながら声を掛ける


「 うん 」 


狐族のレックが小さく頷きながら返事をしてくれた


「 もし良かったら ここに住まないかい 僕は君たちをスラムに返したくないんだ。 出来ればここに住んで欲しい 」


「 で、 でもぉ  俺ら・・・ 」


子供たちは戸惑っているのだろう、それはそうだよね

突然見ず知らずの大人にここに住んでいいと言われたって、正直なところ何を言っているんだって感じだろうし

さっきのレックの反応を見ても、子供を性的対象と見ている金持ちの道楽とでも思っているかもしれない。


「 もちろん無理にとは言わないし、例えば帰るところがあるのなら送ってあげる。 でももし行くところが無いのなら、ここに住んでくれていい 例えば働いてくれてもいいんだよ 」


この世界では家の手伝いや、仕事を覚えるために、また家計の助けになるために子供が働いているのは比較的見る光景だ。

児童福祉なんて考え方は当然のように無いし、義務教育なんてものは影も形も無い。

裕福な商人や貴族の子弟が通う学校はあるようだけど、所詮特権階級のための物だ。


「 おれ、 じゃやなくて あたい達働かせてくれるのかい ? 」


この子達は過酷な環境で必死に生きてきた、代償を求める条件の方が現実として受け入れられるのだろう。


「 まずは全員元気になったら、少しずつ仕事を覚えてもらって働いてもらおうかな 」


「 あ、あたい達に出来る仕事があるのかい ? みんなで一緒に居ていいのかい 」


「 もちろんだよ、4人が元気なったら みんなで一緒に働いてもらうから。 それでどうかな? ここに住んでくれるかい 」


子供たちはお互いの顔を見ながら、頷きあっている。

少しは信じてもらえたのかな。


「 あたい達は・・・ 帰るとこなんてない ・・・ 」


レックがぽつりぽつりと話し出したのは、子供たちの生い立ち


気が付けばスラムに居たということ


周りの大人から何となく聞いた話では、親が捨てて行ったらしい。


望まれなかった子供なのか、親自身が生きるのに必死で育てる余裕がなかったのか

理由は様々だろう


それでも最近までは子供たちの面倒を見てくれている年寄りがいたらしい

ところが、その老人が病気で亡くなってしまい


年齢が上の子供たちは自分たちが生きるために何処かへ去ってゆき


残された子供の中で最年長のレックが他の三人と一緒に過ごしていたらしい。



ゴミや残飯をあさり、小さな盗みを繰り返し何とか2か月ほど過ごしたある日、レムが熱を出して寝込んでしまう


レックは町の外で薬草を探しに行って怪我をしてしまい、リータは幼いころの虐待で足が不自由だ。

そのためにフェンが大人の真似をして当り屋をして金を手にしようとした


もう子供たちは本当にギリギリの所にいたようだ。





「 あたいのお腹には赤ちゃんがいるんだよ 」


子供たちの話を聞いていたマーサが子供たちに向かって話し始めた。


「 赤ちゃん・・・ 」


虎族の子供、リータが赤ちゃんという言葉に反応する。


「 そう あたいもさぁ あんたたちと同じスラムの出なんだ。この街じゃないけどね 」


「 え ・・・ 」


「 今は そこのリック あたいの素敵な旦那様に助けてもらって嫁にもしてもらった、そして赤ちゃんも授かれたんだ。」


子供たちはマーサと僕を交互に見つめ、話をしっかりと聞いてくれている。


「 うん マーサは僕の大事な大事なお嫁さんだ 」


「 あたいは、 あんた達にうちの子になって欲しい そして生まれてくる子供のお姉ちゃんになって欲しいんだよ 」


マーサはしっかりと子供たちの目を見ながら話してくれた。


「 あ あたいがお姉ちゃん・・・ 」


「 ぅ・・・ ぅぇ ・・・ 」


ベットの中でレムが泣き始める


「 レムぅ 大丈夫かい どこか痛いのかい? 」


泣き出したレムを心配して、リータが顔を覗き込んだ。


「 ぅぅ あぐぅ ち、ちがうのぉ ・・・ だってぇ だって・・・ 」





気が付けば子供たちがみんな泣いていた




そして子供たちは、うちの子になることに決まった。



どうやら家族が増えたようです

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