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涙 涙 涙

こんばんは 今日のお話でございます

「 もちろん 賛成です あなたの思うようにしてくださいな 」


「 あい、 ぜひそうしましょう 賑やかになりますね 」


お嫁さん達は賛成してくれているようだ


「 リックぅ ~ 」


マーサは半泣きで抱き着いてくる、やっぱり相当感情移入していたようだね。



もちろん こちらの勝手な思いや都合だけで決めるわけにはいかないので

後で子供たちの意思も確認してみよう。


「 う、 う ・・・うわーん 」


どこからか・・・ 声?


「 主様ぁ 外から泣いてる声がしますわぁ 」


セオが僕に告げる


「 確認してまいります 」


そう言い残してさっといなくなるエリン

まさにはやきこと風の如くを地で行くメイドさん



そして直ぐに泣き声の原因を突き止めて戻ってきた


「 おかえりエリン  原因は・・・ 突き止めたみたいだね 」


「 はい、ご主人様 」


物凄ーーーく クールに答えてくれるんだけれども

尻尾がね・・・ 狼族の尻尾ってふさふさなんだよね

それが高速で振られているの・・・


偉いでしょ褒めて褒めてってワンコが尻尾を振る状態のように


「 ありがとうエリン  偉いね 」


褒めた後で、試しに頭を撫でてみたのだけれど・・・

嫌がったら直ぐにやめるつもりで・・・



結論からいうと、全然嫌がりませんでした

しかも尻尾がさらに高速で振られるというオマケつきで。



「 で、 つい聞いてしまったと そういうわけですね 」


「 はう ぅぅ すびばぜん~  でも ぉぉぉ づい がんどうじてぇ 」


よく分からないけれど、聞いてしまったら感動して泣いてしまったという事らしい


あ、部屋の外で聞いていたのは


大地教の面々


大神官のファネさんと神官コンビのエメリさんとレマさん

3人とも涙でぐしゃぐしゃです。


自由に出入りしていいと言ってあったし、実際によく来てるので聞いていたことは咎めるつもりもないし

子供たちの事では相談に乗ってもらおうと思っていたのでまぁ丁度いいと言えば良いのかな。








色々と賑やかに朝食を食べ終えた後に、デニエとマーサ、それにユーンと大神官のファネさんも伴って子供たちの所へ行ってみた。


子供達に用意された客室のドアをノックすると


「 どうぞ ご主人様 」


即座にドアが開いて、メイドさんがドアを開けてくれる

なんで僕だと分かったのは、きっとメイドの嗜みって奴なんだろうね

もう聞かないことにした

この世界のメイドさんには秘密がいっぱいだ


「 ありがとう レニー 」


にっこりと微笑んでお辞儀をしてくれたのは、鹿獣人のメイドでレニー。

子供達が来た時に真っ先に世話を申し出てくれたのだ、とても子供好きらしい。


「 みんなとても良い子ですわ 」


部屋の中にはベッドから起き上がろうとしている子が一人と、ベットの前で整列している子供たちが3人。


「 あ、 まだ病み上がりだし起き上がらなくていいからね 」


一生懸命ベットから出ようとする子は確かレムという名前

長い耳が特徴的な兎族だろう。


「  え ・・・ でも ・・・ 」


「 大丈夫  えーとレックちゃんだよね まだレムちゃんは寝かせてあげて 」


子供たちの中で一番背の高い狐族の子に声を掛けると、うなずいてベットに横たわるよう促してくれた。


「 あのぉ 」


おずおずと声を掛けてきたのは、虎族と思わしき子供

確か名前は・・・ 


「 何かな えーと リータちゃんだっけ 」


「 は、 はいっ!! 」


僕が名前を覚えていたことに驚いたのだろうか 返事が上ずっている


「 名前合ってるよね 」


「 はい 大丈夫です 」


しっかりと答えてくれた、名前を間違えたりしたら失礼だよね 名前って大事だし


「 あ、ごめんね それで何かな 」


驚かさない様に、その場にしゃがんで目線を合わせるようにしてからゆっくりと聞いてみた。


「 あ、 あのぉ なんで こんなに優しくしてくれるんですか あ、あたし達・・・ 何にも持ってません 」


あぁ・・ この子たちは最初に出会った時のマーサと一緒だ

世間から見捨てられて、それでも必死で生きてきて


なんで 食べ物をくれるの? なんで温かい部屋に居ていいの? なんで なんで


「 なぁ お、俺・・・ じゃない あたいが一番年上なんだよ こう見えてももう大人の証もあるからさぁ あたいで我慢しておくれよぉ フェンもレムもリータもまだ子供なんだよ お願いだからさぁ 」


狐族のレックは僕の側に来ると必死で訴えてくる


貧困とは残酷なものだ、年端もいかない子供たちにも否が応でも現実を押し付けてくる

狐族のフェンは自らを売り渡すことで、他の3人の免責を求めているのだ

彼女の言う大人の証とは、おそらく月の物のことだろう。

成長が早い獣人ならば不思議ではないけれど、栄養不足で発育不全の子供が必死で仲間を守ろうとする姿に僕は何も言えないでいた・・・


慌てる他の子供たちを手で制して、必死で僕に訴えてくる狐族の少女


その子をマーサが抱きしめた。


「 そんなこと考えなくていい  あんた達はうちの子になるんだよぉ 何も心配いらないから 」


泣きながら抱きしめるマーサ


「 ぞうでずよぉ あなた達はぁ なにもじんばいじなぐでぇ・・・ ぅ ぅ うばぁぁぁっぁぁ 」


またもや大泣きを始める大神官様・・・ 


この人も大概涙もろいね。


幸せの形って一様ではないですよね

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