社交界
こんばんは 連休ですけど平常運転です
大筋で合意に至ったわけだし、実務者協議の日程も決めた
ニコニコ笑って握手もした
もう終わりだと思うよね
帰れると思ってもおかしくないよね・・・
甘かった
貴族とか偉い人達の公式な会合とか、外交の場に何故奥さんや子供たちを伴ってゆくのか
まぁ・・・ うちの場合はね
奥さん達( セオ・ノエル・ユーン )が貴族の相手や交渉ごとに慣れているからというのがあるので例外なんだけど
一般的には、社交の場 パーティがあるからなんだよね
正副議長と握手をした後、すぐにニコニコしながら
「 さぁ こちらですぞ 」
そう嬉しそうに話す2人に案内されたのは、大広間
メイドさんが開けてくれた大きな扉の向こうに広がる、煌びやかな席
「 皆さん お待ちかねの エルフ女王国名誉公爵リック=ノルブレド=ジ=エレ殿下と奥様方がお見えですぞ 」
議長さんの声が大広間に響き、一斉に人々の視線が集まってくる。
「 お待ちしておりましたぞ 」
「 おい!! 殿下のご到着だ 拍手でお迎えしよう 」
誰かの声から始まった拍手 えーと何でしょうか この扱いは・・・ そんな重要人物だったっけ僕・・・
呆然としていたら
なんか真ん中に連れていかれたかと思うと 一段高いところで紹介されて
よくわからにうちに 挨拶するはめになった
「『 最後に 本日が両国の友好にとって新たな一歩を築いた日であり、 それはここにおられるクレイファ共和国を支える皆さんが、私とその家族を迎え入れてくれたことから始まったのです。 心から感謝申し上げます 』」
頭の中に響いているノエルの念話をなぞるように挨拶を締めくくると
会場は再び拍手につつまれた。
挨拶をしてくれと言われたときは冷や汗ものだったけれど、念話とノエルに感謝だね。
「 お見事でしたわ 主様 」
「 あなた お疲れ様です 」
「 旦那様 素敵でした ニャ 」
お嫁さん達が三人三様で声を掛けて労ってくれる、ほんと慣れないことはするもんじゃないね。
「 ご主人様 どうぞ 」
僕の専属になってくれている 狼族のエリンが飲み物を用意してくれていた。
「 ありがとう エリン 」
エリンがそっと差し出してくれた飲み物は、慣れないことをして喉が渇いている僕にとって実に魅力的に見えた
銀色のお盆の上で、良く冷えているオレンジ色の飲み物
さすがは貴族院主催のパーティだね この世界ではまだまだ貴重な氷が入っている飲み物だ。
魔法で創り出した氷かな。
そう思いながら、一気に飲み干す
人前で挨拶したこと、さらには緊張もあってのどがカラカラだったのだ
「 ぷ はぁ ・・・ え これって 」
喉を通る感じ・・・ お酒???
「 はい 冷やした果実酒のようです 毒見はしてありますので 問題はございません 」
エリンはそう言ってくれるけれど・・・ あ なんか 熱くなってきた
僕・・・ お酒なんて 飲んだこと・・・ でも 美味しいかも
「 さぁ これを 」
隣にいたノエルが、別のグラスを渡してくる。
『 飲まずに 持っていてくださいませ すでに顔が赤いですよ あなた 』
ノエルが渡してくれたのは、酒精が入っていない飲み物だった。 ホント気が利くよねぇ うちの奥様はありがたいことです
それと、エリンにはノエルがさりげなく教えてくれていたようだ
僕がお酒に慣れていないからということを。
ちなみに この世界では成人(15歳程度)すれば普通にお酒を飲んでいるそうな。
またこういった席では 成人前でも酒精の弱い物は飲むことも多いらしい。
色々衝撃だよね。
今日来ているのは正副議長の関係者とか、騎士団の偉い人 それと御用商人もいるようだ。
だって、次から次へと紹介されたけれど とてもではないけれど覚えきれない
とりあえず相手の話に頷いて、ニコニコしているのが精いっぱいだった
しかも 一巡すると 今度はその人達の家族を紹介される
気のせいか やたら娘さんが多い気がするのだけれど・・・
『 主様に見初められようとしているのですわ 婚姻外交の前哨戦でしょうか 』
セオの念話に棘があります・・・
そのセオやノエル そしてユーンの周りには奥様方だろうか
多くの女性が群がっているようだけれど・・・
「 ノエル様 ヒレッタ公爵(副議長)夫人からお伺いしたのですけど とても素晴らしい髪になる石鹸をお持ちとか 」
「 セオ様のお肌はとても瑞々しいですわね 羨ましい 」
「 そのとても良い香りは 噂の香水かしら ユーン様 」
うちの奥さんたちは質問攻めにあっているようだ
異世界でも女性が美を求めるのは必然なのだろうね
どうやら事前に贈っておいた 品々が効果を現わしてくれているようだし、これから色々と忙しくなりそうだ。
華やかな席って色々と気を使いますよね