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女性の戦い

こんばんは 本日のお話になります

10日ほど前に、貴族院からの招待状が届いた。


クレイファ共和国貴族院からの正式な物だ。

正副議長の署名と封蝋がその証拠。



もちろん正式な招待であることだし、お受けする旨の使者もこちらから出してある。


ここしばらくは、以前のような上から目線の使者や書状は見事に途絶えたのだけれど

変わって、贈り物ややたら腰の低い使者になった。


「 公爵夫人より大変に素晴らしい髪になる薬をお持ちと伺いました。ぜひぜひ私共の商会で扱わせていただきたく、これはほんの気持ちでございます 」


「 先だって公爵様より、この世の物とは思えぬ筆記具と真っ白い紙を拝見しまして・・・ ええ これは間違いなく売れます 私共にお任せいただければ、 はい 間違いなく他所よりも高く買わせていただきます 」


「 どうか我が主のご招待をお受けください、 当家は貴族院の最古参構成家の一つでありますので必ずや公爵様のお役に立てるものと主も申しております 」


こんな調子の使者や書状の数々。

そしてご機嫌伺いと称する贈り物の山。


珍しい果物や、高価な食材、果てはうちの奥さんたちの肖像画までくる始末・・・


食べ物は大地教の信者さんとかに配ってもらい、工芸品や美術品は無駄に広い家に飾ってある。

お嫁さん達の肖像画は、意外と悪くないしみんな喜んでいたので一番広い応接室に並べて飾ったら、部屋が華やかになったのでヨシ!!



しかし女性のネットワークって凄まじいね

まぁ特に上流階級の貴婦人方だから余計なのかもしれないけれど・・・


正副議長家で奥様方に贈った、ヘアケア用品や、化粧品、香水はあっという間に大評判

たまたまなんだけれど、贈った2日後に貴族院議長であるギース=デユフェット公爵の第一夫人主催の晩餐会が有ったらしいのだけれど


そこで招待客が見て感じたのは


正副議長夫人とその娘さん達のサラサラで艶々の髪と素晴らしく良く乗った化粧に爽やかで嫌みの無い香り。


明らかに以前とは違う髪と肌


「 公爵夫人様・・・ いつもにも増して素晴らしくお美しいのですが、何か新たな魔法ですか? 」


「 あら、 気がつかれましたか これはね ・・・ 」



「 まぁ なんてサラサラで艶やかな御髪・・・ いったいどのようなお手入れを 」


「 そうでしょう 触ってくださいまし 」



「 あぁ レベッカ様 貴女の美しさをさらに引き立てるような 甘い香り まるで瑞々しい果物のような 」


「 そうでしょう これは父上の元へやってきた あのエルフ女王国公爵殿の贈り物よ 」




晩餐会の主役はいつも通り正副議長夫人とその娘たちだったけれど、話題は専ら彼女たちの髪をサラサラにして艶やかにした秘密の薬品と

肌を白く美しくするという最新の化粧品、そして素晴らしい香水の数々


そしてそれをもたらしたと言う、エルフ女王国公爵の話でもちきりだった。


当然のことながら、参加したご婦人方は帰宅するなりご亭主や父親に訴えるのだった


「 副議長夫人は素晴らしい化粧品をエルフ女王国から贈られたそうですわ あなた!! 何としてもそれを手に入れてくださいませ 」


「 お父様!! 副議長家のレベッカ様に彼を取られてしまいます。  ええそうですわ 今までは私の方が若いですし美しいと言ってくれていたのですけれど・・・   違うのです。例のエルフ女王国公爵様より入手したという化粧品の力なのです!! ですから御父上の所にもあの品々を贈らせてくださいませ!! このままでは・・・ うわぁぁぁぁん 」


力強く命じる者、泣き崩れる若い娘、頭を抱える当主たち・・・


悲喜交々の余は更けて、翌日からの贈り物攻勢や馬鹿丁寧な使者の到来に繋がるわけです。







「 とりあえずは予定通り、貴族院へ行って色々と話をまとめて来てからだね 」


「 あい それで良いと思いますわ 」


今後の予定について、奥さん達と打ち合わせ


「 でもよぉ リックぅ 貴族ってさぁ何か面倒なんだろう 」


マーサはどうもあまり乗り気ではないようだ、まぁ実感も沸いてないだろうしねぇ


「 別に貴族になるのが目的じゃないし、貴族として振舞えなんて言わないから大丈夫だよ 」


「 でもさぁ あたい筆頭嫁だしぃ もっと言葉づかいから治さないといけないんだろう・・・ ですわよね 」


「 無理する必要ないって、 貴族の対応はセオとノエル、それにユーンで大丈夫 マーサとフェオにはもっと大事な仕事があるんだよ 」


本人がやりたい若しくはやってみたいというのなら貴族相手の対応も吝かではないのだけれど、正直マーサもフェオも乗り気ではない


それにフェオは、レウィの母親役が今一番重要な仕事だ


「 でもさぁ あたいは・・・ 」


「 ところで マーサ 」


実はマーサに無理をさせたくない理由が他にもあるのだ。


まだ 確証は無いのだけれど・・・


「 リック様 」


デニエが僕の側にやってきて耳打ちをしてきた。


「 ・・・ うん  ありがとう 間違いないよね 」


「 はい、 間違いありませんわ 神の太鼓判です 」





うん マーサには大事な仕事が出来ました。



女性は本当に色々と大変ですよね

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