対応策
こんばんは 本日のお話です
ノエルが僕の元へ持って来てくれた書状
その一つは、ノエルの実家から届いた物。
例のノエルの実家のドリナエン公爵家からだ
ノエルの一件で相当な衝撃を受けたドリナエン公爵からは再三にわたって引退したいという申し出があった。
とはいうものの、ノエルにその気は無く引き続き務めるように言い渡してあったのだけれど、ここにきて体調面の不安も出てきているようで
何とか甥に家督を譲りたいとの申し出があったのだ。
なんで家督を譲るのにこちらに伺いを立てる必要があるかというと、一族の筆頭がノエルだからなのだ
しかも神であるトォーニ様のお告げによって布告された形なのでノエルの許しは絶対条件なのだ。
ちなみに甥っ子はまだ10歳なので、後見人としてノエルに立ってほしいとも書いてある。
この内容が書状で届いたのが半月ほど前で、その返事としてこちらが返したのが。
「 ドリナエン公爵は 何だって? 」
貴族特有の美辞麗句に装飾された手紙の内容が面倒なので、ノエルに目を通してもらっている。
「 ぜひお願いしますとのことですわ これで一つクリアです 」
「 うん 良かった 」
ドリナエン公爵からの書状には、家督を相続する甥の後見人をノエルの夫である僕が勤めることを心から歓迎いたしますとあったようだ
これにより、僕に正式に貴族としてのバックが一つ付いたことになる。
外国の貴族とは言え、スウェインランドの有力諸侯であるドリナエン家という存在は権力に弱い者にとっては相当に大きい存在だ。
「 あなた こちらは私が読むという訳には 」
ノエルがもう一通の書状を僕に手渡してくる。
こちらはエルフ女王国からのものだ、別にノエルにしても義母からの物だから見ても問題ないと思うのだけど
真面目だなぁ うちの奥様は。
「 さて うちの実家は何て言って来たかな 」
中には短くこう書いてあった
【 公私混同はいけないけどぉ トォーニ様にも頼まれたから今回だけよぉ 】
うん 軽いね
短い一文の書状の他には、公式の書類が一枚入っていた
そこには
エルフ女王国名誉公爵位を与えると書いてあった。
息子だからって随分簡単に爵位を出してくるなぁと思うよね
理由はとっても簡単、そもそもエルフ女王国の貴族位って基本的に空位で国内的には全く意味のない物。
でも対外的には意味があるものなので、外交上の必要が出た時に使者に立つ人に適当に与えるものと言う認識なのだ。
現エルフ国女王であり、僕の母親であるルーちゃんが認めれば少なくとも母の在位中は爵位はそのままらしい。
まぁ本当に名誉職で、当然のことながら領地も無いし報酬も無い。
だけど
これでノエルの実家と合わせて、二つの有力な背景を作り上げる事には成功した。
まぁ虎の威を借る狐なんて言われるのは承知の上。
借りれる威があるのなら利用しない手はないのだ。
大事な家族を守るためならば、なんでも利用するよ。
「 うん 予想以上の結果だ 」
「 さすが あなたですわ 」
ノエルがとても嬉しそうに答えてくれる。
あとはエルフ女王国からの布告が各国に伝達された頃を見計らって、超魔鋼に関して申し入れをしてきた貴族や大商人やギルドと話し合いだな。
これでやっと土俵に立てる。
「 貴族相手はノエルの力が必要だからよろしくね 」
「 もちろんですわ あなたの役に立てることが私の喜びです 」
ノエルは本当に良いお嫁さんだ。
もちろんマーサを筆頭に僕にはもったいないくらいのお嫁さん達だけれど
嫁入り前と比べて、一番大きく変化したのはノエルかも知れない。
もちろん素晴らしく素敵な変化だけれどもね。
使える物はなんでも使います。