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居留守

こんばんは 本日のお話です

「 ご主人様 本日もお手紙が3通 使者が2名参りました。 使者はご用件をお伺いして、ご主人様が戻り次第お伝えするとしてあります 」


「 ありがとう エリン 」


狼族メイドのエリンは、今日届いた手紙と使者が置いて行った書状を机の上に置くと、僕の後ろに控えてくれた。


エリンは僕の専属になったようで、最初はエリンさんと呼んでいたのだけれど

本人から懇願されて、呼び捨てにしている。

とっても冷静で、クールビューティーな感じなのだけれど、そばにいてくれることが多いので最近は微妙な表情の変化も分かるようになった

さっきみたいにお礼を言うと、少し柔らかい表情になる。

あと、本当に嬉しいと尻尾が揺れるので表情に出なくても分かるのだ。

でもホントに微妙な揺れだから一部の人しかわからないらしい。



「 リックぅ 」


手紙を前にして少し考え事をしていると、部屋にマーサが入ってきた。


「 どうしたのマーサ 」


「 なぁ いつまで出かけられないんだよぉ 」


「 出れないのは僕だけだから、マーサは良いんだよ 」


エリンが対応してくれたように、僕は留守ということになっているのだ。

もちろん居留守なのだけれどねぇ


単なる時間稼ぎなんだけれど、今は時間が必要なのだ。




クレイファ共和国


共和国という名前だけれど、この世界ランドヴェールは地球で言えば中世位の文明レベル

殆どの国が王政や帝政のような君主制を取っている。


クレイファ共和国は君主制ではなく、貴族院による合議制だ。

かつては王政国家だったのだが、権力を私物化した王家と一部貴族に対して地方貴族が反乱を起こし

混乱の末に新たに建国されたのがクレイファ共和国である。


反乱を主導した地方貴族に国内の獣人保護を名目としてナール王国も介入し、建国後も同盟関係は継続している。


この話は既に100年ほど昔の話だが、貴族院による合議制は現在も継続しており

貴族の地位は当然高い。


その貴族が、超魔鋼に目を付けてきた

しかも既に8家が利権について保護を申し出てきている

要するに我がものにしようということだ。


他にも有力な商人や各種ギルドからの問い合わせも多数。


実はロイルさんにも影響が出ており、先日は工房が荒らされたりした。


とりあえず、ロイルさんとお母さんは既にこちらに移動してもらっていたので大きな影響がなかったのは幸い。


我が家は、大地教の戦闘神官さん達が警備してくれているうえに

デニエとエイシアが魔法で警備警戒してくれているので、安全なのだけれど

侵入しようとする者は後を絶たない・・・


「 貴族相手というのが厄介だよなぁ 」


「 あい、今しばらくお待ちください そろそろ対策が功を奏するはずです 」


僕の隣に座っていたセオが、答えてくれる。


そう、居留守を使ってまで、貴族や大商人、そしてギルドに対して回答を先延ばしにしているのは

対応策の効果待ちなのだ。


貴族や大商人、そしてギルドといった、権力に対して


素直に従い従属するのか、それとも対抗するのか

対抗するには何が必要なのか?



そもそも現状でこんなバレバレの居留守が罷り通るのは

大地教の力が大きい


大地教は大陸北部に強い影響力を持つ宗教団体であり、特にクレイファ共和国においてその存在は貴族と言えども無視することは出来ない。

その大地教の全面的な保護下にある僕らから力任せに超魔鋼の利権を奪い取ればとんでもないことになるのは火を見るよりも明らか。


そしてもう一つの手段が


「 あなた 書状が届きました タイミングよく同時にです 」


ノエルが嬉しそうに二つの書状を持って部屋に入ってきた。


「 うん 良いタイミングだ 」


嬉しそうに僕の元へ駆け寄ってくるノエルを抱きしめて、その頬に唇を寄せると


「 もぉ あなたぁ 」


すっかり可愛らしくなったノエルが可愛い声で反応してくれる。


うん 良いお嫁さんに囲まれて本当に幸せだ。


あくまでもこの世界のお話しであること、どうぞご了承ください。

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