始まりの精霊
こんばんは 本日も投稿いたします
「 ・・・ えぐぅ あたしがぁ 私が 最初だもの ぐす・・・ 」
泣きながらエイシアさんが何かを訴えてきます
目は既に真っ赤で、泣きはらしていますけれど、涙は治まることなく流れ続けている。
「 エイシア さん 」
見るに見かねて僕は側によって声を掛けるけれど、その涙は増々溢れてゆく
「 うぁーーーん あたしが あたしがぁ ・・・ 」
駄々をこねる子供の様に、ただひたすら泣き続けるエイシアさん。
何かを途切れ途切れに訴えようとしているのだけれど、言葉に出来ていない。
「 ・・・ う、 ひぐ ・・・ あたしが あたしが一番・・・ 一番最初にリックを 好きになったのよぉぉぉ みんな みんなずるい ぁぁーーーん 」
何かとんでもないことを告げながらひたすら泣き続けるエイシアさん
「 やっと言ったのニャ 」
「 あい、 手がかかる精霊ですこと・・・ 」
「 どんどん先を越されてましたからねぇ 私まで嫁になり、ミーネさんも実体を得ましたから 」
エイシアさんが僕を好き??? ええ・・・ しかもノエル達の話ぶりからはみんな気が付いていたってこと?
「 えーーー そうだだったのかよ あたい全然知らなかったよぉ びっくりだ なぁフェオも知っていたかい? 」
「 マーサ姉様・・・ 気が付いていなかったのですか? あんなに分かり易いくらいの態度ですよぉ 旦那様が鈍いのは仕方ないとしてぇ マーサ姉様はエイシアさんとの付き合いも長いじゃないですか 」
フェオが本気で驚いたようにマーサに話しかけているんですけど・・・
えーと、もしかして僕とマーサ以外はみんな気づいていたってこと?
「 ええっ だってよぉ エイシアは小さいし 嫁になれないだろぉ・・・ 」
「 ・・・ ぅぅ うぁぁぁっぁ そうよぉあたしは小さいし 仮想空間でしか 等身大にも慣れないし・・・ リックの子供も産めないのにぃ デニエまでぇぇぇぇ うぇぇぇぇぇぇぇ 」
あー またスイッチが入ってしまったようで
大量の涙が・・・
「 え、 あ ごめんよぉ エイシア・・・ 」
マーサは自らの発言が、さらにエイシアさんを追い詰めたと気が付いたようで
必死に謝っているけれど、エイシアさんの耳には届いていないよね
だからと言って変に慰めようとしても逆効果な気もするし、本当に困ったなぁ。
「 主様 」
オロオロしている僕にセオが声を掛けてきた
「 ん? なに セオ? 」
「 お聞きしますが、主様はエイシアの事をどう考えておいでですか 」
いきなりセオが質問をぶつけて来たよ
「 そりゃあ感謝しているよ。この世界でここまでやってこれたのはエイシアさんのおかげだし、もちろん 」
「 いえ、お聞きしたいのはそう言う事ではないのです 」
セオは僕の発言を途中で遮ってきた、セオとしてはとっても珍しい事だよね。
「 えーと 何かな 」
「 あい、エイシアさんを嫁に迎える気がおありですかという事です 」
「 え? え ? 」
今なんて言った?
エイシアさんを嫁に迎える?
あ、 でも今さっき、エイシアさんの気持ちは聞かされたんだっけ・・・
「 ぼ、 僕は 」
思い出されるのは、この世界に来たばかりの頃
両親と別れて、一人で旅を始めて
最初に出来た同行者・・・
小さな美少女さん
加護をくれた電子精霊 始まりの精霊
仮想空間で僕に魔法の手ほどきをしてくれた、最初に見た等身大のエイシアさんはやっぱり可愛かったよね
マーサの時は色々あったけれど、それは僕を思っての暴走だった
彼女は自らの責務にいつも一生懸命で
そりゃあ都合が悪くなると消えてしまう時もあったけれど、やっぱり僕の事を常に考えてくれていた
そっかぁそうだよね
側に居てくれて当然と思っていたけれど
当たり前のようにそう思っていたけれど
ちゃんと口に出さないと伝わらない事ってある。
「 僕は エイシアさんと結婚したいよ 幸い時間はいっぱいあるし いずれエイシアさんも等身大になれるんでしょ それにさぁ仮想空間でなら今すぐだって等身大だし 可愛いのは知ってるよ 」
だいぶ恥ずかしい事を言っているのは自分でもわかっているけれど、ここは言わないとダメだよね。
「 ・・・ え あ えええ 」
僕の話を聞いてびっくりしたのか エイシアさんは泣き止んだうえに 泣きはらした真っ赤な目を大きく見開いてこっちを見ている。
「 エイシアさん 主様の声は届いておりますよね 理解できましたでしょうか? 」
セオの声がだいぶ柔らかくなって、エイシアさんに問いかけている。
「 え、 あぁ あのぉ そそそのぅ 」
「 エイシアぁ 貴女がきちんと答えてくれないと 私の答えまで保留にされているのよぉ 」
えーとぉ デニエがまた爆弾を放りこんできましたよぉ
「 あぁぁっぁぁ どうせ反対したってデニエは嫁にぃなるんでしょぉ ならぁ電子精霊の始まりの精霊である私もぉリックの嫁になりますぅ 異論も反論もぜーったいに認めないのぉ 」
まだ泣きはらした目は赤いけれど、どうやらいつものエイシアさんに戻ったようで嫁入り宣言をしてきました。
「 エイシアさん・・・ 」
「 あとぉ リックぅ これからは私も婚約者なんだからぁ ちゃんと呼び捨てにして欲しいのぉ ね 」
どうやらきっちり調子が戻ったようだ
「 あぁ そうするよ エイシア!! 」
「 ぅん・・・ ありがと 」
エイシアの本気です